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装丁から、POPなヤクザ体験記かと思ったのだが、一人の一般人がヤクザに恐喝され搾り取られる悲劇がつらつらと述べられる。
その内容は、ただ経緯を追っただけで、パーソナリティというものがない。
登場人物は、被害者A、ヤクザA,情婦A・・・という役割が与えられて、そらそうだろうなあ、という結末を迎える。
ただの事件簿、産経の「衝撃事件の核心」のロングバージョンのようなものだ。
飽きたら読み飛ばしても全く問題がない。
そして鼻についたのが、時折現れる著者の自己顕示欲だ。
彼は飲食店のオーナーらしいがさもありなん。
飲み屋のオヤジの人生訓や「今時の若いものは」的説教を聞かされ、自分がいかに被害者救済にあたったかを被害者に語らせる。
かくしてひとつの疑念が浮かんだのである。
あまりにも想定通りの事件の進行。
調書にしてはいやにリズムのあるヤクザの供述。
著者自身の賞賛。
――この事件、本当にあったのだろうか?