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みんなのレビュー13件

みんなの評価3.4

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13 件中 1 件~ 13 件を表示

紙の本

この小説はとりこぼすことなかれ、もったいない!本から受けた感動に感謝した人が、本によってそのお返しをしようとした素晴らしい小説。第108回直木賞。

2001/07/26 11:45

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 味わいとしては、森田誠吾の『魚河岸ものがたり』、池波正太郎の株屋の丁稚時代のエッセイとよく似ている。
 つまり東京らしい東京と、そこに暮らす男の人が抱える苦悩や情熱が、信頼感のおける筆致で描かれている。

 人生の酸いも甘いもかみわけた、「野暮天の愛嬌をもった粋」なおじさんたちの書く世界に私は弱い。
 若い男の人じゃ、こうはいかない。こういうおじさんたちと、3時すぎからそば屋でたらたら飲みながら話を聞くのが最高だ。そんな気分にさせられる。

 直木賞を取った本だと知っていた。でも題名から、古本屋さんを営む夫婦者の交流みたいなものをイメージしていたが、全然ちがっていた。
 あらすじは語ってしまえば簡単である。

 幸徳秋水らが処刑されることになった大逆事件のあった明治末ごろ、古書の世界に入ったふたりの少年が奉公先で知り合った。何と生年月日がまったく同じ。どうやら命名の由来も、その日にあった出来事にちなんでいるらしい。
 主人公の郡司は物覚えがはやくて、はすっこい。目も利いていて飲む打つ買うの遊びにもたけている。もう一方の六司は温厚な性格で、ヤマっ気がない。野暮天である。
 だが、ふたりは気が合う。助け合いながら古本の商いを知るうち、いつか二人で店を持ちたいと夢を持つ。

 古書が取引される市場でやり手と一目置かれるダクばあさんの佃島の店「ふたり書房」に、縁ができる。ばあさんの助けで店を開くための資金を稼いでいたふたりには、ばあさんの姪の千加子をめぐって切ないものが流れる。やがて父親がふたりのうちどちらでもない女の子を千加子が産む。澄子と名づけられる。

 物語は、ふたつの時代に橋を架けながら展開していく。
 奉公時代のふたりが大逆事件に縁をもった明治の末から時系列に流れる物語。そして、千加子が死の床に伏せ、娘の澄子が継ぐことになった「ふたり書房」と郡司が絡む昭和30年代後半。
 波乱の人生を送った郡司の昔と今が交錯するところに、実にさまざまなものが描かれている。

 佃島という土地の幕府に対する位置などの歴史、渡しや祭り神輿の独特な文化、皇居とともに大震災で焼けずに残ったときの賑わいなど。古書業という不思議な商売の世界。投機的な要素と、日本の教養を支える異なる面の描写。本というものの価値。
 男にとってのけじめ、それを体に残そうという彫り物の世界。複雑な出生に左右される人の哀しみ、やるせない男女間の愛のもつれ。世代を超えた友情や信頼。左翼思想の目ざしたものと行き着いたところ。高度成長による町の変貌と人心の変貌。
 よくぞこれまで多くの要素をからめとり、物語に織ったと驚いてしまう。そして何よりも強く感銘を受けるのは、書き手の情の深さ。人に対するそれと本に対するそれ。
 本のために神さまがこの作家に古書店を営ませ、本を読ませ、本を書かせたのだということがよくわかる。

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2006/12/13 10:05

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2011/03/21 16:07

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2012/02/12 03:08

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2018/09/13 18:24

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