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背負い富士 みんなのレビュー

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一般書

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みんなのレビュー12件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (8件)
  • 星 3 (2件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

清水湊の名物は♪

2009/07/13 15:32

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る

お茶の香りと侠意気♪とまで歌われた歴史上の人物、といえば。そう清水の次郎長である。森の石松や大政小政といった、屈強な侠客達を集めた清水の次郎長一家の大親分。がしかし。では次郎長が一体どんな生い立ちで、どんな最期だったか知っているかと言うと。これは結構知らない人が多いのではなかろうか。そんな方々にぴったりなのが、本作品「背負い富士」。山本一力版の清水の次郎長一代記である。
物語の前半は次郎長の生い立ちから、生涯の友となる音吉と江戸へ出た後、仲間と共に米の相場で大儲けをするまでの話し。次郎長が相場で儲けていたとは意外であった。しかしやはり若い時分から、人を見る目、世の先を見通す目は確かであった事が伺えた。後半は年老いた音吉の元に二人の男が現れ、次郎長の話しを請う事で物語が進む。二人に頼まれて音吉が話し始めた色々なエピソードは、何とも波乱万丈な次郎長の生涯を物語っていた。中でも、一番可愛がっていた森の石松が騙しにあった話は凄まじい。自分の面子も捨て去って、それでも静かに次郎長は怒りを募らせる。そして卑怯にも逃げ回る相手を追い詰め、叩ッ斬るのである。博徒でありながら純粋で義に厚く、人々に感謝さえされていた次郎長。その素顔が、この作品には描かれていた。
また背景に富士山を持って来た事も素晴らしい。物語に富士山が直接絡んで来る事はないのだけれど、文字通り作品の背景として、その存在感は絶大だった。雷神さえも下に聞くという、霊峰富士。その存在はいつの時代の日本人にとっても特別であり、畏れ敬ってきた。だけに、次郎長の時代と現代とを瞬時に繋げてしまう素晴らしい効果を出していた。
山本作品の時代物、といえば舞台は江戸深川と漠然と思っていたが。今回は江戸から離れ、静岡は清水を舞台とした所も面白い。果ては大坂や讃岐まで物語は広がっていく。それでは江戸は登場しないかというと、やはりちゃんと登場する。というか次郎長と江戸の間に、そんな深い関係があったとは露知らず。あの秀弥も、山本ファンには溜まらない非常に粋な格好で現れる。
そういえば私の知る限り、主人公が実在の歴史上の人物であると言うのも初めてではなかろうか。そんな点からも色々ご苦労はあったと思うが、氏の作品群でも比類なき素晴らしい作品に仕上がっていた。山本作品の一大傑作、と言って良いと思う。

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紙の本

安政の大地震での物心両面の救援活動

2011/04/14 18:29

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

清水の次郎長の一生を、同じ日に同じ町で生まれて死ぬまで行動を共にした男が、1893年12月31日に回想する。

清水の次郎長といえば、私がこどもの頃、テレビでドラマや映画などをさんざん、家族と一緒に見て、おおいに楽しんだものだ。だが、次郎長一家を旗揚げする前に、清水の米屋の息子の長五郎として、相場で大儲けしたという話は知らなかった。家から大金を持ち出して江戸まで行ったのを、連れ帰られて勘当された後、残りのお金で相場を張って稼いだので勘当を解いて貰ったとか。その相場で儲けるために仲間を集めて用意周到な準備をする話は、ちょっと、同じ作者の、損料屋喜八郎や定斎屋蔵秀を彷彿とさせるところがあって、おもしろかった。このとき、長五郎に七人衆という仲間ができた。

その後の話は、1894年1月1日と2日に、東京から次郎長の話を聞きに来た商人たちに語り聞かせる形になっている。この形式は、2010年のNHKの大河ドラマの「龍馬伝」に似ている。「龍馬伝」では、岩崎弥太郎が、1882年から1885年まで3回に分けて、坂崎紫瀾に語り聞かせていた。一方、山本一力の小説『背負い富士』で清水の次郎長の後半生が語られる1894年といえば、日清戦争が始まる年だ。

天保の頃、長五郎は石松を子分にし、弘化年間、「清水の次郎長」の名で一家を旗揚げし、お蝶さんと結婚もする。そして、安政年間、江戸の町は大地震とそれに続いて大火事に見舞われた。次郎長は、清水の町の有力者たちと協力して、救援物資を船に乗せて運んでいく。このときの救援活動が、ちょうど今の、東日本大震災にも通じるようなところがあるのだ。

古文書などを参考にしたのか、それとも、現代人である作者が創作したのか知らないが、たとえば、その救援物資の内容は、

>すぐに炊いて食べられるように、搗米を終えた米を二百俵。
>味噌を十樽。味噌さえあれば、温かい味噌汁が拵えられる。握り飯に塗れば、おかずいらずだ。
>掻巻、綿入れなどの寒さを防ぐ古着を大小取り混ぜて、少なくても百着。(中略)
>江戸は、ほとんどの家屋が潰れているという。少しでも身体が温まる古着は、冬に向かっているいまは、必需品となるのが目に見えていた。
>ほかには、身体を暖めて威勢を呼び起こす酒と、汚れのない飲み水である。

