- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
やっぱりメイントリックが海外ミステリの名作のそれに酷似しているっていうのはねえ、後日、それを読むひとには不親切だと思うんです。漫画などで安易にトリックを借用するのもどうだかねえ・・・
2006/06/12 19:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「映画に出演することになった岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子の姉妹。撮影現場の総生島で起きる消失の謎」本格推理小説。
名探偵夢水清志郎シリーズ第三弾です。青い鳥文庫ですから、対象は小学生上級以上ということになりますが、大人でも十二分に楽しめるところがこのシリーズのいいところでしょう。
オーディションで万能映画に出演することが決まった岩崎亜衣、真衣、美衣の三つ子の姉妹。その話を聞きつけた夢水清志郎は、映画会社の社長に自分を売り込んで、探偵として彼らの撮影に同行することにしてしまいます。
彼らが向かうのが、タイトルにもある総生島。そこには万能財団が巨費を投じて建設した館 霧越館があります。そこで万能映画が目指す理想の推理映画が撮影されるのです。そして島に集まった13人の人々。以前の事件で知り合った上越警部も見守る中、彼らが乗ってきた船は爆破され、彼らは島に孤立するのです。もう完全に本格推理小説の舞台が準備されたといえますね。
起きるさまざまな消失劇。人が、山が消えていきます。事件の背景にあるものは何でしょうか。そして事件の真相は。
これを先に読んでしまってからクイーンの名作中篇を読む人は不幸ですね。ミステリの骨格はしっかりしているし、動機も納得がいくのですが、肝心のトリックが過去の名作を利用したような印象を与えるのは問題でしょう。勿論、食い意地の張った名探偵夢水清志郎と三姉妹のやり取りは、大人でもニヤリとしたくなるほどに面白いのですが。
紙の本
卓越したプロットを楽しめるジュブナイルミステリ
2002/04/18 02:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひで - この投稿者のレビュー一覧を見る
長大化するミステリ界にあって、氏の書くようなジュブナイルだけは、その性格上、長大化することが難しい。作者は、無駄な描写を削り、本格作品としての魅力だけを描き出すという、苦労を強いられることになる。これは、一歩間違えれば、簡単に謎が解けてしまいミステリとしての魅力を失うことに通ずる。だが、氏の作品では、その両者を見事に並立させている。本作は、無駄な描写の多い作品が増えてきている中で、こういった作品も確立しうることを、見せつけられる作品である。
亜衣、真衣、美衣の三姉妹に映画出演の話が決まり、三姉妹は、名探偵夢水清志郎と共に、ロケ地の総生島へと向かう。だが、到着と同時に船が爆破し、彼女たちは島に取り残された。島にある館に泊まる彼女たちだったが、目の前で次々と奇妙な事件が起こり、奇怪なメッセージが残される。人が消え、山が消え、島が消え、そして館が消える。そして明かされる真相とは。
はやみねかおる氏が、その人気を不動のものとしたのが、一連の夢水清志郎シリーズであろう。この作品群は、名探偵を自称する夢水清志郎と、隣に住む三姉妹とが次々と起こる難事件に挑むというシリーズであるが、児童向けの文庫に収録されながらも、その作品は、大人の鑑賞に耐えうる魅力を持っている。特に、殺人事件等の陰惨な部分を作品から排除しながらも、本格作品としての魅力を失っておらず、この点ではいわゆる日常の謎派に類する作品の一つといえるかも知れない。
本作は、そんな夢水清志郎シリーズ、三番目の作品である。本作は、このシリーズの中でももっとも大がかりで、魅力ある作品といえる。本作の中核を占めるトリックは、様々なところで指摘されているように前例がある。しかし前例があるから、その作品は駄目かといえばそうではない。ミステリにおいては、新しいトリックを生み出すことがその魅力であるのはもちろんであるが、生み出されたトリックをアレンジし、その見せ方を創出するすることもその魅力の一つとなる。本作は、卓越したプロットと、その結末の見せ方によって、それを再確認できる魅力的な作品である。