紙の本
富士塚を巡って歩きたくなる。
2021/03/18 16:19
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京都内から少し先の郊外まで、各所に残る江戸時代の名残り「富士塚」。その数の多さは、かつて江戸時代に富士信仰がどれだけのモノだったかを知らしめるが、そこをひとつひとつ訪ね記録した一冊。読むと、この一冊をガイドに富士塚を巡って歩きたくなります。
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[ 内容 ]
東京23区内に50個も!
あなたの街にもある!
江戸っ子の粋と信心が生んだ不思議な史跡!
知られざるスピリチュアルスポット「自分達で造り上げた富士山」の魅力を紹介。
[ 目次 ]
第1章 富士塚へようこそ(歩いて出会える仰天史跡 富士山への想い 富士塚を造った人々 ほか)
第2章 厳選!富士塚36基登拝ガイド(八幡宿富士(千葉県市原市) 流山富士(千葉県流山市) 葛西金町富士(東京都葛飾区) ほか)
第3章 イベントで楽しむ富士塚(八幡宿富士 下谷坂本富士 駒込富士 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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以前住んでいた東京北部で「お富士さん」と呼ばれるお祭りがあった。
小さな山に登ると、富士山に登ったのと同じ御利益があるとのことで、縁日も出て、ずいぶんと賑わっていた。
その後、ほかにもこうした「擬似富士山」があるらしいことを知った。
その名は富士塚。江戸時代の富士信仰を背景に、信仰母体である各地の「富士講」という集団が、地元に「富士山」を「作った」のである。小山状に土を盛り上げ、富士山の溶岩で覆い、富士山のように、「奥宮」や「小御嶽神社」を置く。富士名所の「烏帽子岩」や「亀岩」、「胎内(山裾の洞窟)」を配したり、猿や天狗の像を置いたりもする。
富士塚は関東地方に集中している。東京23区内に約50基(富士塚は1基、2基と数えるのだそうだ)。関東全域では300基を優に超え、1000基に達するという説まである。
本書は、そんな富士塚の基礎知識から、現在、登拝(「とはい」と読む)可能な富士塚のガイド、お祭りの様子などを紹介している。
これがめちゃくちゃおもしろい。
著者は美術家とのことだが、「富士塚」愛は相当なもののようだ。
厳選された36基の富士塚には、地図・見取り図に加えて、富士山がどちらの方角か、登拝体験、その歴史などがコンパクトにまとめられている。
江戸時代は富士山に限らず、登山や参詣を目的とした「講」が多くあり、よく知られているところでは大山講、御嶽講、伊勢講などといったものがあった。1人の人が複数の講に属することも稀ではなかった。信仰だけでなく、親睦や互助会的な意味合いもあったもののようである。
富士には参りたいが、旅には金が掛かる。講を作って金を貯めるが、毎年、全員が参れるわけではもちろんない。危険も伴う。そこで流行ったのが富士塚というわけだ。
富士塚の多くからは本当に富士山が望めたものだという。今はビルの谷間となり、富士が見えない富士塚も多いようだ。
富士を思い、江戸の人々の信仰を思う。生き生きとした庶民の息遣いが感じられる気がしてくる。
写真も豊富なのだが、残念ながら巻頭以外は白黒。新書であるし、いたしかたないのだろうが、やはり見にくい。そこだけがちょっと惜しい。
*残念ながら、自分は現在関西住まい。この本、もっと前に知っていたら、富士塚めぐりをしてみたかったなぁ・・・。
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信仰のモニュメントとして富士山を(各地に)作ってしまった富士塚を取り上げた本。
自分は興味ある分野なのでたっぷり読み込ませてもらったが、一般的には売れるのかな?
富士塚の歴史、富士塚の構造、各地の富士塚の紹介、富士塚の鑑賞ポイント、富士塚のお山開き(開山祭)レポートと内容も盛りだくさん。
横浜地区の富士塚は訪れたことがあるが、東京のものは全く知らなかった。
この本を片手に訪れてみようかな。