紙の本
タイトルと目次で十分の内容
2016/01/25 21:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:農家予備軍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「キャリアポルノ」とは、俗にいう「自己啓発本」のことを指す造語なのだという。まえがきは、その造語を生み出した作者が、この言葉が広く広まったことを自慢する下りから始まる。
第一章では、自己啓発書がキャリアポルノであることを延々と説明し、語源がフードポルノであることを明かす。
第二章では、キャリアポルノが精神的な高揚感を得るためのドラッグと同類であることを指摘し、キャリアポルノの本場はアメリカであり、日本のテレビドラマ等はアメリカに似て「現実から目を背け夢を売る」ような内容のものが多く、その「私も何かになれる」という夢をみるためにキャリアポルノが売れるのだと結論付けている。
そして、キャリアポルノに対する具体的な批判は第二章までで終わって、第三章以降は作者の欧州での体験、「労働」や「人生」について語る、いわば作者なりの「キャリアポルノ」となっていて興味深い。
全体を通して、何かをこき下ろすパートでは舌鋒鋭く批判を展開するが、裏付けを提示して筆者の考えを説明するパートは冗長でつまらない。全体的に校正が甘いところも読んでいて気になった。
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このタイトルを見てセクシーなウサギが登場してくるのではないかと思った方、残念ながら「大人の絵本」ではありません。
自己啓発書を読んでフムフムするのと、今話題の壇蜜のDVDを見てハアハアするのは一緒という事をこの本は書いている。
結構過激なタイトルだ。「ツイッタ-芸人」として有名な著者が書いた自己啓発ブームに警鐘を鳴らす今回の本。
そういえば、以前「ポテチはソフトドラッグ」という事を書いている本を読んだことがある。それは、ポテトチップスは、おいしくてやめられない止まらない状態になるが、栄養から見ると体に良い成分というよりも、長期間とり続けていると体に悪い物質が入っている。ポテトチップスと同じで、自己啓発書は言いたいことや思っていることを書いてくれているからすっきりする面がある。しかし、実際に実行に移すのは並大抵のことではなく、同じことをやろうとすると日本の企業だと蛍の光が流れてはいさようならになる可能性がある。
読んでいてびっくりしたのが「実は成功していないキャリアポルノの著者 成功メソッドは誰のため」だ。有名な著者で、本に書いてあることと実生活に開きがある。まるで、民主党のマニフェストや、自民党の先の選挙の公約に似ているなあ。
例にあがっている著者で「こころのチキンスープ」の著者、ジャック・キャンフィールド氏や、男女関係に書いて有名になったジョン・グレイ氏は、理論と実践に開きがある。どちらも円満な家庭を築き損ねており、グレイ氏の場合、経歴に?マークがあるのではないかという疑惑までおまけについている。
「キャリアポルノ」を買って「フムフム」してくれる読者が多ければ多いほど、著者や出版社は潤う構図になっているというわけだな。しかし、著者の多くは元からすごい人で、条件に恵まれている場合があるので、モクモク羊のような一般人がまねようとしてもそう簡単にできない。自己啓発の著者は、本のタイトルや中身に「薄化粧」して、夢を売る商売をやっていると言える。芸能人と同じで、あまりのぼせて夢中にならない方がよいと言うとか。そうしないといいカモになってしまう。
「キャリアポルノ」に日本人が(全員というわけでないが)夢中になるのは、雇用への不安、競争社会が挙げられている。テレビや雑誌で、ランキングがあふれている。就職や進学にもランキングが存在する。競争心を燃やしている日本人は、競争に勝つためにはどうしたらよいかと思い自己啓発本にすがることになる。
自己実現を仕事に求めるのはどうかと問題提起をしている。働くことが生きがいと思っていると、仕事でうまくいかなくなったり、雇用が無くなった時、他に生きがいがないと大変なことになる。仕事一筋の企業戦士が定年退職した後の姿を思い浮かべると、よく分かる。生きがいも人生のリスクヘッジとして複数持っていた方がいい。
最後に「仕事は仕事と割り切れ」と書かれている。「仕事」を生きがいや自己実現のための唯一絶対の目標にするよりも、仕事以外の世界で生きがいがあった方がよいと述べている。いくら会社で自己実現しても、定��退職したり、その前に倒産してしまっては元も子もないからなあ。
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そもそもタイトルになっているキャリアポルノという言葉がピンとこなかった。「私が最初に使い始めた「キャリアポルノ」という言葉が流行っています」と言われても知らないから「そうなの?」という感じ。「森ガール」くらいなら「そうなんだ!」とも思えるが・・・。個人からすると自分が最初に使った言葉がgoogleの検索で何万もひっかかれば「流行をつくった!」と思うのかもしれないが、世界でみれば本当にローカルな世界での流行なのだろう。
