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沖縄を舞台にしたホラー短編集。
解説にある『異界の沖縄』という言葉が表すように、現実にある世界を舞台にしながら、作中の世界には不思議と現実感が無い。沖縄に行ったことがあれば、また違うのだろうか?
クトゥルー的な異形の生き物が登場する『ニョラ穴』、ループものSF(タイムトラベルものという解釈も有り得るか?)を彷彿とさせる『月夜の夢の、帰り道』、輪廻転生ものの『私はフーイー』のように、王道ホラーに限定しない短編があるのも嬉しい。
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沖縄を舞台にした怪異譚。現実と地続きになっている怪異が、そこにあります。よく判らない妖怪のようなものがそこにおり、気が付けば怪異に覆われている。沖縄独特の言葉や環境が、そこに彩りを与えます。そんな世界がそこにあると思わせるのが、沖縄の持つ力なのでしょうか。沖縄から連想される青い空青い海が、却って禍々しいものを連想させる要因となることに戦慄を覚えます。
死者と語る胡弓の調べ、望みを叶えてくれる妖怪との思い出、無人島で出くわした怪物の恐怖、心身ともに蝕まれる娼婦の囁き、など沖縄の空の下から怪異はやってきます。
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沖縄を舞台にしたホラー、になるのでしょうか。
全部で7編の独立した短編集となっています。
共通しているのは“異世界”、そして“死の匂い”、
中でも印象的であったのは“フーイー”の物語。
転生を繰り返しながら“琉球”を俯瞰する一人の女、
歴史に翻弄されているとも見ると、なかなかに興味深く。
なにはともあれ、沖縄に行きたく、なりました。
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沖縄を舞台にした怪奇譚を7編収録した短編集。
各編のページ数は30ページほど。個人的に恒川さんの作品は『夜市』や『秋の牢獄』など長編まではいかなくても少し長めの話が好きなので、どうかなあ、などと読み始める前は思っていたのですが、そんなことを考えてしまってごめんなさい、と恒川さんに謝罪の気持ちでいっぱいです(苦笑)。
沖縄出身で沖縄在住の恒川さんですが、そのためか各短編の雰囲気や風土が読んでいて自然に自分の中でとても鮮やかに想像されます。
そして各短編の異界の雰囲気や”魔”の空気感というのも沖縄という世界観に非常にマッチしていると思います。クームンやニョラといった妖怪(?)たちのネーミングも舞台が沖縄であるからこそ、本当にそういう存在がいたのではないか、今でもいるのではないか、と想像させられるのです。
恒川さんの作品は読んでいると、なぜか安心してその世界に浸っていられるような気がします。決して各作品は穏やかな話ばかりではなく、死や人の罪なども描かれるのですが、それをどこか突き放したように見て、
そしてそうした残酷な現実と地続きながらも、どこか神話的な美しさ、民俗的な懐かしさのある異界や幻想が描かれるからこそ、そうした安心感があるのかな、と思います。
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201501最初の段階で読む気が失せてしまった。なぜだろう。直前に金色の獣を読んだからかも。とりあえず「わたしはフーイー」だけは最後まで読んだ。でも、金色の獣のほうがおもしろかった。ホラー要素がもっとあればよかったかも。
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メディアファクトリーから 2012年11月に刊行された『私はフーイー 沖縄怪談短篇集』の改題文庫版で作者の住む沖縄の島々を舞台にした怪談、奇談の7話で構成される短編集。
デビュー作『夜市』以来、毎回「どうしてこんな話が描けるのだろう」と感心することしきり。琴線に触れるストーリーは、本編で語られる弥勒節(みるくぶし)を奏でる「胡弓」のようだ。 その旋律ともいえる独特のテンポと文体は、むかし、子供の頃に聞いた婆ちゃんが警句を込めた不思議で怖い怪談風味の土地寓話のような懐かしい「耳触り」がなんとも素敵。
南方や近隣の島々から渡来して住人と成る独特な民族構成とその文化、そして時代の流れの中に激しく翻弄されてきた土地の歴史。「南国の楽園」と言うイメージに裏側に潜む暗く恐ろしい人間のエゴと自然と共存するために伝えられてきた信仰が絡み合うファンタジー。
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沖縄を舞台とした、妖怪(?)ストーリー7本。
ホラーではない感じです。
沖縄にならこんな事も有るかも
と思いながら読めますが、
タイトルは単行本の、時の
『私はフーイー 沖縄怪談短編集』
のほうが、しっくりきます。
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好きです、恒川さん(真顔) 沖縄を舞台に、不気味で不思議な世界を美しく描く短編七作。ニョラやクームーといった聞き慣れない語感の言葉の数々に、柔らかい方言の響き、リアルの中にじわりと紛れ込む幻想の風景、得体のしれない生物やヒトビトの存在感。今作も恒川ワールドにどっぷり浸かりこみました。
描写や設定が一番好みだったのは「弥勒節」。クライマックスの胡弓の演奏シーンは圧巻です。
個人的に一番怖かったのは「夜のパーラー」。解説にもありましたが、七作の中で最もファンタジー要素が少ないこの作品で、他のどれより背筋が寒くなりました。
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ほの暗い幼少期の記憶。忘れかけていた心を呼び出すかのように懐かしさとともに押し寄せてくる物語たち。沖縄の離島、過去と現在が交錯するといった構成も面白い。
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http://takotakora.at.webry.info/201503/article_7.html
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安定の面白さ。
「夜市」や「秋の牢獄」はしっとり感のある幻想譚。
本作は舞台が沖縄ということでカラリとした幻想世界を見せてくれた。
でも、クームンの家、少年が出会う影のように希薄は女など時折しっとりしたものが滲み出てきてくれる。
「月夜の夢の、帰り道」が爽やかで好み。
「ニョラの穴」はホラー「夜のパーラー」怪談的で好み。
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ゆっくりと忍び寄ってくる恐ろしさ。
この世界観が堪らない。
「クームン」と「私はフーイー」が好き。
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沖縄を舞台にした風土感のある幻想譚7編でした。優しい筆致の中に理不尽な現実やいつも近くに潜んでいる死が常に見え隠れしていて、登場人物たちのすぐそばにある異界の優しさも怖さも引き立てています。
幻想譚と言うべき物語が多い中で、「夜のパーラー」は格別の怖さ。
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なぜ「わったー」を一人称で使うのか、それが気になって釈然としない。
しかも全ての話に出てくる。
うっかりミスなのか?わざと?
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うーむ...いつもの恒川さんの幻想的なホラーが読みたくて、期待して購入しましたが....。
ただ人間の汚さが全面に出ているといいますか...幻想的な雰囲気があまり無いです。
弥勒節が良かったです