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資本主義のこれまでとこれから。現代の資本主義はいかに成り立ち、今どういう局面を迎えているのか。
国家単位を基準に成り立った資本主義はグローバル化を迎えて(通貨交換を行う時代を迎えて)機能不全を起こしつつある部分もある。また、成長なき時代、フロンティア・外部がなくなりつつある時代でもあり、早晩、別のシステムを見つけなくてはならない・・・
問題の整理はいいんですが、その先を提示するのはやっぱり難しい。だからって最後は古市くんと桐島かよってツッコミを入れたくなるのも確かですが。
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資本主義の「終わり」を大きな観点から論じた対談。目先のこまごました事象は気になるが,こうした大局的な見方を自分のものにしておくのは大事。
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資本主義の「暴力」とか、「必然」なんてタイトルだったら買わなかったと思う。惹かれたのは「謎」というタイトル。帯に挙げられている「謎」は次のようなもの。曰く「なぜ西洋で誕生したのか」、「法人の起源はどこにあるのか」、「利子率革命とは何か」、「成長なき資本主義は可能なのか」。
ぼくの浅薄な知識によれば、最後の「謎」には「否」と即答することになる。但し、門外漢のぼくが即答するようなレベルのことが、わざわざ「謎」として例示されているはずもない。「もしかしたら可能性があるのか?」という興味から購入。
読み終えてみると、高校時代に読んでいたら経済学を志したかもしれないと思うほどに面白かった。あるいは、面白い学術系書籍によくあるように、読者のもつさまざまな学習体験とうまくリンクすることで一層面白く感じられる本に仕上がっているということなのかもしれない。
個人的には前半の歴史的システム的考察がとくに面白かった。影響されて理論史系の本をたくさん買ってしまった。またひとつ、ぼくに新たな楽しみを与えてくれるきっかけになった本。
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資本主義の本質を蒐集(博物館)の論理と捉える点が面白いが、その蒐集の論理がなぜ生じたかは、更なる検討が必要。
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法的には資本主義、システム的には……もはや資本主義の終わりの始まりになっているのが今なのでしょう。
社会学者と経済学者の対談で、この社会の中で経済がどのように機能しているかを立体的に考えることができました。
個人的には、世界史に全く疎いので、16世紀の話について行くのがやっとでしたが、確かに、今の経済状態も歴史の積み重ねの上に成り立っているはずですから、歴史と重ね合わせた方が理解しやすいのでしょう。
今までと違う角度で資本主義を見ることができました。
世界史の勉強、もっとしておくんだったなぁ、とつぶやき……。
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資本主義は普遍的なものなのか、過渡期的なものなのか?なぜ西洋〜キリスト教の下で発生したのか?国民国家と資本との関係は?
ローマから始まって、スペイン、オランダ、イギリス、アメリカ、日本、EU…。歴史上、ヘゲモニー国家は生産拡大→金融拡大→バブル→崩壊というサイクルで移行して行きます。その指標として水野氏は「利子」に注目します。そもそもキリスト教でもイスラム教でも禁じられていた「利子」を採用する事によって資本主義は生まれたといいます。その利子が10年を超えて2%以下の超低金利が続くと、既存の経済・社会システムが維持できなくなるという仮説なのですが、現在の日本は16世紀のジェノヴァの記録を400年振りに更新してしまいました。続いて米英独なども堰を切ったように2%を切っています。この低金利では、もう投資機会がないという事ですから、本来は成熟した良い世の中を築いたということなのに、欲望にかられて余計な事をして、金融を肥大化させる。バブルを生む…
今までは、新たなフロンティアを見つけた国が次のヘゲモニー国家となって来ました。新大陸という地理的空間だったり、ITや金融工学という仮想空間だったり…。しかし、今やもうフロンティアは残っていないように思われます。果たして中国は次のヘゲモニー国家になり得るのでしょうか?それは難しいでしょう。なぜなら中国はあくまでも従来の西欧国家や日本、韓国などが歩んできた道を辿っているだけで、決して新たなフロンティアを発見したわけではないからです。このままではもっと速いスピードで我々と同様に、縮小する経済を経験するでしょう。
さて、そんな中でグローバリズム資本主義と国民国家との関係はどうなっていくのでしょうか?資本主義は、実は現在のように資本が国境を易々と越える状況を想定していないと本書では捉えます。あくまでも国民経済の総体が世界経済だという前提なのです。現実には世界経済が先にあるのだけれど、そのフレームワーク自体を説明する方法が見つかっていない。
そうして中国、インド、東南アジア、南米、アフリカ…と、まもなくフロンティアを食い尽くした世界経済はゆっくりと、ゼロ成長に向かいます。その時にどうなるのか。日本の場合、仮にゼロ成長自体は耐えられても、その時に問題になるのは莫大な借金です。それを返済する術がない。僅かでも成長しているうちに借金を減らしていかないといけない。それは身を削るようなつらい作業になるでしょう。
そもそも資本主義は、投資と回収を繰り返して発展していくことを前提に作られたシステムです。しかも古くは家畜や奴隷、石炭、石油、あるいは原子力といった「タダ同然の安価なエネルギー」を得る事で爆発的に発展を遂げ、そのために未来から富を先取りしてきたのです。持続可能なものではなかったことに我々は気づき始めたのでしょう。解答はまだありません。この事実を自覚して、考え続ける責務が我々にはあるのです。
