紙の本
歯を食いしばる「生きざま」にしびれろ
2016/03/01 09:27
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投稿者:むささび同心 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーリーの山場は随所にあるが、決してメイン・ストリームとはいえない下巻第27章(P256~)に藤原ハード・ボイルドの精髄がある。
大切なひとを守り切れなかった幼き日の悔恨。そのひとの想いに今も応えることができない無力。同じく、そのひとを守るために罪を犯す友に手を差し伸べられなかった痛恨・・・押し寄せるさまざまな想いに羽交い絞めにされながら、それでもなお歩き続けるとき、不意にあふれ出す哀情をどうすることもできない瞬間が訪れたとしても、誰がそれを責められるのか? 歯を食いしばって歩き続ける男の無言の哀咽を、どうして嘲笑うことができるだろうか?
静穏な描写のなかに作者の熱い「脈動」をハッキリ聴いたとき、その圧倒的な寂寥に打ちのめされて、ただ立ち尽くす自分に気づくだろう。
作者の逝去が惜しまれてならないが、藤原ハード・ボイルド待望論はいささかも衰えてはいない。紙媒体での一日も早い復刊を切望してやまない。
紙の本
シリウスの道 上
2022/11/08 05:35
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投稿者:kon - この投稿者のレビュー一覧を見る
広告コンペと幼馴染3人の行方が平行して進行しています。なかなかハードボイルドですね。登場人物も魅力があります。今後の展開が読めません。辰村は大阪異動か、幼馴染の明子への脅迫で前半は終了です。後半興味深々です。
電子書籍
島村さん?
2022/07/01 13:48
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの……この島村さんは、テロリストのパラソル、の島村さんと同姓同名ですが、別人という設定なのでしょうか?それとも、テロリストのパラソル、より前にこのお話があったということなのでしょうか?それが、最初の感想でしたよ。そのうち……でしたが。
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06.12.21藤原伊織久しぶりに読みました。本を買ったのも久しぶり。既読は『テロリストのパラソル』と『ダックスフントのワープ』。どちらも面白かった。だからキオスクで買ったんだけど、ちょっと内容の割りにページ数が少ない感じ。ラストもいまいち。。。う〜ん。ただ、出てくる人はみんな魅力的。だからこそページ数が足りないと感じたんだろうと思う。足りない分は自分の想像で補えばいいかも。広告業界のビッグビジネスと甘苦い昔の思い出がからみあうハードボイルド。しかし『テロリスト〜』と同じキャラが出てたなんて!もう一度読み直さなきゃ。
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文春で連載していた時に途中まで読んでいた。
ずっと作者は女性だと思っていた。
広告業界が舞台なので、片足突っ込んでみた世界だけになんだか懐かしい。&妙な敗北感もあったりする。
でもマスコミの人以外に理解できるのか??って不思議な部分も多々あり。
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面白かったです。堪能できました。『テロリストのパラソル』の島村が出てきます。(死んでるんだけど)バーのつまみがホットドッグだけとか、浅井という男が出てきたとき、あれっ?もしかしてと思ったらやっぱりそうでした。今回の話にはつながりがない様にに思うんだけど、下巻で何かあるのかな?辰村と明子との再会は切なかったねぇ〜。スケッチブックの話や、歌手や広告マンになった理由・・・ベタだけどおいらこういうの好きです。後半、勝哉はどう絡んでくるのか?怪文書を書いたのは誰だ?まさか明子が?んなわけないか・・さあ、下巻を読むぞ〜!
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「企業パート」と「幼馴染みパート」のちぐはぐさが気になりましたが、「企業パート」は本当ぐいぐい引っ張られて読み進められました。
寧ろ「幼馴染みパート」はなくてもいいぐらい広告業界を舞台に繰り広げられる競合劇ということで藤原伊織の前職知識がフルに活かされた作品となっております。本当、広告業界覗き見隊!という事であんな上司やこんな新人やそんな派遣はおらんやろ!!!と思いながらもプレゼンチームが一致団結し何かを作り上げ達成してゆく様は見ていて清清しいものがあります。
ここら辺、「チームスポ根モノ」に通じる所があると思います。本当、「幼馴染みパート」がなくて「企業パート」だけでも良かったと思う(笑)
「本来は、どんな仕事も地べたを這いずりまわるようなところにあるはずなんだ」
という藤原伊織の仕事に対しての姿勢が伺え、本当に企業パートは不意に涙腺が緩む箇所が数カ所あって本当、戸塚関連は泣きそうになった部分多かったです。
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高校生が藤原伊織作品を読むなんて、驚きです。「このミステリーが面白い6位」に選ばれた作品ですが、ミステリーというよりハードボイルドですね。様式美とダンディズムの世界です。僕は藤原先生のファンなのですが、今年の春にお亡くなりになってしまいとても残念です。もっと藤原先生の作品が読みたかった。文壇がまた寂しくなってしまいました。心よりご冥福をお祈りします(金子)
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以前より気になっていた作家、藤原伊織。
ただ、なんとなく手にすることがなかったが、先月の訃報を聞き、読んでみることにした次第。
ハードボイルドという言葉の先入観が大きかったが読み始めると、会社という組織の話ということもあってか、意外に読みやすく、今まで読まなかったことが、悔やまれる。
主人公はもちろんのこと、登場人物の描写がわかりやすく、そして魅力的。
ただ、主人公の幼なじみが元アイドルで今は重役夫人とか、上野で似顔絵書きをしているとか、やや大層な気もしたが。。
個人的に、東京と大阪のそれぞれの舞台になる地域に縁があるので、それだけで親近感を持ちながら読めたように思う。
代表作のテロリストのパラソルと登場人物が重なると知り、ぜひ読んでみたい。
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代理店に興味があったので読んでみた。
リアルな事が描写されているだけでなく、ストーリーの方も面白い。
すぐ読める。
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ハードボイルドーって感じ.
