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経済学の古典三十冊を要約して紹介するもの。
著者が自負するとおり自説に関係なくその古典の著者の意思をバイアスなしで紹介していて感心。
そうゆう意味で今まで誤解され批判を受けてきた古典や考えに新しく光をあてていて、「あ、そうだったんか…」と唸る事が多かった。
加えて経済思想史に関する本を読むのはこれが初めてだったので、今までどれだけの知の巨人がいたのかとゆうことでも驚かされた。
今大学で学んでいる経済学はミクロってのもあって新古典派経済学と言える。それ自体には不満はないがおれが個人的に強い関心を持つのは経済思想史とかだったりする。「経済思想史の変遷」とゆうクラスがあるらしいけど実際教えられているのか不明だしでちょっと腐りかけてたところにこの本は知的な喜びを与えてくれた。
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現代に至るまでの膨大な量にわたる古典の中から、著者お勧めのものをピックアップして紹介する、という形式のもの。
正直私も古典と言われてもどれから読んでいいのか皆目見当がつかなかったために、このようなブックガイドを参考にしようと思っていました。各先人の著作と思想が数ページにまとめられていたため読みやすく感じました。
一つ難点を言うと、これはどうしても仕方がないことですが、著者の個人的視点から書かれたものであるため、紹介されている著作の真に強調したい箇所が多少ずれている可能性があることです。
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現在,入手可能な30冊。半分以上は読了。
p001「自派とはまったく異なる発想がありうることを知ることこそが,古典を読むという行為の醍醐味である」
まとめに入手可能な一覧を作りました。
http://booklog.jp/matome/865/kaizen
1690 完訳 統治二論 (岩波文庫) ジョン・ロック / 岩波書店 / 本 / 2010年11月17日 / ¥ 1,386
1752 経済論集 (1967年) (初期イギリス経済学古典選集〈第8〉) デイヴィッド・ヒューム / 東京大学出版会 / 本 / 1967年 / ¥ 819
1759, 道徳感情論〈上〉 (岩波文庫) アダム・スミス / 岩波書店 / 本 / 2003年02月14日 / ¥ 1,008
1767, 経済の原理〈第1・第2編〉 (名古屋大学出版会古典翻訳叢書) ジェイムズ・ステュアート / 名古屋大学出版会 / 本 / 1998年03月 / ¥ 12,600
1776, 国富論〈1〉 (岩波文庫)アダム・スミス / 岩波書店 / 本 / 2000年05月16日 / ¥ 1,050
1817 経済学および課税の原理〈上巻〉 (岩波文庫)D.リカードウ / 岩波書店 / 本 / 1987年05月18日 / ¥ 798
1841 経済学の国民的体系 (1970年)フリードリッヒ・リスト / 岩波書店 / 本 / 1970年 / ¥ 1,470
1848 経済学原理〈第1〉 (1959年) (岩波文庫) J.S.ミル / 岩波書店 / 本 / 1959年 /
1867 資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)マルクス / 岩波書店 / 本 / 1969年01月16日 / ¥ 882
1874 純粋経済学要論―社会的富の理論 ワルラス / 岩波書店 / 本 / 1983年05月30日 / ¥ 6,300
1899 有閑階級の理論 (岩波文庫) T.ヴェブレン / 岩波書店 / 本 / 1961年05月25日 / ¥ 987
1911 ユダヤ人と経済生活 ヴェルナー・ゾンバルト / 荒地出版社 / 本 / 1994年12月 / ¥ 6,932
1912 経済発展の理論―企業者利潤・資本・信用・利子および景気の回転に関する一研究〈上〉 (岩波文庫) J.A.シュムペーター / 岩波書店 / 本 / 1977年09月16日 / ¥ 945
1919 産業経済学 アルフレッド・マーシャル / 関西大学出版部 / 本 / 1996年06月 / ¥ 5,460(産業と商業 で 出て来ない。)
1921 危険・不確実性および利潤 (現代経済学名著選集 6) F.H.ナイト / 文雅堂銀行研究社 / 本 / 1959年03月 / ¥ 4,200
1923 一般理論経済学―遺稿による『経済学原理』第2版 (1) カール・メンガー / みすず書房 / 本 / 2000年 / ¥ 5,250
1932 経済学の本質と意義 (1957年) ライオネル・ロビンズ / 東洋経済新報社 / 本 / 1957年 /
1932 近代株式会社と私有財産 (現代経済学名著選集 (5)) A.A.バーリー / 文雅堂銀行研究社 / 本 / 1986年 / ¥ 4,725
1936 雇用、利子および貨幣の一般理論〈上〉 (岩波文庫) ケインズ / 岩波書店 / 本 / 2008年01月16日 / ¥ 1,029
1944 [新訳]大転換 カール・ポラニー / 東洋経済新報社 / 本 / 2009年06月19日 / ¥ 5,040
1947 経済分析の基礎 サミュエルソン / 勁草書房 / 本 / 1986年06月25日 / ¥ 7,875
1949 貨幣改革論 若き日の信条 (中公クラシックス) ケインズ / 中央公論新社 / 本 / 2005年11月 / ¥ 1,733
