紙の本
身近な話題で読みやすい
2018/08/11 20:12
15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たまがわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
おもしろく、読みやすい。
著者の別の本も読んでみたくなった。
著者は「謝辞」で
『 どうすれば「学者っぽくない文体」で書けるのか、工夫するのは簡単ではなかったが、
執筆中は多くの人に助けられた。』
と書いているけど、たしかに著者に親しみを感じるような文章だった(翻訳も)。
第4章の、「社会規範」と「市場規範」の話は、興味深くおもしろかった。
一例を挙げると、イスラエルの託児所で、子どもの迎えに遅れてくるのを減らすために、
親に罰金を科すのが有効かどうかを、著者の友人でもある二人の学者が調査をした。
結論を言うと、罰金はうまく機能しないばかりか、長期的に見ると悪影響が出ることが分かった。
なぜかといえば、罰金導入以前は親たちは、「社会規範」の意識、
つまり遅刻をすれば先生に申し訳ない、という気持ちが強かったので、
あまり遅刻をしていなかった。
しかし罰金制度が導入されると、考え方が「市場規範」に変わってしまい、
罰金を科せられているのだから、遅刻するもしないも決めるのは自分とばかりに、
親たちはちょくちょく遅刻するようになってしまった。
しかも、数週間後に託児所が罰金制度を廃止した後も、
親たちの遅刻は治らず、わずかだが悪化したという。
『社会規範も罰金もなくなったのだから無理もない。』と著者は言う。
そして、
『 この実験は悲しい事実を物語っている。
社会規範が市場規範と衝突すると、
社会規範が長いあいだどこかへ消えてしまうのだ。
社会的な人間関係はそう簡単には修復できない。
バラの花も一度ピークを過ぎてしまうともう戻せないように、
社会規範は一度でも市場規範に負けると、まずもどってこない。』
という。
これ以外のより多くのこととも関係しそうな、考えさせられる話だ。
同じジャンルの本で、同じハヤカワNF文庫に「ファスト&スロー」
(ノーベル経済学賞受賞者・ダニエル・カーネマン著)があるけど、
本書の「解説」では、本書を先に読み、つぎに「ファスト&スロー」を読むのが良いと書いてある。
たしかに、本書の方が、読みやすいのと、扱っている内容がより身近な感じ。
「ファスト&スロー」は、より内容が濃く専門的な感じ。
分量も上下巻で多いけど、そちらもおもしろかった。
紙の本
行動経済学を知りたいならこれを読め!
2017/10/09 20:42
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こあ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの通りです。著者はイグノーベル賞の医学賞を受賞しています笑ちなみにその内容はプラセボについて。本書の中でも、価格による思い込みの効果について述べられています。私が行動経済学に強い興味を持った本の内の1つです。この本を読み終える頃には、あなたのあらゆる選択は変わっているでしょう。
行動経済学を知りたいならこれを読め!
紙の本
おもしろい行動経済学
2015/10/31 15:52
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Harold Finch - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間が起こす不合理な行動を調査・研究した本で、私が特に興味を引いたのは社会規範と市場規範でした。人が誰かに無償でした行為(社会規範)に値段をつけられる(市場規範)と人は不快になる。当たり前のことだが、その一つ一つの謎を解明していくことは人々相互の円滑なコミュニケーションにつながり、多くの人々が読むべき本であると感じました。
紙の本
人間って
2016/06/26 16:25
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エピゴーネンキャット - この投稿者のレビュー一覧を見る
大変面白く読ませてもらいました。どこかの知事さんだけがせこいわけではないんですね・・・
紙の本
行動経済学のブームに火をつけた傑作です!
