紙の本
会計士残酷物語
2001/11/14 23:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る
競馬シリーズの1977年の第16作。
会計士と言えば、地味で退屈な職業で、とても冒険小説の主役にふさわしいとは思えない。それがフランシスの手にかかると、危険に満ちたスリリングな職業となってしまうから不思議だ。主人公ローランドは、プロの会計士でアマチュアの騎手。脱税の手伝いをことわって恨まれる程度なら日常茶飯事だが、なぜか何度も拉致監禁の憂き目に会わされる。まさに“会計士残酷物語”。
本書には、ヒラリイ・ピンロックという校長先生が登場する。第1回目の監禁から脱出して追われるローランドをかくまってくれる。失敬な言い方をすればオールドミスなのだが、これが実に素敵なおばさん。文句なしに、本シリーズで最高に魅力的なヒロインである。テキパキした言動、さっぱりした気性で、女々しさはカケラもないが、優しさとユーモアを持ち合わせている。歳を取ったらこういう人になりたい、と思わせる女性である。本書の魅力はひとえにピンロック先生にある、と言っても過言ではないだろう。
投稿元:
レビューを見る
会計士でアマチュア騎手のローランド・ブリトンが主人公。突然、何者かに誘拐され…
女校長先生が素敵。
フランシスのファンなら必読の一冊。
投稿元:
レビューを見る
5/4読了。
「障害」っていうより「誘拐」だなあ、さらわれてばっかだ、、、。あとはヒラリィ・ピンロック(女校長の)キャラが良かった。
投稿元:
レビューを見る
確かにディック・フランシスの作品としてトップクラスではないかもしれない。でも、後期の作品に比べればずっと若々しく力強いし、最近の息子さんとの合作に比べれば筋が通っているような気がする。何よりも、作者自身が描き出している人間像に迷いがない感じがするのがよい。(要するに「利腕」以前なのである)
主人公に与えられる肉体的試練は、ある程度の所まで想像できて、次第にエスカレートしていく最後のは本当に考えただけできつい。単純なだけにずきんと身体に響く。作品の最初から思わず引き込まれてしまうのも、そういうところがあるからだろう。
頭脳が売り物の会計士で、肉体的にも騎手として大きな大会で優勝してしまうほど優れていて、正義を愛し恐怖を克服する(やや考えが足りないだけのような気もするが)ことができる人間で、しかも女性に対してきちんと思いやることができる。考えてみれば嫌になってしまうような主人公の姿なんだけど、嫌みに感じないのは、彼が試練を克服するところが説得力を持って描かれているからだと思う。好きになれそうな人物だ。
それでもトップクラスとまで言いにくいのは、やっぱり非の打ち所がないようなヒーローぶりの為だろうか。それとも、敵役の「微妙さ」の為だろうか。あるいは、ミステリとしての深みのなさの為だろうか。全部が少しずつあてはまるような気がする。
だが、そんなことを思うのは読み終わってしばらくして、他の作品と比べあわせてからの話。読んでいる間は夢中である。久しぶりに読んだのだけど、堪能した。
2009/3/22
投稿元:
レビューを見る
仕事場の方にすすめていただいて読みました。
競馬の話と聞き少し身構えましたが、読んでみたら意外とハマるものですね。
会計士として働く傍らアマチュア騎士の活動を続ける主人公は、夢だった多舞台のレースに出場し奇跡の大勝利をおさめた直後、何者かに誘拐されてしまう。
何とか逃げ出したものの、自分に迫る影におびえながら生活せざるを得なくなった主人公は、現状を打開する為に事件解決のために尽力する。
競馬界の闇に、正義を貫く会計士が挑む。
イギリスの作品らしい、独特の皮肉めいた文調が特徴的です。
わたしは小気味よく読むことができましたが、人によってはくどいと感じるかもしれません。
競馬に関する内容ではありますが、競馬のことをよく知らなくても楽しめるかと思います。
全体を通して非常にテンポがよく、読んでいてわくわくする素敵な作品だと思います。
投稿元:
レビューを見る
競馬シリーズ16作目。
会計士でもあるアマチュア騎手のブリトンは、
大レースで運よく優勝したその日に誘拐され船に閉じ込められる。
なんとか逃げ出し泳ぎ着いた岸で、
一人旅の女性に助けられ、家に戻ることができる。
会計士の仕事で不正を暴いた相手なのか。
馬主にブリテンを乗せるなと言っていた調教師なのか。
さらに再度さらわれ、今度はバンに閉じ込められる。
閉じ込められて殺されなかったことからいって、
身近な人物が犯人だろうなー、
しかも狙われたのは騎手としてではなく会計士としてだろう、
とすると共同経営者が怪しい…と導かれていったが、
その通りだった。
助けてくれた女性が、その後閉じ込められていた船を調べたというのが、
意外な展開だった。