ひたすら自己啓発書は役に立たないとこき下ろす展開だが、あまりにもデータの無いところでの決めつけや思い込みが激しい。同作者の「日本が世界一貧しい国・・・」は「そうそう!」と同意できる箇所もあったが、「自己啓発書を読んでいる人がたくさんいるのに日本が良くなっていないから役に立っていないのでしょう」という論理展開はどうなのだろう。ノマドにしても自己啓発オタクにしても何か見えない仮想敵を想像して闘っているような、どうもそんな本人の感情が入りすぎている気がする。だからこそ「この人本当は自己啓発書を読むタイプと本来は同じタイプなんじゃないかなあ。同族嫌悪しているのではないかなあ」とさえ勘ぐりたくなる。
中盤からの展開を読むとやはり過去に自己啓発書をたくさん読んだ「意識高い系」を目指した著者の過去について触れられており、自己啓発書への恨みは個人的な怨念も含まれることがわかった。歴史的背景から革新的なアメリカ(自分も社会も変われる)と保守的なヨーロッパ(人も社会も変われない。あるがままを受け入れる)の対比は面白い展開だった。
しかしやはり著者のターゲットとしている読者は「3分でできるXX」とかを盲信してしまう人であって、ちょっとした気持ちの回復やいくつかある方法論の選択肢の追加という読み方をしている読者には「どこにそんな人いるの?」と首をひねりたくなる内容だ。
自己啓発書は多少たりとも心が上に向けば良しと思って読んでいる人もいれば、即行動に結びつかない、問題解決をしない、というのを承知おいて読んでいる人もいるだろう。そういう意味では大半の書物が価値を失ってしまう。なんとなく多くの人が自己啓発書を見て「ネタっぽいなあ」と思ってスルーしているところにマジレスでこき下ろしているような白けた空気感が本書にはある。
しかし、その自己啓発書を批判している本書はどのような価値を生み出しているのだろうか?
読んでいて朝井リョウ氏の小説『何者』を思い出した。少なくとも自己啓発書を出版している人も悩んだりあがいたりして行動しているわけで、それを端から見て石を投げて満足するのでは、結局同じポルノなのではないだろうか。
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自己啓発書の売れる国売れない国、その価値観と由来の比較が面白かった。
@May_Roma 氏自身の描写も興味深い。ご家族のことは大変であったろうけれど。
「キャリアポルノ依存」層が好む、大きな文字、大きな余白でないので、最もこの本を最も読むべき相手に届かないであろうところが、残念。
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「お世話になりました」なぜアダルトな女優さんの思い出を語る時にこういうのか謎だった。でも今この本を読んで言えるのは私の本棚にあるビジネス書達に同じように告げるべきなのだろう。
タイトルは話題になったコラムが元になっている。
あまりにも衝撃を受けたがまさか本になるとは思ってもいなかった。
心の中では「新書だし、さらさらっと書いた派生本かな」くらいにしか思っていなかったけど全然違った。
冒頭の殺虫剤のくだりで抱腹絶倒。
そのあと、読んだだけで気持ちがよくなる「自己啓発書」の功罪について語られていくが、後半につれて海外労働事情を始め働き方という深い海の中に引き込まれ、自分の働き方と照らし合わせじんわりと心が温まり、少し泣ける。
ビジネス書のタイトルは編集者がつけることが多いと聞いた。残念ながらタイトルだけの見かけ倒し本とか途中から話がどっかいっちゃった本とかもある。でもこれはコラムからタイトルを取ったこともあり、見事な構成とあいまって頭の先からしっぽのさきまであんこが、いや著者の主張がぎっしりつまっていてぶれない。途中からしろあんになることもないので安心して読み切れる。
★4つにしたのはネット世界の言い回しになれないとちょっと強烈かな、と思うから。
でも、そこを超えて読んでほしいとも思う。
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<まとめ>
・日本では自己啓発書がベストセラーになっている。けれどヨーロッパではあまり自己啓発書は読まれていない。
・自己啓発書はキャリアポルノ。ポルノと同じ。自分自身はキャリアがなかなか上昇しないのに、キャリアが上昇している人の書いた本を読んで、キャリアが上昇したような気分を味わえる本。
・自己啓発書の聖地アメリカは、誰もが努力すれば成功すると信じられているが、実際は格差社会。
・ヨーロッパは地縁血縁学位でキャリアが決まる。階層が固定気味。人々はキャリア上昇をあきらめているから自己啓発書をあまり読まない。趣味や私生活を楽しむことに重きをおく。
。自己啓発書を読むより、専門書を読む方がいい。
<レビュー>
自己啓発書を読むより、専門書を読む方がいいという箇所には同意する。そのほかの主張は極論が多くあまり同意できない。
