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『聖灰の暗号(下)』(帚木蓬生、2010年、新潮文庫 )
キリスト教がテーマ、謎解き、謎解きと並行して起こる殺人事件。小説の設定としては『ダヴィンチ・コード』と似てます。
『聖灰の暗号』では、中世にローマカトリック教会から異端とされたカタリ派に関する世紀の大発見をした日本人歴史学者スガイとフランス人医師らとともに、物語が進んでいきます。
謎解きが進むにつれ、追手がいることが明らかに。それはスガイの発見を阻害しようとします。それがため、殺人事件にまで発展してしまいます。
追手が迫るなか、スガイらは謎解きと完成することができるのか。
(2009年12月31日)
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上下2巻のそれも厚みのある2冊だったけど、停滞することなく最後まで読めた。途中、カタリ派の<良き人>の説教、問答に感動。実際に聖職者による問答のように思えるくらい。
文中で紹介されるワインや郷土料理も楽しい。恋愛のシーンはは・・・なくてもいいかな。
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話ができすぎていて、スリルに欠ける部分がある。
ただ、カタリ派というあまり馴染みのないキリスト教の一派に対する中世キリスト教の異端審問を題材にして、権威、権力と個人の信仰、内面という問題をうまく扱っていて、なかなか勉強させられる。
あまり馴染みのないテーマをわかりやすく、興味をひきだすように描きだす技術はすごい。
カタリ派が日本人の宗教観に近いのか、カタリ派を日本人の宗教観に合わせて解釈しているのかよくわからないが、カタリ派の独特な考え方がなかなか興味深い。
前回読んだ、『深い河』の大津の考え方を思い出したりもした。
ただ、カタリ派に対する評価と、ローマ教会に対する批判的態度がいずれも一面的な気がしないでもない。
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神をあがめる集団といえども、どうしてこうもおろかなんだろう。
人間は何故、組織となるとこうも愚かな行いを繰り返す生き物なのか。
人間、一人ひとりと話せばまともであるのに、組織に属した集団となると、どこまでも狭い了見で止まること無く突き進んでしまう。
救いを求めて生み出されたであろう宗教のもとには必ず犠牲が伴うというのは、所詮は人間が産み出したものだからなのか。
途中何度も何度もハラハラして気が気ではなかった。
最後まで主人公を助ける、山に住むエリックの描写を読んでいる間、自然のままに暮らしている、敬愛する彫師さんの姿が思い浮かんだ。
またもや良作でした。
帚木作品大好きです。
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上巻から徐々に謎に迫り、そしていよいよすべての手稿が発見される。ここに出てくることっぽいことは、おそらく本当にあったのだろう。たくさんの人々がキリスト教の王道から違う(解釈が違う)というだけで、残虐に葬り去られてきた。普段は考えないが、信仰とはなんだろうかと考える。どう考えても、自分はこの小説に出てきた異端の考えの方が共感できる。そうなると、火あぶりかー、いやでも王道派のふりをするかな、しにたくないし。そう考えるとやっぱり、信仰を貫いて火刑に処される気持ちもわからず、どっちもやだなーと、思ってしまう自分は日本人っぽいといえばそうかと。物語的にはまーまー、ちょっと中だるみはあった。
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信仰とは何か、善とは何か。
古文書によって解明されるローマ教会とカタリ派の対比が、(日本人にもわかりやすいようにデフォルメされているのかもしれないけれど)非常に興味深い。ミステリーの要素も充分で、次々と頁を繰りたくなるスリリングさ。ラブストーリーや友情も気持ち良く描かれていて、小説としての面白さあり、信仰、宗教についてわずかでも考えるきっかけにもなり、魅力的な本でした。
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やはりこの作家は凄い。文句なし☆×5。13世紀フランスにて実際におきた血ぬられた過去を示す一通の古文書を一人の日本人歴史学者が偶然発見することから物語は始まる。バチカンによる実際に起きたカタリ派の粛清を史実に基づいて一級のミステリーに仕上げてある。驚愕すべきは古文書が全て筆者の創作。「 彼らの生きた証を探しだし人々の意識のどこかに収めるのが歴史家のやろうとしている試みである」 感動という安易な一言では言い表すことは出来ない。完敗です。そういえばダ・ヴィンチコードに似ているかな。
