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紙の本
「明快な話は信じるな」と著者は言う。
2012/06/30 17:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヂャリや - この投稿者のレビュー一覧を見る
「相場のことを明快に話す人がいたら、相場のことを全く知らない講演料稼ぎが目的の詐欺師か、口からでまかせで聞き手をバカにしている大嘘つきのであるかのどちらかです。」という著者のことは信じてもいいのだろうか。
「エコノミストは信じるな」とも本書にある。
「ダイナミックな市場の変化の中に身を置いた経験が一度もない」、「エコノミストで為替のことを理解している人はまずいません」と豪語する著者の肩書きはアナリスト。何がどう違うのか知る由もないが、銀行のディーラー経験はあるらしいと経歴でわかる。
ところが「銀行のディーラーを信じるな」とも独白している。これは面白い。なぜかについては本書でのお楽しみ。
他にも「金融機関の営業を信じるな」とある。「彼らが得意なのは商品を売る方法であって、為替や市場で儲かる方法ではありません」、「リスクをとることにかけては全くの素人」と痛快だ。
「(もし秀でているなら営業ではなく)資金運用の部署で仕事をしている」、または洞察力に優れているなら「あなたではなく、もっと上得意の客にアドバイスしているはずです。」に納得。
さらに「マスコミや評論家などの8割が同じことを言い出したら逆張りせよ」にいたっては、
「彼らは、走り去った自動車から排出されたガスを見て自動車だと言っているにすぎないのです」とその理由を明確に示しているあたり、経験がモノを言っていると感心してしまった。
もっとも、2時間で為替が理解できるとは思えない。、少なくとも大怪我は避けられる大切な身のこなし方、受身は解説されてある。「FX投資の前に読め」は本当だ。ただし「最初につくるポジションは買っても売ってもどちらでもいいのです。」「『入り口』より『出口』が大事」なのだからという相場の技術は、売買の失敗経験をつまないと分かりにくいだろうと思う。
相場の技術とは、相場観の持ち方やテクニカル指標の見方などではなく、気持ちの切り替え方、切り替えても売買行動が実際にできるかどうかにあることだと本書で知ることができた。
その様子を「相場観と収益は結びつかない場合も」のところで如実に語られているところが特に面白い。その明快さは、現実味をもって実感することしきりであった。
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