ちなみに、当時の人々は、普段から古着を買って着るのが当たり前だったから、古着を救援物資にしても何も失礼なことはなかったはずだ。

運んでいく途中で浦賀の番所で糞丁寧な取り調べや細かい手続きがあって無駄な時間を取られるところは、現代にも同じようなことがあるような……

清水湊からの救援物資は、江戸の被災者に大いに喜ばれた。ところが、支援というものは、物質面だけでなく、精神面でも必須なのだった。現代の東日本大震災では、現地で鍼灸のボランティアをしている人のブログで読んだが、子供達にアンパンマンの人形を持っていったり、ドッジボールをしたりして、喜ばれているそうだ。そして、この山本一力の『背負い富士』では……。

>品物をもらうと顔をほころばせるが、その笑みは長くは続かなかった。
>さまざまな屈託を抱えたまま、ずるずると日が過ぎている。
>(中略)
>「江戸がこんなだと分かってりゃあ、威勢のいい神輿も一緒に運んでくるんだったぜ。」
>石松は神輿に肩をいれる真似をした。

石松の言葉がきっかけで、清水一家が走り回り、宿の女将の助言も得て、深川の肝煎りたちを動かし、富岡八幡宮の月次祭で神輿を出して大いに盛り上げることになる。山本一力作品ではおなじみの江戸屋の女将、このときは八代目の秀弥も、総代として神輿を担ぎ、深川は威勢を取り戻した、という。

小説は、この後、お蝶の死や金毘羅参り、森の石松の死と敵討ちなど、まさに子供の頃にテレビで見た、よく知っているエピソードが続く。後半部分はむしろ石松が主人公といってもいいぐらいに生き生きとしている。それに比べて、次郎長の物語としては、子供の頃の時代劇の方がおもしろかったというのが、正直な感想である。

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紙の本

山本一力氏得意の義理人情と縁によって描いた清水の次郎長伝

2009/12/07 19:00

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

物語は、清水の次郎長と同じ日に生まれ、次郎長とともに幼少期を過ごし、次郎長が死ぬときまで一緒だった音吉の回想禄的な構成で描かれている。

物語の始まりである『序』では、明治二十六年における音吉が最初に描かれており、次郎長が生きた時代が江戸末期から明治なのだと認識させられる。
つづいて時代は次郎長が生まれる幕末。
次郎長が生まれた清水湊の風景や環境、生家から甲田屋の養子になるまでが描かれており、物語の中で次郎長が自在に動き回れる環境が整えられた形になっている。


中盤以降からは侠客となった次郎長が活躍する。
安政の大地震によって壊滅状態の江戸へ援助隊として向かった次郎長一家、幕府役人との争い、自分たちを売った保下田の久六や石松を殺した都鳥一家への敵討ちなどが描かれており、義理人情を重んじ、一本筋が通っている次郎長が存分に描かれている。
次郎長伝になくてはならない森の石松の人物像や活躍、讃岐の金比羅代参の帰途における『食いねえ、食いねえ、鮨を食いねえ』と言う有名な台詞の場面も描かれている。(その有名な台詞は書かれていないが)

侠客になってからの次郎長たちの活躍以外にも楽しみがある。
米穀屋・甲田屋の跡取りで次郎長がまだ長五郎と呼ばれていたとき、音吉が軍師として集めた七人の仲間たちと活躍した浜松の米相場の物語である。
ここで巨大な儲けを出した次郎長は一躍名前を広める。ここでは次郎長の勝負感や義侠心が十分に描かれており、フィクション色の強かった幼少期の次郎長から、人物伝が現存するノンフィクション色の強い侠客・次郎長へスムーズに人物像が成長したように感じた。

米相場での七人の仲間は、それぞれ特技を持っており、彼らは次郎長が侠客になってからもたびたび登場し、読者を楽しませてくれる。
侠客になった新しい世界で次郎長を描くのではなく、昔の仲間や世話になった人々との交流を描く山本氏得意の『縁』も織り込まれているから、厚さ以上に楽しめるものになっている。

本書を書くに至って山本氏は、次郎長研究の第一人者である田口氏にお世話になったという。
そして田口氏は「どんな石松を描かれようとも作者の自由だが、願わくば次郎長を貶めることはしないでください」と言ったという。
小説や映画もたくさんが公開され、田口氏のように次郎長を愛している人は多いから、その人物伝を描くことになった山本氏は神経を使ったのではないかと思う。
その反面、義理と人情、意気を描くことを得意としている山本氏にはもってこいの人物だったのではないだろうか。

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紙の本

背負い富士 (文春文庫)

2016/02/13 22:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雨読 - この投稿者のレビュー一覧を見る

清水の次郎長を主人公に書き上げているが、義理人情に厚い街道一の大親分、信念を貫いた男ぼれのする生き様だと思います。
次郎長が、師と仰ぐ山岡鉄舟も揺ぎ無い信念で次郎長と接している。感動ものです。

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