1952 科学による反革命―理性の濫用 (思想史ライブラリー) F.A.ハイエク / 木鐸社 / 本 / 2004年10月 / ¥ 4,725
1958 ゆたかな社会 決定版 (岩波現代文庫) J.K.ガルブレイス / 岩波書店 / 本 / 2006年10月17日 / ¥ 1,449
1960 自由の条件I ハイエク全集 1-5 【新版】 F.A.ハイエク / 春秋社 / 本 / 2007年08月 / ¥ 4,200
1962 資本主義と自由 (日経BPクラシック��) ミルトン・フリードマン / 日経BP社 / 本 / 2008年04月10日 / ¥ 2,520
1969 断絶の時代―いま起こっていることの本質 P.F.ドラッカー / ダイヤモンド社 / 本 / 1999年09月 / ¥ 2,940
1970 消費社会の神話と構造 普及版 ジャン・ボードリヤール / 紀伊國屋書店 / 本 / 1995年02月 / ¥ 2,039
1971 正義論 ジョン・ロールズ / 紀伊國屋書店 / 本 / 2010年11月18日 / ¥ 7,875
1992 不平等の再検討―潜在能力と自由 アマルティア・セン / 岩波書店 / 本 / 1999年07月15日 / ¥ 3,255
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経済学の名著30冊を、自説などに影響されずに客観的に紹介する本。
バイアスがかかっていないブックガイドは本当に少ないので助かると思う。
入門書ではないので、経済史の基本と流れがわかったうえで、より深く知りたい人が本を読む前に選ぶ時に参考にするような使い方が一番よいと思う。多くの経済学の原著・名著があるなかで、どのような本が読むに値するかを、先人に学び、書籍を選ぶ眼をもつことも大切だと思う。
しかし、評者は大学でも一般教養で経済学は学んでおらず、独学で経済学を学んでいて、本書の内容にはついていけない部分があった。ある程度の高度な素養をもつと、良い本にみえると思う。その意味では自分にとっては★3つだが、★5つになる人も多いと思った。
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昨今の経済状況を観て、経済学は冷たいものなのだろうか。そんな疑問を持ち手にとった一冊。しかし読み終えたあと希望を持てた。古典を深く読むならばその根底には温かい哲学が流れている、そう思えた。
はじめにの章で「資本主義」と「市場経済」の対比が便利であるとの提案になるほどと思った。「資本主義」という見方では貨幣や資産が中心となり実際の商品や財は背後に退いていく、とのこと。いままさにピケティが注目を集めているがその考えに共通の理念を感じる。
そもそも何のための経済か。なぜ経済学から哲学がパージされたのか。今こそ古典に流れる哲学の復権を望む。私も本書をガイドに古典を読み進めたい。
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古今の経済学の名著を簡潔にまとめつつ、筆者の新たな視点を加えて書かれた新書。経済学は門外漢だが、奥深い名著の世界の入り口に立てた気がする。知的好奇心を掻き立てられた一冊。
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[ 内容 ]
市場経済はいかにして驚異的な経済成長を可能にするのか。
そうして社会が豊かになっても貧富の格差が拡大するのはなぜだろうか。
また、資本主義が不可避的にバブルや不況を繰り返す原因はどこにあるのか―。
スミス、マルクスから、ケインズ、ハイエクを経てセンまで、本書は厳選された30冊の核心を明快に解きほぐすブックガイドである。
それぞれの時代の経済問題に真っ直ぐ対峙することで生まれた古典は、私たちが直面する現下の危機を考えるうえで豊穣な知見に満ちていよう。
[ 目次 ]
1 (ロック『統治論』―私的所有権がもたらす自由とその限界;ヒューム『経済論集』―奢侈と技術が文明社会を築く;スミス『道徳感情論』―共和主義と商業主義をつなぐ「同感」 ほか)
2 (マルクス『資本論』―貨幣と労働の神話を解く;ワルラス『純粋経済学要論』―一般均衡理論が実現する社会主義;ヴェブレン『有閑階級の理論』―大企業と見せびらかしが生み出す野蛮な文明 ほか)
3 (バーリ=ミーンズ『近代株式会社と私有財産』―株式会社は誰のものか;ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』―貨幣経済を動かす確信と不安;ポラニー『大転換』―経済自由化は「悪魔の挽き臼」だ! ほか)
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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経済思想の豊穣さを感じられる一冊。公務員試験の教科書に載っている経済学は、サムエルソンの伝統を引き継ぐもので、経済学の一部に過ぎないことが分かり、目から鱗だった。一方で経済学者の眼は、時に正義論をも巻き込み、政治学や倫理学との境界上で、その範囲を自問していることに分かり、非常に興味深かった。
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ちくま名著30シリーズを読んでみた。1冊目。