登場人物が皆カッコイイ!ってのが一番の感想.
辰村は頑固で強気で切れ者.
立花は美人で仕事もできる女部長.
平野はデイトレーダーのアマプロ.
浅井は裏世界に精通する元やくざ.
そして戸塚.
政治家の息子でコネ入社でありながら,実は素直でまじめでグングン成長してる.
広告代理店での競合プレゼンを中心にしたお話で,
業界の細部が詳細に描かれている.
広告代理店ってもっと華やかな職場っていうイメージがあったけど,
そのイメージが完全に覆された.
残念だったのは競合プレゼンが一番大きなテーマなのに,
最後があっさりしすぎていること.
ミステリっぽい最後の最後のどんでん返しみたいなのを期待しちゃってただけに残念だった..
でも,グイグイ引き込まれる内容で,不自然な流れもなかったのでスッキリ読めた.
「テロリストのパラソル」が有名作らしいので,それも読んでみよう.
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大手広告代理店・東邦広告に勤める辰村祐介には、明子、勝哉という2人の幼馴染がいた。この3人の間には、決して人には言えない、ある秘密があった。その過去が25年の月日を経た今、何者かによって察知された…。緊迫した18億円の広告コンペの内幕を主軸に展開するビジネス・ハードボイルドの決定版。
作者の藤原伊織は大手広告代理店出身の作家らしいですね。
ミステリーとしても非常に面白いですが、ビジネスにも役立ちそうな一冊。
松岡
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広告代理店を舞台にした、ハードボイルド。
主人公は、アルコール依存症っぽい38歳、広告代理店の副部長。
うーん、若い。
結構、やってることはオジさんなのだけど…。もうちょっと年齢上げたほうが、違和感なかったように思います。藤原伊織の中の38歳って、こんな感じなのかもしれないけど、大多数はもっと子供だと思うんですけど。特に主人公のように、独身で根無し草のような性格だとね。
にしても、やっぱ、上手いよ、藤原伊織。
主人公の子供の頃の話が、微妙にからんできてて「永遠の仔」か「白夜行」と思わせながら、そのあたりをばさっと斬ってるのが藤原伊織らしい潔さといえると思います。
で、出てくるキャラが、皆いいんだよ。
政治家のコネで入社した若造が、泣けるぐらいいい。
派遣会社からくる女の子が、またいい。そして、主人公の上司がこりゃまた、いい女なのだ。
も、このキャラだけで、各三本ぐらい小説かけるよ、ってぐらいの濃密さ。
キャラを堪能するだけでも、贅沢です。はい。
でも、話はあんまりハードボイルドじゃありません。キャラはハードボイルドですが。
「テロリストのパラソル」的なものを期待すると、ちょっとがっくりかも。
が、面白いのはテロリスト以上です。最高のエンターテイメントになってます。
結末がね、もっとなんとか、ってジレンマがあるんだけど、これはこれで藤原伊織のテクニックで納得させられるのでありました。
…なんか、癌宣告されてるそうです、藤原伊織。
(読んだ週刊誌の記事は、「余命を宣告されて、国民年金の支払いをやめたら、差し押さえるといってきた。もうもらえるあてがないのになんで納付しなきゃいけない」って怒ってた。ホント、これで納付を納得させるのは無理だろ。私だって同じになったら、絶対払わないな)
落ち着いて、少しでも多くのいいものを書いて欲しいです。
できたら「ダックスフントのワープ」っぽいのを。ええ、私は「ダックスフントのワープ」のファンでしたから。
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支社部長で飼い殺し、上巻ではテロリストのパラソルも出てくる。立派な仕事とは、ネジをつくるような仕事。生産は彼らから出発するから。
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2010年20冊め。ペース遅め。
え~ん、ついに読み始めてしまいました~!
藤原伊織作品はこれで終わってしまうのと、
裏表紙に書いてある解説がやけに堅苦しそうなので、
敬遠していたのですが……。
意外と「分からない」ほどは難しくないです。
藤原テイスト満載の、カッコいいビジネスハードボイルド
です。あんまり予備知識なくても楽しめます。