紙の本
設定は悪くないが、全体の一体感がもう少しほしい
2015/08/23 12:09
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「友々亭」という他人丼チェーンの各店舗の店長を軸とした短編集。各話にフランチャイズ営業部の女性が共通して登場することを除けば、特に繋がりはない。土台が同じチェーン店だから、そこはかとなく連作の趣きが漂っていないことはないが、もう少しひねりがほしいような気もする。例えば他の話に登場した人がちらっと出てきたり、話題になったりするような。それよりも、この作品の主眼は店長を務める人間の悲哀であったり憤りであったりするようだ。どちらかというとあまり楽しい状況でないことが多い。それでも話の最後には前向きにやっていこうとする店長が多いのはさすが山本幸久テイストといったところか。
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他人丼のチェーン店のお話。
フランチャイズのオーナーや社員など、本当に店長がいっぱい(笑)
吉野家とか行ってみたくなった。
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夫を亡くしたばかりの真田あさぎは、小学生のひとり息子を育てるため、「友々丼」と名付けた“他人丼”の専門店「友々家」を開いた―。あれから30年余り。いまでは、百二十店舗を数えるまでになった。東京、神奈川、群馬…今日も、あちこちの「友々家」では、店長たちが、友々丼をせっせと提供している。それぞれの事情を抱え、生きるために「友々丼」をつくり続ける7人の店長と、共に働く人々のちょっぴり切ない七つの物語。
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「松を飾る」 「雪に舞う」 「背中に語る」 「一人ぼっちの二人」 「夢から醒めた夢」 「江ノ島が右手に」 「寄り添い、笑う」
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友々家の各地の店の店長がそれぞれの章の主役である。店ごとに客層もスタッフの質もさまざまで、店長になったいきさつもそれぞれである。各店の抱える悩みや、店長個人の屈託、スタッフとのかかわり方など、ひとつとして同じ例はなく興味深い。そして、店長たちの物語ではあるのだが、それを大きく包んだ形で、創業者の真田あさぎとその家族の物語でもあるのが、さらに味わい深い。やり手で美人の霧賀さんもしあわせになれそうな感じなのも、つい嬉しくなってしまう。友々家に行ってみたくなる一冊である。
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冒頭───
穴山浩輔は寸胴鍋から豚のバラ肉とたまねぎを甘辛く煮込んだものを、お玉で掬い取った。汁もいっしょにだ。それらをあらかじめコンロに載せてある小さな鍋へ移す。右手でお玉を寸胴鍋に戻し、左手でコンロのスイッチを入れた。家庭用のとそう大きさは変わらないが、火力は強い。
1,2,3,4,5.口の中で数える。そのあいだに寸胴鍋とは反対側のスペースにある蓋とお椀を手に取った。お椀の中には殻を割ってだしておいた卵が入っている。すでに箸でかき回した状態だ。
──────
豚肉と卵を使った他人丼ならぬ友々丼をチェーン展開する、友々家の店長たちや社長、会長などのエピソードを綴った連作短編集。
全体的にほのぼのとした物語だが、最後の二編、社長が店員経験をする話と創業者である社長の母親の会長が回顧する話はには、ちょっとほろっとさせられる。
山本幸久氏独特の軽く読めて心がほっこりするような作品です。
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豚丼チェーン店のお話なんだけど、はじめ使えないと思った人まで、「人って関わり方で変わるんだな!」って実感できるお話で、心温まりました。
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友々家…他人丼の専門店(どこかにありそうだけど)。舞台はファストフードのフランチャイズ店。7人の店長と本社の美人スタッフ、点と点を線に結ぶ短編連作。タイトルとは裏腹に、真の主人公は個性際立つ2代目社長。現場を知らないのは罪、学べるところはいくらでもあるのだ!
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近年の山本幸久作品の中では一番面白かった。
外食チェーンの店長の話で、実際は作中ほど前向きじゃなく辛いことばかりだろうけど楽しく読めた。主人公たちも一話を除けば応援したくなる人ばかりで非常に良かった。
特に好きなのは渋川での話。
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外食チェーンフランチャイズの店長たちの物語。
どれも面白いが、どれももちょっと読みたくなる。
【図書館・初読・12/31読了】
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他人丼を提供する外食チェーン「友々家」の様々な支店長の物語。店舗の売り上げは勿論だけど、バイト生との人間関係とか、悩み事が尽きないの共感しながら読みました。お莫迦な現社長と、その母である現会長の話が良かったです。
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友々家という他人丼のチェーン店で働く店長さんの7つのストーリー。ハートウォーミングなお仕事小説で、癒されました。
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いつも楽しくなる作者お得意のお仕事小説なのだが、今回も賑やかにそしてあたたかい気持ちになる連作短編集だった。作者の会社名や社歌のセンスが毎度のことながら面白い。個性的な登場人物でハプニングだらけだけれど「会社愛」「仕事愛」に溢れていて自分も頑張らなくてはと思わせてくれる一冊だ。
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どの店の話も心がほっこりしました。
こういうチェーン店の店長という仕事が厳しいことは知られていますが、それでもこの仕事を続けているこの登場人物たちは、どこかおっとりしているんだなと思いました。
みんな、この仕事をがむしゃらにするしかなかった状況でも、この仕事を天職と思っているわけではないけれど、この店長たちだからこそ、店が成り立っているような気がしてきて。
山本幸久ワールドでした!
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“店長がいっぱい”って、ああ、そういう事か。チェーン店それぞれの店長が抱える問題や悩みは様々なれど、働くからにはどの業界でも似たような事にぶち当たるので、共感したり同情したり。一つ一つの話自体は投げっ放しにされた終わり方でもあり、少し消化不良かと思われましたが、最終章で綺麗に纏め上げられスッキリでした。
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題名が謎で読み始めたけど、店長がいっぱいって、そういうことか!
チェーン店は確かに店長がいっぱい。
そして店長の、お店それぞれの悲喜交々がある。
できる本社社員は妬まれるし、本社のトップの社長にも、悩みはある。
どんな形でも、働くって大変。けど、良いこともある。
若社長の成長っぷりにもびっくりですね。
丼チェーン店での食事って気もそぞろに済ませてしまいそうやけど、ピンと背筋を伸ばして、美味しそうにかきこみたいものです。
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長時間勤務、従業員同士の人間関係、事務所にはオリジナルキャラクター人形の段ボールが山、クリスマスディナーセットのノルマ、忙しいのに新メニュー開拓・・・店長さんは本当に大変です。
二代目社長の思いつきに振り回される社員も大変。霧賀久仁子さん、よく働くなぁ・・・。
それでも読み終わった後に不思議と「心地よい疲れ」をほのかに感じる。
これだけ何度も友々丼(他人丼)出てくると食べたくなる。食べたいなぁ。明日のお昼に作ろう。お肉の買い置きがないけど、ちくわと卵でいいかなっ?