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基督教における正統と異端、特にカタリ派に関する類書を何冊か読んでいた為、興味深く読了することができた。但しミステリとしては展開も結末もお粗末。シリーズ物かと錯覚する程、人物の書きこみが不足している。何の為に出て来たかわからない人物も多い。それがよりリアルだと言われれば、それまでだが。百頁余にも及ぶ作中大作「マルテの手稿」に感情移入できるかが本書を楽しむ上での分水嶺。現在の視点で過去を糾弾するのはアンフェア―なやり方であるが、現ローマ教皇庁が中世の異端審問をどのように総括したのかについて少し調べたくなった。
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読み応えのある傑作
本当は細部まで読み解きたかったが読みたい本が溜まっていて少し流し読み。
歴史とサスペンスが好きな人にはぴったり。
今年は、宗教・ヨーロッパ文化にふれる機会が多そうな予感
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初めての帚木 蓬生 さん
面白い
細かな描写でグイグイ引き込まれる
悠久の歴史に思いを馳せタイムスリップ
宗教と人間とそれを取り巻く巨大な力に翻弄されながらも立ち向かう人々の姿に感銘を受けた
信念を貫くことはシンプルでいてとても難しい
いつの時代も歴史を作るのは揺ぎ無い信念と情熱を持つこういう人達なんだろうな
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レイモン・マルティの手稿に圧倒される。聖書の引用をよどみなくつなぎ合わせてカトリック教会を論破・指弾するくだりは、サスペンスの域を超えた迫力
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★2.5だが友人の顔を立てておまけ。
日本の小説に非常にありがちなエンターテインメントへのこだわり不足の典型例。
こういった点がハリウッドをはじめとした(良くも悪くも)娯楽大国アメリカとの決定的、そして埋めがたい差という気がしてならない。
作家はカタリ派の想いの代弁に力点を置いていたのかもしれなし、またそこに日本の特徴があると見るべきかもしれないが、それは中途半端な特徴に過ぎないことを皆自覚すべきかと思う。
返す返す、題材・途中までの展開は面白いのに本当に惜しい。
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通訳書記として居合わせたドミニコ会修道士が書いた手稿を追う主人公。
ローマカトリック教会の弾圧に遭いながらも信仰を捨てなかったカタリ派を書いた手稿は泣ける
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【本の内容】
<上>
歴史学者・須貝彰は、南仏の図書館で世紀の発見をした。
異端としてカトリックに憎悪され、十字軍の総攻撃を受けたカタリ派についての古文書を探りあてたのだ。
運命的に出会った精神科医クリスチーヌ・サンドルとともに、須貝は、後世に密かに伝えられた“人間の大罪”を追い始める。
構想三十年、時代に翻弄された市井の男女を描き続ける作家が全身全霊をこめた、歴史ミステリ。
<下>
長き眠りから覚めた古文書は、須貝たちの胸を揺さぶった。
神を仰ぎ慎ましく暮らしてきた人びとがなぜ、聖職者により、残酷な火刑に処されなければならなかったのか。
そして、恋人たちの目前で連続する奇怪な殺人事件。
次々と暗号を解いてきた須貝とクリスチーヌの行く手には、闇が顎を開けていた。
遙かな過去、遠きヨーロッパの地から、いま日本人に問いかける、人間という名の難問。
[ 目次 ]
<上>
<下>
[ POP ]
歴史学者の須貝彰は、中世の異端審問で迫害されたカタリ派にまつわる古文書を南仏の図書館で発見した。
「鳥が飛び兎が跳ねる。それなのに私は悲しい」という、集団火刑を目撃した修道士の手稿を端緒に、謎を追う須貝の周辺で、図書館長らが奇怪な死を遂げる……。
構想30年、考えが異なる人を攻撃する、人と宗教の罪業を問う歴史ミステリー。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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登録し忘れていたこの本をもって、今年度、歳の数だけ読んじゃいました。
カタリ派の素晴らしさは伝わってきたけども、帚木さんにしては冒険ストーリーすぎて、ちょっと結末とか軽いかな。
そこまでするかなぁ。といった結末。