紙の本
人は生まれながらにして、不公平である。
2009/01/12 23:50
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:リーマン・シスターズ - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずは認めることから始めたい。著者は言う「人生が公平だと思ってはいけない」と。ここを覆い隠すと、ただでさえ見えない市場が、幻想の中の御伽噺となる。公平だと思い込みたい気持ちが判断を誤らせる。もともと公平ではない。このアンバランスが市場の波を作っている。チャンスも、情報も、資金力も、決断力も、知識も、スキルも、頭のよさも、何もかもが不平等であることが、原動力となっている。けっして悪いことではないのである。人はないものねだり、公平でないからこそ、公平を願うのである。
本書は銘柄選びの、古くて新しい観点から書かれている。テーマは「堀のある企業」。「堀」とは城の周りの「お堀」のイメージだ。これがある企業は強いと。何をもって「堀」とするかは本書に譲るが、「長い時間をかけて構築されたビジネス上の構造であって、ライバル企業が模倣するのは非常に難しい」と力説されている。
うわべだけまねても「たとえ口紅を塗っても豚は豚でしかない」と辛らつに批判している。
美味しいジャガイモを作るには、まず小麦を長い期間畑で栽培し、その後にジャガを育てるのが王道だが、昨今では、美味しいジャガイモの種を準備もされていない土地に植えて効率化だと賞賛し、結果、育たず失敗する例が増えている。日本風に言えば「地道な企業」が、結局、生き残るといいたいようだ。
ただし、株式運用という点からみると、いささか違ってくる。このような良い企業の株価は、えてして「鳴かず飛ばず」になりがちだ。いわゆる「自分だけが見つけた優良株、誰も見向きもしなければ、株価は万年低迷状態」だ。良い銘柄が公平に上がるとは限らないのが相場の面白いところでもある。
毎年の確実性の高い配当狙いの目的ならかなっているが、キャピタルゲインはあまり望めない。
しかし、生き残る企業ととらえれば、投資というより就社にはよいかもしれない。強固なビジネスモデルにしっかりとした社員教育、派手ではないが力強いモチベーションの維持。「堀があれば、社長は二流でも勝てる」と本書は説いている。これほどまでに強い「堀」とはなんだろうか。日本における官僚組織の強さをイメージさせる。そこに入れるかどうかは別であるが。もちろん平等かどうかは別にして。
せめて、株式投資における自分の「堀」を是非持ちたいと強く感じた一冊でした。
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[ 内容 ]
成長企業とそうでない企業との違いはどこにあるのか。
高成長を誇った企業がある日を境に突然失速するのはなぜなのか。
良い投資先とそうでない投資先はどこで峻別されるべきなのか。
株式投資家であれば、だれでも常にその答えを求めている。
本書で詳説されている「経済的な堀」の概念はそのような問いかけに明確に答えている。
[ 目次 ]
行動計画
経済的な堀―経済的な堀の定義とそれを使って優れた株を選択するための方法
誤解されている堀―幻の優位性にだまされるな
無形資産―棚から取り出せるものではないが、間違いなく価値がある
乗り換えコスト―しつこい顧客は面倒ではなく黄金だと思え
ネットワーク効果―非常に強力で、一章を割く価値がある
コストの優位性―賢くなるか、地理的に近くなるか、ユニークになれ
規模の優位性―きちんと把握していれば、大きいことは良いことだ
侵食される堀―優位性を失って立ち上がれない
堀を探す―外はジャングルだ
ビッグボス―経営陣の影響は思ったほど大きくない
肝心なこと―比較分析の五つの例
堀の価値はどのくらいか―最高の企業でも買値が高すぎればポートフォリオを傷つける
評価のためのツール―割安株を探す
いつ売るか―賢い売りが高リターンにつながる
投資は数字だけではない
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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★★★☆☆
優良企業を買う方法
【内容】
成長企業とそうでない企業との違いはどこにあるのか。高成長を誇った企業がある日を境に突然失速するのはなぜなのか。良い投資先とそうでない投資先はどこで峻別されるべきなのか。株式投資家であれば、だれでも常にその答えを求めている。本書で詳説されている「経済的な堀」の概念はそのような問いかけに明確に答えている。
【感想】
なかなかおもしろかった。普段はチャートしかみないのでこういうデータ主義っていうのも面白いように感じる。
ただ、実際問題として過去のROCを入手するのが四季報を買う必要があったりとちょっと壁が高い感じでしょうか。
この分析を利用して、EMシステムズを買ったのですが、どうなることやらー。EMシステムズは病院のレセプトシステム構築のトップランナー。
【引用】