2017/11/21 09:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、伝統的な経済学からは異端とされてきた行動経済学ブームに火をつけるきっかけとなった作品です。人間の行動は、伝統的な経済学が説くように、いつも自己の利益を最大限にするために最も合理的な行動をとる、とは限りません。不合理で、非効率な行動の方が多いかもしれません。そのような非合理な人間の行動を研究するのが行動経済学です。一度、本書を読めば、行動経済学に興味をもたれること間違いなしです。
紙の本
ポケットに忍ばせたい行動心理学の教科書
2019/01/13 08:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
行動心理学の写真者向けガイドブックである本書を最初は電子書籍で知りました。内容は図版も多く使われていて読み易いので、書き込みをして自分だけの行動心理学の虎の巻にしたいと思って、紙の本を手にしました。
紙の本
わかっちゃいるけど…
2015/10/06 00:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アキウ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間が、経済的に合理的でない行動を取ってしまうことについて、様々な事例を紹介した本。本当は1個だけ買えば充分なのに、2個目が半額とか言われて2個買っちゃうとか、そういうの。事例の数が盛りだくさんでボリュームがありますが、エッセイ風の読み物として気軽に読めます。耳の痛い話もありつつ、いかに人間が不合理な生き物であるかを痛感する。中でも、現金だとしない不正(ちょろまかし)について、物だと気軽にやっちゃう(たとえ「金券」のように現金換算が可能ものだとしても)というのがとても興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
本書はベストセラー行動経済学入門に、新たに2章を書き下ろし、旧版刊行後の反響を受けた考察を追加した増補版であります。量的なものと、中に書かれている事例の豊富さに圧倒されてしまいました。
本書は以前から気になっていたので、手にとって読んでみることにいたしました。本書が刊行されて以来、『行動経済学ブーム』だったのだそうです。ベストセラーとなった本書が増補改訂版として、新たに書き下ろされた2章と、刊行後の反響を受けた考察を追加して再登場したものであります。量的な分厚さと、内容の濃さに思い出す際にげっぷをしそうになりながら、キーボードをたたいております。
さて『これまでの経済学では、人は合理的に行動するものと考えられてきた。だが、本当にそうだろうか』という前提で、詳細な実例を元にそれを検証していきます。本当はおなじ味でも、雰囲気のいいカフェのコーヒーにはファストフード店のコーヒーより高いお金を払っていないだろうか?これは本書の中でも取り上げられておりますが、スターバックスに入ってコーヒーを飲んだことを思い出し、コーヒーそのものに加えて、あの『サードプレイス』と呼ばれる『空間』作りにあの会社はあの手この手を使っていたなぁということを思い出しました。
また、上等の靴下が必要だったのに、一足ぶんおまけされていた安物の靴下を買ってしまったことは?ということに関しては安物の靴下しか僕ははかないのでそれはよくわかりません。とにかく、人間は経済合理性とはかけ離れた行動を往々にしてとる場合が多いのだ、ということを本書は教えてくれます。その不合理さを研究、解明するのが、行動経済学という新しい学問の分野なのだそうです。
ここでは、個性的かつ詳細な実験を重ねることによって、人がどのように不合理な行動をとるのかを系統的に予想することが可能になっている。と説いております。そこまで予想されるとこっちとしてはなんだか気持ち悪くなってしまいますが…。
そして、行動経済学の原理を応用することによって、、「おとり」の選択肢や、価格のプラセボ効果、アンカリングなど、人の理性を惑わす要素を理解するときに、ビジネスや投資、政治の世界でも、驚くほどのチャンスを我々にもたらしてくれるのだそうで、優れたテキストはいくつもの読み方ができる、というのが定説ですが、たとえばここに書かれている知識を応用して多大な業績を上げて立身出世を目指すのか?それとも経済的に仕掛けられた様々なものから自分を守るための『盾』とするのか。それはその人次第です。
投稿元:
レビューを見る
人間は不合理な存在である。行動経済学の分野からその行動を説明している。人間の不合理性を理解すれば、よりうまく世の中の流れを掴める気がした。
投稿元:
レビューを見る
行動経済学の本は新書で十冊くらい読んでみたが、本書は最高ランク。人間がいかに不合理なのか、しかもランダムに不合理なのではなく特定の傾向に偏って不合理なのかを、おもしろたのしく教えてくれる。考えさせてくれる。
