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芥川龍之介の一断面と蛇足
2017/03/02 11:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:青時雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作者の作品は初めて読みましたが、芥川龍之介への愛着が溢れていて好感がもてました。
さて、内容としては芥川龍之介の生涯を一部分を切り取って漫画化するとなるとこの時期になるのは妥当かと思います。ただ、恋愛時には熱烈なラブレターを送っていた夫人への感情の変化や「近代日本文芸読本」がもたらした苦境、また「歯車」のような晩年の作品については取り上げてもらいたかったです。
とはいえ、芥川の断面をうまく切り取っていておすすめできる作品です。
以外は蛇足です。
巻末の「田端取材記」で田端文士村記念館の展示内容を酷評していますがちょっと気の毒になりました。
後発の文学館は作家の遺族がまとめて寄贈してくれる場合を除いて、資料は購入しなくてはいけません。でも、芥川の資料は高額ですからこのご時世には厳しいものです。そこで、資料を借用してレプリカを作って展示をすることになります。
また、山梨県立文学館のレプリカ展示にも不満を抱いているようですが、山梨は文学館の中でも芥川資料をまとめて所蔵していることに特色があります。芥川研究の大切な拠点の一つです。展示をすると資料にはダメージがあります。しかも研究拠点となると資料保存がより一層重要となるので明らかです。ですから、レプリカを使用するのはやむを得ないことだと思います。
日本近代文学館のように膨大な資料があれば短い展示期間で展示替えでき、資料へのダメージも最小限にできます。でも、そのような文学館はごくごくまれなのです。
こう考えると実名まで出された両館はやはりお気の毒と同情してしまいます。
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文学に触れたくなる。「僕たちは ただ 百年残る言葉を 探しているのだ そのために 今 生きているのだ」
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かるーい感じの文学周辺漫画。大体龍之介があんまり好きじゃないんだよなあ…。美化して描きすぎでしょ龍之介を。「ぼんやりとした不安」についても思ったより大分薄っぺらく書いてるし…、。
そもそも作家が作家を描くっていうのもあんまり理解できないなあ。「この作家を俺より理解してる奴は金輪際存在しない!!」って上での作家論的作品ならいいけどこれは違うよね。そういう捨て身のナルシズムが一切ない。「文学萌え」ってやつなのかなあ…。芥川龍之介って人物の「設定萌え」なだけだよね。この人が学問としての文学を勉強(専攻)してないってことはすごい伝わってきたけど。
最後に博物館の展示内容貶してたのがいけすかない。自分が取材したものをわざわざ貶したり嫌いだと表明する奴は漫画家として人間として一番嫌いな人種。槇村さとるとかな!よかったことを褒るだけでええやん。
僕たちは ただ 百年残る言葉を探しているのだ そのために 今 生きているのだってモノローグは良かったけどどこかに元ネタがありそうな。
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1話目を本屋で立ち読みできて、面白そうだったので。
絵柄は味があって、なかなか好み。
芥川のエピソードを拾った短編集って感じで、中身は軽め。芥川の足跡を知らないとわかりにくいところも。
芥川龍之介を久しぶりに読みたくなった。
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ぼんぼん ほろほろ
って感じなんだけど…
こんな擬音語で何が言いたいのか?と言われるとまったく説明できない。
でも、芥川は ぼんぼん ほろほろ
って感じ。
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山田詠美が エッセイの中でほめていたのでつられて買ってしまう。こういう文豪のエピソードを漫画にしたものは初めて。なかなか大正から昭和にかけての社会背景を面白く描いている。
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漫画家さんが芥川がすきなのがよく伝わってきた。
けど、それだけかなぁ〜?
絵はすごく好みだし、芥川自身の作品もすきだから、楽しく読めた。
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高校時代に夢中になって以来、ずっと芥川龍之介が大好きだ。近代日本文学を読み始めるきっかけを与えてくれた文豪として、私の読書人生においてもはや初恋の人的存在。はじめて全集を読破した作家でもある。
そんなわけで、ついつい買ってしまった。我ながらミーハー?
