紙の本
日本文化のルーツを神話から解明した画期的な書です!
2020/03/12 16:31
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、日本神話の起源及びその宗教的意味を、東南アジアやインド・ヨーロッパ語族の古い神話と比較しながら考察した画期的な一冊です。神話を読み解き、他地域のそれと比較することで、日本文化が南方地域や北方地域といった様々な地域の文化が融合して形成されたものであることが分かります。内容構成も、「第1章 なぜ日本神話を比較研究するか」、「第2章 南洋との比較」、「第3章 神の殺害と農耕の起源」、「第4章 東南アジアとの比較」、「第5章 ギリシア、スキュタイとの比較」、「第6章 日本神界の三機能的構造」と、とても興味深いテーマで描かれています。
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日本神話と南洋地域との共通性は面白かった。
古事記、日本書紀は朝廷が権威付けの為に編纂したものだろうけど
それよりも古来から伝わる口承なんかもたくさん取り入れたんだろうなぁと思う。
ギリシャとの共通点はよく分からなかった。確かに編纂時期より少し後に天平文化なんかもあるし。伝わってきたのかあるいは。
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正直、薄いので期待していなかったが、いきなりやられた。
直前に読んでいた大林太良著「日本神話の起源」で、
日本の文化がいろいろな文化の影響を受けた「るつぼ」(236頁)と紹介されていた。
しかし、私の個人的感覚では「吹き溜まり」なんだよなぁと思っていたところ、
まさに最初の部分でその言葉があった。
そうそう、「るつぼ」という言葉の持つ混沌や熱気よりは、
地理的条件で受動的に寄せられてきましたという「吹き溜まり」の方が、日本文化の形容にはぴったりくる。
内容がうまくまとめられて、かなりわかりやすかった。
他の本で読んだ「日本の神話には、世界各地の神話が含まれている」という説明が、決して大げさでなかったことがよくわかる。
現代社会で先進国といわれる日本で、
鹿の模型を射て、その中に納めた食物を食べるという祭りが、
伝承されており、
ハイヌウェレ型神話(かなり残酷な形で具現化されることこともある)、そのまんま、という不思議さには、本当に感心した。
日本は、渡ってきた文化をどういった基準で選択してきたのか、
同一感を何によって保っているのか、
まだまだ謎はつきない。
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本書は40年も前に書かれたものが文庫としてよみがえったものです。神話・・・この古くて新しいテーマ。現在の研究がどのようになっているのか、私は全く知らないのですが、著者自身が文庫本の前書きで書かれているように、現在でも神話学の入門書として本書は十分に役立つものでしょう。日本の神話とヨーロッパやその他の地域における神話との比較研究によって、いくつもの共通項が見出されるそうです。それは偶然の一致では済ませられない。つまりルーツを同じくして、人類や文化の移動とともに伝わってきた神話が多々あるはずだというのです。少しこじつけのように感じられなくもないのですが、でも同じところと違うところを見つけ出すことで、古代の人々が何をどのように感じたかが伝わってくることもあるのでしょう。そのことが現在の日本人の心の奥深くにも刻まれているのかもしれません。それにしても何と不思議な神話が多いことか。読めば読むほど不思議な神話。そこから今何が読み取れるのか。もっともっと勉強の必要があります
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比較神話学の立場から、日本神話の起源について考察している本です。
著者は、日本神話のなかの海幸彦と山幸彦の話や、オオゲツヒメが食物を生む農耕の起源に関する話などが、南洋の神話と共通点をもっていることを指摘し、中国江南地方にそのルーツを求める見かたを示しています。その一方で著者は、イザナギとイザナミの黄泉の国の話が、ギリシア神話におけるオルフェウスが冥界に赴く話との共通性を指摘し、スキタイ神話や朝鮮の檀君神話などとの比較を通して、アルタイ系遊牧民を仲介する印欧語族の神話とのつながりを見いだせると主張しています。
さらに著者は、デュメジルの比較神話学の観点から、日本神話と印欧語系諸民族の神話のあいだに個別的な共通点が見られるだけではなく、それらを統一的な神話へと組織するイデオロギーに共通の特徴が見られることを明らかにしています。
河合隼雄も神話の比較をおこなうことで、日本神話のうちに「中空構造」という性格を見いだし、ヨーロッパ諸民族の深層心理との対比的な側面を強調していましたが、そこには母性社会と父性社会という河合独自の文化論が反映されていたように思います。これに対して本書は、デュメジルの神話学が下敷きになっていますが、日本神話の源流を印欧諸民族の神話に求めるのではなく、その構造的な類似性に注目することも可能だったのではないかという気がします。
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日本の神話が、近く朝鮮や中国だけでなく、南方諸島やまた北方の遊牧民族の神話との共通点が見られることがわかった。しかし実際にどのようにして伝わっていったのか。交易や民族の移動?その伝播ルートや方法に興味を覚える。
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日本の文化・神話は吹き溜りによって形成されており、天岩屋戸〜天孫降臨に見られる支配者/被支配者の関係性は印欧神話から輸入されたイデオロギーだという説。面白かった。
世界は最初からグローバルだったのかもしれない。と思った。
ともかく、吹き溜りの国という表現が気に入った。
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一気読み。現在日本列島に暮らす人々の祖先や言語については分子人類学等々の研究があり、最近も国際研究チームがNatureに寄稿していたので、これはもはや古いかもしれないけど、吉田先生のテンポとキレ味のいい文章の語り口がとにかく面白いです
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最初は日本神話と世界の神話の類似点を見つける事にどのような意味があるのかあまり理解ができなかった。
ただ本書を読み進める中で神話は日本と言う島国の中で脈々と培われてきたものと勝手に思い込んでいたが、外の世界からの影響もあり作られたものだとわかってたこと自体が面白かった。
そしてグリム童話を筆頭に海外の童話を読む機会は昔からあったが、日本昔話から、日本の神話に進む事が今までなかった。
イザナミとイザナギの話は知っているがそこまで詳しくなく日本の神話について知見を深めることで、自分のルーツへもつながりそうで少しワクワクした。
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ジャンル:サイエンス リベラルアーツ
出版社:講談社
定価:1,056円(税込)
出版日:2007年05月10日
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吉田敦彦(よしだ あつひこ)
1934年生まれ
東京大学大学院西洋古典学専攻修士課程修了
フランス国立科学研究所研究員、成蹊大学・学習院大学教授などを歴任し、現在学習院大学名誉教授
専門は、比較神話学、西洋古典学
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flier要約
https://www.flierinc.com/summary/3037
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古事記とギリシャ神話に似たような話があるのはなんでだろう?と思っていたところ見つけたぴったりな本。
海外の神話の概要が紹介されていて、違う国でもその文化の根底に日本の神話と似たような神話があると思うとおもしろい。
とはいえ、例えばなぜ桃が聖なる果実とされてるのか?みたいはそういう神話の細かいパーツに対しての疑問は解消されないので、今度はそのあたりがわかる本を探そう。