紙の本
「器は考えることはしません。注がれた人の総意に従って行動するだけです」
2020/07/21 11:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きん☆ぎん☆すなご - この投稿者のレビュー一覧を見る
マーセナス親子はクズなのか。宗教、人種、民族、格差、現実でも繰り返されている胸くそ悪い出来事。悲しみは胸に…、怒りは土に…、報いは神の裁きに…、そんな素晴らしい信仰があって何でそうなるのか…。聖書にも、汝の敵を愛せとか右の頬を殴られたら左の頬を差し出せなんてのがあるのに…。
投稿元:
レビューを見る
本作において、かなり異質なエピソードを含むこの13巻。けど同時にネェル・アーガマでの内紛を描くことで異なる立場の集団による信頼や許容の難しさをこれでもかと表現しているね
前巻ではユニコーンが発する虹の光に包まれた事で連邦とジオンの間に和解への道が開かれたのではないかと思われた。でも、その程度の奇跡で和解できるなら、それこそアクシズショックの時に和解できていたはず
それを思い知らされる内容だったね
ネェル・アーガマに拾われマリーダも救出できた状況。ジンネマン達としてはそれだけで充分と言えるかもしれないのに、戦争が終わったわけではない彼らはその程度で平和なんて享受できない
というよりも対策と監視が出来ていなかったネェル・アーガマ側の失態とも言えるのか
ただ、それによって割を食ってしまうのはいつだって振り回される側の人間であるわけで
ジンネマンと協力してミネバやマリーダを連れ戻せたのに、その人達を威嚇するための銃を渡されるとか堪ったもんじゃないよなぁ……。バナージって多くの戦場に介入し今もガンダムに乗り続けているけど未だに軍属じゃないのに……
そうして当然のようにネェル・アーガマを乗っ取ったネオ・ジオンを責めるのは果たして正しいと言えるのか…
元々連邦とジオンは敵対していた。ガランシェールとネェル・アーガマという別枠を見つけられた所で大枠が変わらないなら状況は変えられない。この段に来て、ジオンの服装に身を纏うミネバは本当に敵になってしまったかのよう
でも、ここで面白いのはミネバがそうしてジオンの姫君として振る舞う行為は、フル・フロンタルがシャア・アズナブルの見た目を纏う行為とどこかリンクしている点かな
フル・フロンタルはシャアではない。しかし、あの見た目と思想を纏うことでシャアであるかのように偽装できる。彼はそうやってネオ・ジオン残党を纏め上げている
なら同じようにミネバだってジオンの服を纏うことで偽装していると考えることも出来る
その思惑が明らかになるのがタクヤへの伝言であり、ちょっとお転婆な医務室での殴打だね
一方、カイ・シデンが仮の主人公となる形で関わる事になったアーメットとバハールの兄妹
彼らの境遇は悲惨の一言。ダカールを襲撃したテロリストと同じ宗教を進行しているというその一点で迫害を受け、父も理不尽に殺される。父の訃報を前にしたアーメットの態度はある意味当然のものだったかもしれないが、そこで流されてしまっては復讐の連鎖に取り込まれる
それを止めたバハールは確かに真の善へ向かおうとしていた。だというのに……
カイが向かい合うことに成るのは地上の人々の物語。宇宙では『ラプラスの箱』を巡る陰謀と疑念が渦巻いているが、カイはそれによって人々の間に生じた様々な歪さと向き合っている。だからローナン・マーセナスの誘いにも乗らない
彼はひたすらに無力な人々と関わり続けるね。ただ、彼はもうMSに乗るわけじゃないし、敵となるのだってMSではなく人間
その状態で何が出来るのか……
宇宙と��地それぞれで行われる対立と疑念、それに抗う変化への道。バナージやミネバ、そしてカイは可能性を示されても変われない者達を前に何を示せるのだろうか?
投稿元:
レビューを見る
再び宇宙に戻ったバナージ。
ネオジオン軍とのかりそめの共闘は何を生み出すのか?
そして地球に残された大きな増悪は暴走を始める。