わからなかったのは、アンカリングと慣れの関係。アンカリングとは、あることを直前にインプットされると、(本人の意識と無関係に)その後の判断が左右されてしまう現象のこと。例えば、自宅の電話の下二桁を想起してもらってからワインを試飲してもらい「いくらなら買いますか?」と聞いた時、電話番号の数字が小さい人は安く、電話番号の数字が大きい人は高く値付けするということがわかっている。えー、そんなバカなと思うが、手を替え品を替えての実験で同じ傾向が観察され、確かなことらしい。十戒を思い出してからカンニングし放題のテストを受けてもらうと不正が減る、など。
このアンカリングを聞いて私が思い出すのは、従業員が朝礼で一斉に「ありがとうございます」と唱和させられている風景。あれ、効果があるんだろうか。店に行くと、店員が顔も見ずに反射的に大声で叫ぶ「いらっしゃいませ」とか。
本人の意識と関係なく効果を発するんだろうか。それとも慣れてしまって効果がなくなるんだろうか。
わからない。
このように、行動経済学の知見は、とても面白いがいつどこまで他の事象に当てはめていいのかわからない。研究者でない身には実験もままならない。
というわけで、行動経済学の本が出ると買わずにいられない。
投稿元:
レビューを見る
タイトルに惹かれて購入しました。
非常に興味深い内容でした。
アンカリング、現在バイアス、所有効果、プラセボ効果、
などなど人間がいかに不合理に選択する生き物なのか、
ということが膨大なサンプル実験で明らかにされていきます。
ただ、ちょっと冗長でしたねぇ・・・
正直、解説を見るだけでも十分かも?などと
不謹慎なことを考えてしまうくらいに、
若干クドイ本でした。
あ、でも面白かったですよ。それと読みやすいです。
投稿元:
レビューを見る
読みやすいと聞いたので購入。TEDというサイトで著者であるダン・アリエリーさんのセミナーも合わせて観るとかなり頭に入るし楽しめます。
読み終わりました。
カテゴリごとにわかれて色んな実験をもとに分かりやすく解説があり飽きない!
特に気に入ったのは社会的規範と市場的規範についてで、例えば手を貸してくれたお礼を表すとすると、
社会的規範⇒プレゼントでお礼をする
市場的規範⇒時給(現金)を支払う
という事。
なんとプレゼントでお礼をする方が相手も喜ぶし効果的だと言う事実。
最近アグリー・ベティという海外ドラマを見ています。
ファッション雑誌を取り扱う出版社で働く女の子が主人公のお話。
持ち前の行動力と知性で大仕事を次々とこなす彼女に感謝している上司は本人が忘れた頃に彼女や彼女の家族の為にファーストクラスの飛行機チケットをプレゼントしたり、クリスマスツリーをプレゼントしたりします。
でも物語の中で彼女は上司にお給料上げて欲しいと言っているシーンがあります。
本人は昇給や昇格を希望しているのになぜプレゼントを贈るのか謎だったのですが、丁度並行して読みすすめていたこの本で理由が分かりました。
感謝を表しつつ最高のパフォーマンスと忠誠心を引き出すために上司は市場的規範ではなく社会的規範を適用したのですね。
実にアメリカらしい^^
日本の会社ももっと見習うべきだと感じました。
投稿元:
レビューを見る
最後まで読んで、あー、なるほどね、だから入門書。要は、人間特有の主観が入るからそう上手くはいかないよ、とゆー事例が馴染みある社会事例で書かれておりました。で・も!だから、どうなるの?は入門書だから書いてなくて、ちょっと消化不良。。でも、行動経済学があってこその、マーケティング/ブランディングの活躍の場があるってことはわかりました。理論経済だけじゃ出番なし♡٩꒰′ ̫ ‵๑꒱۶不規則の癖、みたいなものですね。
投稿元:
レビューを見る
TEDを観てからずっと読みたかった。
予想に違わず面白かった。
ダン・アリエリー氏の聡明さに惚れる。
ただ。
ハヤカワ文庫さん、
文庫サイズを変えないで。
文庫を持ち歩くときに使っているカバーに入らなかった。
加えてサイズが違うのに気づかないで
無理に入れようとして表紙に皺をつけてしまった。
どうしてくれる。
もーハヤカワってこういうところ嫌いだ。
投稿元:
レビューを見る
タイトルに違和感がある。「予想どおり」になるためには、それに対する規則性などの「論理」があり、その「論理」に従うという「合理性」があるということである。決して「不合理」ではない。本書の中で一貫して述べられて、解説にもあるように、「伝統的な経済学」においては「合理」的でないように見える現象があるという意味の「不合理」である。理屈はあるのである。社会科学は合理性と現実とのせめぎあいの中から発展してきた。経済学が基礎科学たりえんとするところから、苦しい部分が出てくる。現象把握・理解に努めてきたにすぎないことをもっと謙虚に心得ておくべきである。その反省のケース・スタディー集として本書は読んでいて面白い。