描かれるのは田端在住時から後のおはなし。一貫した物語というよりはちょっとしたエピソードの連続といった形。一応フィクションということで、多少の改変もあるようだ。室生犀星と萩原朔太郎の田端組を筆頭に、文壇の人間模様もおもしろい。新しい女とか、社会主義とか、関東大震災とかの描かれ方を見ると、彼の生きた「大正という時代」が一つの主題となっている模様。まさに激動の時代だったんだろうな。
裏表紙にもある「僕たちは ただ 百年残る言葉を 探しているのだ そのために 今 生きているのだ」という一節が秀逸。
絵柄もすっきりしていて悪くなかった。芥川格好良すぎだけど。
ただ・・・「〜という」を「〜とゆう」と表記しているところがあって気になった。作品のテーマを考えると、文章には気を遣ってほしいところ。それとも何か作者なりの狙いでもあるんだろうか。
欲を言えば、終盤の展開はもう少し深く掘り下げてくれればよかったのにと思う。単発じゃなくてシリーズにして幼少時代から最晩年まで描ききる、くらいしてほしいー。
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平置きに弱いんです、私・・・。
買っちゃいました♪
この人の住んでるところが近いだけにちょっと気になる。
そんなに暗くないし、芥川さんがちょっと好きになる作品です。
でも・・・できれば続きが読みたいな。
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芥川ってこんなに親しみやすいのか!
芥川を始め数々の文豪たちの考えや思いにも触れられた。
物語としても純粋に面白い
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7月24日は河童忌だったので読んでみました。
芥川龍之介と当時の文豪たちの普通の日常が描き出されていて身近に感じられつつも、彼らの発するさり気ない一言に心揺さぶらました。
僕達はただ
百年残る言葉を探している
「話らしい話」などいらない
わからなくていい
美しければいい
筋は消える
美しい塊が残る──
単行本1冊分で長くはないのですが、文字に命を注いで言葉を連ね続けた芥川龍之介の生き方が深く胸に残る傑作でした。
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松田さんは芥川が本当に好きなんだな、と感じさせられる一冊。
田端の地形までを作品に取り込んだ第一章から引き込まれた。
もうあの頃の田端なんて、どこにもないのに。
地形さえ、大きく変わってしまったのに。
大正の田端の雰囲気って、きっとこうだったんだ、と感じる。
平塚らいてう夫妻や、文夫人がとても魅力的に描かれていたのも印象的。
特に、「私がこの家に嫁ぐことを選んだんですもの(幸せです)」と言い切る文夫人の姿に、胸のすく思いがする。
それから、不気味で抗いがたい力を持つ近代の象徴としての汽車。
それ自体は、漱石の『三四郎』(だったか?)にも、例がある。
失礼ながら、最初は「今更?」という感じだった。
ただ、本作では、無心に汽車に歓声をあげる次男、比呂志がかんでくるので、汽車のイメージは非常に印象が鮮烈だった。
滅びへの道を汽車のように突き進む父龍之介が、鮮明に迫ってくる。
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軽い雰囲気のタイトルと冒頭からは想像もつかない幕切れ。文学に取り憑かれ時代に翻弄され徐々に生きる力を失っていく様が苦しい。エピソードとその解釈に著者の龍之介への思い入れの強さが窺えた。
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重版出来で松田さんに興味を持って購入。暗いイメージのある芥川に親しみを覚えて,改めて芥川を読もうという気になりますね。終章で二男が汽車に向かって叫ぶシーンで何故か涙が出てくる。
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勉強漫画特集からのチョイスだったか。かつ、入手してから気付いたんだけど、実は『重版出来』の作者の手によるものだった。かの作品もかなり出来が良いけど、一巻完結の本作も、なかなかの読み応えだった。正直、文豪に対する興味はほぼ皆無なんだけど、”こんな人と交流があったんだ⁉”っていうなるほど感とか、意外にもかなり不真面目な芥川の生きざまとか、結構読みどころは多かった。