・「ROC(Return On Capital:資本利益率)」は最高の指標。企業が投資家の資金からどれくらいリターンを生み出しているのかを示す。
ROA(純資産利益率)・・・1ドルの資産あたりどれくらいの収益を生んでいるか。金融以外で7%あればOK。
ROE(自己資本利益率)・・1ドルの自己資本あたりどれくらいの利益を生んでいるか。常に15%以上が目安。
ROIC(投資資本利益率)・・本業の効率化を示す。高いほうが好ましい。
・「構造的な優位性」が重要。無形試算、②顧客の乗り換えコスト、③ネットワーク効果、④コストの優位性からなる。
①無形資産・・・・・・ブランド・特許・行政の許可
②乗り換えコスト・・・顧客がライバル社の製品やサービスに乗り換える大変度。(事業への密接度、金銭面、再訓練がその一例)
③ネットワーク効果・・ユーザの数が増えることで製品のサービス価値が上がるもの。(クレカやネットオークションなど)
④コストの優位性・・・安いプロセス・有利な場所・独自の資源が生み出す。製造過程の優位性はコピーできるので注意!
・騎手(経営者)ではなく馬(企業)に賭けろ。経営陣よりっも堀が大切。
↓
・堅実なROCをあげていて、構造的な優位性が1つでもあれば、「堀」のある企業である可能性が高い。
・「堀」の探し方
過去(10年程度)に堅調な「ROC」を示しているか
→Y:「構造的な優位性」があるか?
→Y:優位性は強力か?長期的か?
→長期:幅の広い堀
→短期:幅の狭い堀
→N:将来は過去と違う可能性が高いか
→Y:「構造的な優位性」があるか?
→N:堀なし
→N:堀なし
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バフェットの提唱するエコノミックモートの実践書
モート(堀)は、以下の四つ。
・無形資産(特許やのれんなど)を持っている
・コストによる優位性に優れている
・顧客に他社製品に乗り換えることを躊躇させる
・ネットワーク経済を押さえている
モートはライバル企業からの攻撃を防ぐための一つの視点。「騎手ではなく馬に賭けろ」ということらしい。
ただ、堀が多いと言われていたメディア業界は、インターネットでボロボロになっていたり、過度な期待はダメで、長期運用していてもチェックを怠ると痛い目にあう。
米国のモーニングスターのwebサイトや、firstrade証券のアカウントを持っていると、企業評価レポートが見えるのだが、そこにエコノミックモートの指標が載っていて、投資をするときの一つの手掛かりを手に入れられるので、自分で一から分析するよりお手軽。
この手の本を読んでいて思うのは、業績指標で判断出来たり、モートについてもレポートがあったりするので、知識レベルの差で、投資家としての勝ち負けが決まりそう… 皆が同じ情報でお作法なら最近はやりのAI投資にやってもらった方が勝率が上がりそうな気がしてきた。
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元米モーニングスターの株式リサーチ部門のディレクター、
パット・ドーシーが、バフェットが言う「経済的な堀」について
語り尽くした本。
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考え方自体は分かりやすい。投資という側面から見ているが、持続的に成長する企業(ビジネス)かどうかの判断基準になると思われる。投資方針としては中長期投資やバリュー投資につながりそう。
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バフェットがよく言う『本質的な価値』の具体例含め、賢明な投資家になるためのアプローチが包括的にまとめられています。バフェットが言わんとすることが分かったような気がしました。非常にお勧めの一冊です☆
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[関連リンク]
歴戦の米国株投資ブロガーおすすめの投資本10選【保存版】 - たぱぞうの米国株投資: http://www.americakabu.com/entry/2017/03/05/%E6%AD%B4%E6%88%A6%E3%81%AE%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E6%A0%AA%E6%8A%95%E8%B3%87%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%81%8A%E3%81%99%E3%81%99%E3%82%81%E3%81%AE%E6%8A%95%E8%B3%87%E6%9C%AC%EF%BC%91%EF%BC%90
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内容はバフェットのエコノミックモートの話。
米国企業の話が大半で10年以上前の話なので少し退屈に感じた。
投資初心者にはもっとわかりやすいバフェット本をオススメする。