エンダーズ・シャドウ(下) みんなのレビュー
- オースン・スコット・カード (著), 田中一江 (訳)
- 税込価格:770円(7pt)
- 出版社:早川書房
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紙の本
「エンダーのゲーム」の原点に戻り、単なる少年の成長物語とはいえない、カードならではの味わい
2003/06/01 09:49
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投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「エンダーのゲーム」、「死者の代弁者」、「ゼノサイド」、と続くエンダーシリーズがある。この作品は、この系列と異なり、第一作の「エンダーのゲーム」を別の主人公から描いた作品である。エンダーシリーズは、ヤングアダルト向けから大人むけのSFに変身してきて、深みと広がりができ、SF的アイデアも豊富に盛り込まれる様になった。ここでは「エンダーのゲーム」の原点に戻り、SF的要素の盛り込みは少ないものの、単に少年の成長物語とはいえない要素がある。カードならではの語り口である。「エンダーのゲーム」を先に読み、対にすると更に味わい深いであろう。
紙の本
ある意味エンダーよりも凄みのあるビーン
2002/04/19 17:53
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投稿者:かけだし読書レビュアー - この投稿者のレビュー一覧を見る
うーん、凄い。エンダーのゲームにも登場していたビーンの目から見たエンダーのゲーム、といった物語ですけど、これがまた面白い。特に序盤はストリート・キッズとして生き抜く幼児ビーンの姿が描かれてるんだけど、その洞察力と合理的な物の考え方、頭の回転の早さは驚異的。ある意味エンダー以上に凄みのあるキャラクターですね。逆に読んでいるとエンダーが甘ちゃんに思えてくるぐらい。
で、中盤から終盤にかけてはいよいよ舞台はバトルスクールに。エンダーのゲームの裏舞台が垣間見えるような内容で新たな驚きがあったりします。上巻の方は丁度ドラゴン隊が結成されエンダーとビーンの出会いが描かれたところで終了。死者の代弁者がどちらかといえば思想的な物語だったのに対して、こっちは初期のエンダーの雰囲気に近い作品になってますね。ストリート・キッズ時代のエピソードが予想以上に面白かったのも収穫。下巻も楽しみです。
紙の本
人間が作り出した天才児の人生
2001/08/02 11:06
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投稿者:ちゃうちゃう - この投稿者のレビュー一覧を見る
近未来、地球を攻めてきた昆虫宇宙人「バガー」によって、一時は崩壊寸前まで行ってしまった地球。それでも各国はそれぞれ生き残っていた。オランダのロッテルダムは国際自由都市となっていたが、その反動で汚れた暴力とスラム街のはびこる都市となっていた。
その中で捨てられ飢えに苦しむ子ども達「ストリートキッズ」の生をかけた戦いがあった。主人公ビーンはそういう街でたった一人で生き延びようとするちいさなちいさな子どもだった。
その彼の能力を発見したシスターが、彼を「バガー」に対する楯としてバトルスクールへと送り出す。
飢えたことなど一度もない、保護された生活を送っていた天才児達の中で、ビーンはその生い立ちと、超強力な能力を武器に、彼なりの「バトルスクール」に適応していく。
教官を手玉に取り、同僚をコントロールし、そしてやがて出会う指導者「エンダー」。
エンダーとビーンの間の「みぞ」や「違い」が、一種の芳香なスパイスように絡められていて前作「エンダーのゲーム」を読んだ読者にはなんとも奇妙な作品になっている。
前半のロッテルダム時代のビーンの姿は今回初めて読者の前に現れたので、一気にのめりこんでしまうが、後半の「エンダーのゲーム」と重複するシーンは「あれ?この部分は前はどうやて書いてあったんだっけ?」と何度も前作と照らし合わせてしまう。
「バガー」との戦いが終わったあと、最後のシーンにはやはり作者の暖かな配慮があるが、ちょっと物足りないと思ったのは私だけであろうか? 願わくはこの作品の次回作が出てこないかと期待してしまう。
紙の本
さすがはカート!見事でした。
2001/12/19 06:16
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投稿者:hi-lite - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作『エンダーのゲーム』にはかなりはまり何度も読んでいたので、『エンダーズ・シャドウ』は迷わず購入しました。やはり絶対前作を読んでから読まれたほうがいいと思います。カートは子供を主役とした物語を書かせたら天才です。大人以上にあらゆる能力が高く、翻弄するのに、やっぱり子供であると感じさせる表現のうまさには感服します。しかしやはり『エンダーのゲーム』あっての『エンダーズ・シャドウ』です『エンダーのゲーム』では倫理的なことに話がいき絶妙に昇華させているところがすばらしいと思うのですが、それに比べれば『エンダーズ・シャドウ』は娯楽的要素が高いと思われます。しかし『エンダーのゲーム』との兼ね合いはすばらしいの一言です。『エンダーのゲーム』を読まれた方は絶対読んだ方がいいと思います。
紙の本
悪役の効果
2001/02/01 16:40
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投稿者:マイロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「エンダーのゲーム」を視点を変えての語りなおしということになる。
絶対にしてはいけないのは、本書を単独で読むことで、楽しみが半分以下になってしまう。必ず、「エンダーのゲーム」を読んでから手にとりましょう。
「……ゲーム」で涙を流したぼくは、本書の目次で最後のほうに“エンダーのゲーム”という章題を目にしただけで、あの壮絶なゲームを思い起こし、目頭が熱くなった。電車の中だったのでちょっと困った。
特筆すべきは、悪役アシルの存在。主人公がエンダーの影ならば、アシルは主人公の影。登場しなくても、常につきまとって物語をひきしめる。共感できる主人公や、愛らしい脇役はいくらでも思いつくが、稀代の悪役にはそう出会えない。アシルは凡百の悪役の群を抜いて、ほんとうに悪い。
紙の本
<エンダー>シリーズ愛読者・必読の一冊
2000/11/05 04:47
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投稿者:海法紀光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昆虫型異星人バガーの襲撃によって、大きな痛手を被った地球。次なる襲撃に備え、世界中から集められた天才児達が軌道上のバトルスクールへ召喚され、地球を救う司令官となるべく過酷な訓練を受けていた。過酷な競争の中で天分を表し、人類最強の司令官となったエンダー。
歴史は語らないが、彼の活躍の影には、もう一人の超天才、もう一人の司令官候補が隠れていた……。
本作は『エンダーのゲーム』とリンクした作品であり、前作でエンダーの副官の一人であった、ビーンの視点から描かれる。
ストリート・チルドレンとして生死の境を生き抜いてきたビーンにとっては、人間であろうとシステムであろうと、パワーゲームの手駒に過ぎない。やりすごすか、支配下におくか、破壊するかだ。その危うさは、大きな魅力である。
心に愛を持つエンダーが友人達に囲まれながらも孤高の道を歩んだのとは対照的に、ビーンは友を持たないまま複雑な人間関係やシステムの中を渡り歩く。その中から、前作の事件の裏にあった様々な人間関係や葛藤が明らかにされ、事件の意味は二転、三転してゆく。
前作のサイドストーリーということで、だいたいの結末は予想できるわけだが、本作の展開はあらゆる意味でスリリングである。
『エンダーのゲーム』を楽しんだ人なら、必読の一冊である。
(海法 紀光/ライター・小説家・翻訳家 http://www.amecomi.com/)
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<エンダー>シリーズ
『エンダーのゲーム』 ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞
『死者の代弁者 上』
『死者の代弁者 下』 ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞
『ゼノサイド 上』
『ゼノサイド 下』
『無伴奏ソナタ』 短篇版「エンダーのゲーム」収録