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紙の本
大月新左衛門身辺の変化が待ち遠しい
2014/05/25 21:13
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上田秀人の妾屋シリーズももう6作目である。江戸時代に妾屋などという商売があったのか否かは分からないが、とくに抵抗感なく受け入れられる。様々な敵と対する妾屋山城屋昼兵衛とその腕の立つ用心棒、大月新左衛門であるが、各々の関係は変わらない。良くもあるし、悪くもある。そろそろ、変化があっても良いのではないか。
痛快なのは、大商人の嫌がらせを受けたが、直ちに山城屋との関係の深い将軍お気に入りの小姓組頭、すなわち側用人に強訴する点であろう。躊躇はしない。貸し借りの関係、つまり利害関係がはっきりしているので、迷っている必要はないようだ。
ところが大商人も黙ってはいない。たかが妾屋と侮っている。大商人にも当然後ろ盾はいる。若年寄である。ところが、この若年寄も将軍側用人には身分の上では当然凌いでいるのだが、やはり将軍には勝てない。そこで、大商人は山城屋の商売仇である吉原をけしかけて、営業妨害を試みるのである。
今回はストーリーが整理されている。大月の刀の冴えを披露する場があまりなかったので、それを期待する向きには物足りなかったかも知れない。同じく、山形将左の出番も少ないが、それでも本編では儲け役かも知れない。
南町奉行も登場する。吉原と山城屋の戦いでは町方は場合によっては役柄上、介入せざるを得ない。しかし、この奉行も将軍の寵臣である小姓組頭の勢力下にあった。加えて、吉原も一枚岩ではなかった。
そういう状態で山城屋対吉原の戦いが始まるのである。吉原の風習や忘八と呼ばれる男衆の存在など、上田の他の小説で読んだような気もする内容ではあったが、なかなか興味深い争いに仕上げている。
対外的なストーリーは毎回変化するのだが、たとえば、大月と同じ藩にいた有能な側室との関係は、小説の中でもたしかに書かれてはいるが、ほとんど進展していない。そろそろそちらも面白くして、読者の期待に応えてもらいたいものである。そうしないと、このシリーズが終わってしまうような気がして仕方がない。
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