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成長戦略とは聞くが人の数に限りがあり、市場も限られている以上「成長し続ける事が可能なのか?」という疑問を持っていた。
そんな疑問に答えてくれる入門書です。
最後の章で「成長」の無い時代に、どう未来を切り開いていくかを論じています。
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二人の対談集だが、水野氏については、「終わりなき危機」で非常に詳しく自分の主張を書いているので、主張そのものを知るにはそっちを読んだ方が良い。
というか、前著を読んでしまうとこの本を読む意義があんまり無い様な気もする。敢えていえば、分かり易くなった入門的な位置づけか。
資本主義がフロンティアを求める性質のものなので、フロンティアがもはや残っていない現代で行き詰るのは自明の理、という主張の流れには大いに納得。これから考えるべきは、経済成長ありきではない世界のありかたになっていくのだろう。
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社会学者と経済学者の対談本。とはいっても、水野さんは経済学者と言っても、歴史の造詣に深く、利子率革命からの歴史から見た経済学の著書が多い方なので、歴史の観点から見たら、人、経済システム、国家システムなどを絡めた対談となっている。
水野氏の主張は一貫しているので、出版された本を読めばよいと思うが、対談なので比較的わかりやすいと思った。しかし、本書を理解するために必要な前提条件となる知識が多いなあと改めて思った。
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資本主義の来歴と現状を広範に論じた対談。「知的遊戯」としては抜群に面白いし、新自由主義経済の犯罪的本質への批判も真っ当だが、「資本主義はこのままでは破綻する」という現状認識の域を出ないため、副題の「『成長なき時代』をどう生きるか」という問いに対する具体的・実践的な指針は示されない。歴史学サイドとしては、「長い21世紀」説への世界システム論の恣意的な利用が気になる。
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水野和夫氏の対談本という点では、集英社新書『超マクロ展望 世界経済の真実』(萱野稔人氏との対談)とほぼ同じ内容だが、「不可能性の時代」等の大澤氏の独自概念との絡みや、「桐島、部活やめるってよ」での「桐島=覇権国(アメリカ)」というメタファーには(しっくりこない部分もあったが)新鮮味があった。個人的には、現在の資本主義的な世界経済自体はどこかでソフトランディングさせていく必要性があるんじゃないかと漠然と感じているが、果たしてそれは現実的に可能なのかと言われると・・・(´・ω・`)
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地球規模で拡大する資本主義は一見普遍的な様相を持ちつつも、実は特殊な地域の宗教的・地理的バックボーンの上に成立した概念である。そうした資本主義が持つ不可思議さを歴史的に解きほぐす本。勉強になりました。
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「(株)貧困大国アメリカ」を読むと、資本主義は強欲な金融資本主義へと進み、グローバル化し、政府への影響も強めているという。そこで手に取ったのが、タイトルもピッタリな「資本主義という謎」です。金利が2%を割る状態とは、投資すべき“理想”がない状態だそうな。現在、利子率革命が起こっていて、資本主義は大きな転換点にあると指摘します。また、資本主義が内包する「蒐集」という動機は、辺境がなくなった時に果てるといいます。推奨される成長なき安寧秩序の世界では、限りある食料・エネルギーは上手く配分できるのでしょうか?まだまだ、先は見えませんね。
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資本主義という社会・経済システムが機能不全に陥るのはもはや時間の問題であり、それに代わる新しいシステムが必要になるという水野氏の考え方を社会学者の大澤氏との対談で整理・説明していく内容の本。
このまま行けば大きな不幸が待っている。確かにそのように思える。では、どうすればいい?
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水野和夫と大澤真幸の顔合わせは意外だったが、以前より知り合いだったらしい。2人の対談を通じて、経済学的な観点と社会学的な観点から、いまにも崩れそうな資本主義について、歴史的なスパンでとらえ直している。
近代とともに発展した資本主義は、現代に至ってかつてないレベルでグローバル化した。この帰結として、搾取できるフロンティアは消滅し、「成長」する余地がなくなっている。このことが、さまざまな問題として露呈している。きわめて低い金利の状態が続くというのは、歴史的に見ても経済システムが成長しきった状態で、大きな社会的な変化がなければ解決しない。
資本主義に代わる最適な経済システムの想定があるわけでもない。
成長戦略や単なるイノベーションといった、小手先の解決策で通用するというわけでもない。
例えば、ドラッカーが知識社会と呼んだような、まったく現代と異なった社会が、今後何十年か後に出現しているのかもしれない。
それらについて、イメージし形成できるのは、最終章でふれられているように、我々とは違った価値観を持つ、今の、これからの若者たちなのかもしれない。