今時分はシナリオライティング、ITストラテジスト、心理学、整体を専門的に学んでいる。心理学を学ぶと、多くの自己啓発書に認知の誤謬があるとわかる。整体を専門的に学ぶと、一人でできる整体本とかに書かれていることは、整体理論のほんの一部分、わかりやすい部分しかきりとっていないとわかる。
専門的に学んだ方が力になるし、いい悪いの価値判断ができるようになる。自己啓発書は専門家が、専門を学ぶつもりのない専門外の人に向けて書いた本。本当に好きなこと、きわめたいことなら専門家になるつもりで専門的に学んだ方がいい。
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キャリアポルノとは、なかなか独創的な表現だが、確かに昨今の自己啓発書が乱立する光景には異常を感じる。
欧州ではあまり人気のない自己啓発書が、なぜアメリカと日本で売れるのか?その理由をアメコミ人気に見られる超人願望という着眼点になるほどと思った。確かに日本は水戸黄門を始め、家政婦のミタや相棒に至るまで、圧倒的な権力や卓越した家事能力、推理能力を持つ登場人物に心を奪われ易い。そこには現状や歴史を忘れ、自分は何にでもなれる、という刷り込みがあるのかもしれない。
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刺激的な言葉をチョイスし、断定的な論調で設定したテーマに切り込んで行くのが著者の持ち味なのだとしたら、もう谷本さんの本はよまなくてもいいや、というのが正直なところ。
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「多くの自己啓発本は無駄」という主張には納得できるが、論拠付けが強引すぎる。日本を卑下し、外国(欧州)を礼賛するという紋切り型に終始する。それぞれの国の成り立ちや文化についての深い理解がないため、表層的な現象の指摘にとどまっている。
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言っていることは大体正しいが、強調しすぎな感じもする。今の若い人はそれほど人生=仕事と捉えているわけでもないし、自己実現がすべて仕事と思ってるわけでもない。
30ページ以下の「自己啓発書」の分類に入っている例は、松下幸之助や大前研一など、筆者が主にさしているいかがわしいあるいはインチキな本ではないと思う。自己啓発書の範囲が広すぎるのではないか?
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いわゆる「自己啓発本」におぼれる人々に疑問を投げ抱える一冊。常見陽平さんの「僕たちはガンダムのジムである」「『意識高い系』という病」に通じるところもあるのだが、この様な本が出てくる背景には日本社会が「自己啓発」という背伸びに疲れているのを反映しているかも知れない。
欧州的な労働観にはいきなりシフト出来ないものの、身の丈を知り、すぐに劇的に変われるという幻想からはもう脱却すべき時かも知れない。
上記の常見陽平さんの著作と併せて読むと良いかも。ただ、そのまま鵜呑みにすると、「自己啓発本」のロジックに再びはまる恐れがあるので、「トンデモ本の世界」のようなつもりで面白がって読むのがオススメかな。
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自己啓発本、たしかに巷であふれているかも。何気なくよんだけど、思ったよりも雑多な知識が入ってた。がしかし、著者が女性なのもあってか感情的な部分もあったような。
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自己啓発本のことをキャリアポルノだと。その理由は本書によるとして、この本を書くのにどれだけ自己啓発本を読んだかと思うと頭がさがる。よくある自己啓発本は、出来ないことを棚にあげたり、いろいろと問題があると思っていたが、ばっさり切ってくれている。ただ、アメリカの現状と日本ではかなり違う部分があると思うし、どうかなと思う箇所も何か所かあるのだが。
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自己啓発本の流行と労働環境とを関連付ける視点は自分にとっては目新しく面白い。
ただ、表現に品がなく読みづらい。また、欧州=正しい、日米=間違い的な対比も我田引水な気がする。
誰を読者に設定しているのか分かりにくい。自己啓発本を読んでも上手くいかない人を読者に想定してるように読める部分もあり、単に日本の労働環境を批判してるだけに読める部分もある。建設的な議論をするつもりはないのかも知れない。
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私の中では賛成3割、反対7割といったところでしょうか。自己啓発書が人生のムダなのかどうか、こういった目線もあるんだということを読んでおいても良いのではないでしょうか。
本のまとめ、ブログは以下に載せています。
http://kashiwabaray.com/blog/index.php?itemid=146