あまり経済学に馴染みのない自分にとって、読み進めるのに時間はかかったものの、あまり耳にすることのない経済学者の名前と、その著書を知ることができて読んでよかったと思う。
ナイト『リスク・不確実性および利潤』などは著者も著書もまったく知らない状態だったが、こうした知らなかった名著を通して経済や人々の営みを見通すという行為のおもしろさを感じる。またハイエクの名前は知っていても『科学による反革命』というあまり聞きなれない著書を取り上げている。単なる名所めぐりのような凡庸な内容ではなく、名著らしい名著とでもいうのか、その影響度だけではなく質の良さから30冊を選択しているようにも感じられる。
ボードリヤールについての解説はとくに印象に残った。
シミュレーションの世界として「記号としての商品の消費」というのはうまく説明できているように感じた。
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原典を読んでおらず(理解できる自信もない)、著者の解釈や30冊のチョイスの評価は当然できないが、そもそも経済学が主観的で何が正しいとは言えない学問であることがよくわかった。
時代背景や各学者の信条による守備範囲や前提条件の違いが興味深かった。知識不足で理解できなかった部分はこれから勉強したい。
経済の本や専門家のコメントに触れる際に「この人はどの流派か」と考える上で参考になりそうだ。
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古典は読むのが難解で読むにはなかなかの覚悟が必要だが、本書を読むことで若干読んでみたいなと思えた。なぜそう思えたのかといえば、古典の現代的な意義を、最近の出来事と絡めて紹介されていたいたからだ。
セン『不平等の再検討』
フリードマン『資本主義と自由』
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松原隆一郎(1956年~)氏は、東大工学部卒、東大大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、東大教養学部助教授、東大大学院総合文化研究科教授等を経て、放送大学教授、東大名誉教授。専攻は社会経済学、経済思想史。
本書は、経済学の古典・名著から厳選された30冊について、そのエッセンスをそれぞれ6~12ページ程度で紹介したものである。
収録されているのは、ロック『統治論』、スミス『道徳感情論』、『国富論』、J・S・ミル『経済学原理』、マルクス『資本論』、シュンペーター『経済発展の理論』、マーシャル『産業と商業』、ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』、ポラニー『大転換』、サムエルソン『経済分析の基礎』、ハイエク『科学による反革命』、『自由の条件』、ガルブレイス『ゆたかな社会』、フリードマン『資本主義と自由』、ドラッカー『断絶の時代』、ロールズ『正義論』、セン『不平等の再検討』等。
私は、世界中で広がる経済格差の元凶ともいえる資本主義に問題意識を持ち、これまで、水野和夫、トマ・ピケティ、ジョセフ・スティグリッツ、(社会学者)広井良典、斎藤幸平らの著書や、経済学史を扱った中村隆之『はじめての経済思想史』、荒谷大輔『資本主義に出口はあるか』等を読んできたが、本書を手に取ったのもその流れによる。
本書では上記の通り、ロックに始まり、古典派経済学、マルクス経済学、ケインズ経済学、新自由主義派、更にセンに至る著作が取り上げられているが、著者は、経済学の分野は、政治学や社会学と異なり、複数の異なる学派の共存に寛容でなく、単独の学派の独占状態をあえて忌避しない風潮が強いため(特に、かつてのマルクス派、近年の新自由主義派)、単独の著者による経済学史の本についても、(著者が支持する)単独学派の優位性を示すような書き方をされることが少なくないことを指摘し、本書においては、できる限り中立に、「それぞれの著者の意図をできる限り再現し、歴史的な経緯もふまえて紹介すること」を基本方針としたと語っている。
そうした中で、著者が示した、歴史家フェルナン・ブローデルによる「市場経済」と「資本主義」という対比を用いた説明は興味深いものである。それは、貨幣と商品の交換の連鎖である経済について、商品が商品と交換されるように見るのが「市場経済」で、貨幣がより多くの貨幣をもたらすように見るのが「資本主義」とする。そして、前者は、スミスから新古典派、ハイエクらによって論じられ、金融市場を実物経済と両立し得るものと見做してきたのに対し、後者は、マルクス、ケインズらによって論じられ、人間には貨幣そのものを蓄積しようとする性向があり、よって資本主義と市場社会の間には矛盾があると見做してきたというものである。これに基づけば、近年広がる「資本主義の限界(→脱成長コミュニズム)」という論調についても、前者は否定、後者は肯定ということになる。
一から通読するには少々パワーが要るが、興味のある部分を読むということでも有用な一冊と思う。
(2022年1月了)
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図書館で借りた。
この手の「本紹介本」は、とりあえず紹介されている本の並びが知れれば良いと思っている。経済学も私にはまだまだ素人なので、「『経済学の本』ってどんなのがあるんだろう?」という感覚・目的だけ。深入りはしなかった。
この本の良いところは、客観的に中立な立場で経済学の本を紹介しているところ。
共産主義に対するスタンスなど、どうも偏りがちな学問らしく、著者が意識づけた旨が書いてあった。