紙の本
良い本です
2024/03/29 16:24
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
クライマックスたる上野戦争における彰義隊の撃破、そして死が。結部で革命の花咲爺こそがタイトルの含意だったと明かされます。偏屈な技術者を革命の大立者とするこの小説は、平凡なサラリーマンをかつて勇気づけたのかもと思って読みました。
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特異な輝きを活写した傑作
2023/09/23 08:17
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本巻では、長州征伐の勝利から上野戦争、そして暗殺まで。上野戦争は、この小説のまさにクライマックス。蔵六の打つ手が悉く決まり、蔵六の想定通りに進んでいく様は圧巻です。戊辰戦争後は西南戦争を予想し、その備えを万全にしたところで、薩摩の手により急逝。西郷隆盛とは「相討ち」に終わったという表現に納得しました。それにしても、怜悧な蔵六が存在しなければ、戊辰戦争もどちらに転んだか分からない戦いだったと分かりました。事蹟の割には不人気を超えて地味な存在の村田蔵六ですが、本書はその特異な輝きを活写した傑作と思います。
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不幸なほどの情念的ナショナリスト村田蔵六、テロリズムに倒るる。
2004/03/28 05:13
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投稿者:しゃくとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
この「花神」下巻は、明治二年五月に五稜郭の榎本軍が降伏して戊辰戦争が終了するまでの、「軍師」としての「村田蔵六」の成した仕事について、多くのページが使われています。桂小五郎に見出された「村田蔵六」の軍事における才能は、次々と難関を突破し、少ない戦力で、旧幕軍を打ち破っていく姿は、まさに「仕事人」だと感じました。
明治維新という大きな革命が起きるときに、必要な人間であった「村田蔵六」の才能は、それは、己を一個の機械として、ただ「機能」させることのみに専心できたことかもしれません。たとえ、そこに感情が欠如していたとしても、「大略を知る者」である「村田蔵六」にとっては、「仕事」という目的地に達するためには、それが生きやすかったのかもしれません。
思えば、日本の近現代史、というのは、数多くの無名の「村田蔵六」の汗や涙で出来ているなぁ、と思うのです。NHKの「プロジェクトX」などを見ていても、本当に「仕事」をしている人たち、というのは、「あぁ、村田蔵六だなぁ…。」と感じたりします。「仕事」とか「技術」とかいうものは、分野にもよるでしょうが、本当のところは、やはりある種の才能が必要なものです
現在の日本を作り上げて下さった、たくさんの「村田蔵六」たちには「感謝」を、これからの日本を作っていこうとする、たくさんの「村田蔵六」たちには「エール」を送りたいと思います。
日本の自衛隊の特殊部隊の訓練が本格化しました。日本中にいる「仕事人」たちが、「反作用」としての「テロリズム」に倒れないように、安全な社会を目指したまちづくりが成されていけばいいなぁ、と思います。若い「村田蔵六候補生」の皆さんには、是非、この「花神」全3巻を読んで、「仕事」というものについて考えてみて欲しいと思います。そして、「土俗的ナショナリズム」のない世界にいつかみんなで辿り着きたい、と切に願う次第であります。それでは、お仕事頑張りましょう!(^_-)☆
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幕長戦勝利から倒幕軍総司令官となり、明治維新を完成させ彗星のごとく去った花神(=花咲爺)、大村益次郎。享年45歳。個人としての生活は決して幸福に満ちたものではなかったが、時代が必要とした時、場所に居合わせる運を持ち合わせ、人に恵まれた生涯だったと思われる。
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だだの狂人集団から、維新政府へと移り変わっていく長州。
村田蔵六こと大村益次郎は、そうやって移り変わる時代と共に、討幕軍の総司令官となった。
村田蔵六はただの技術者であり、ただの技術者であることが彼の信念でもあった。
人目を気にせず、人間関係を円滑にしようなんて微塵も考えない彼は、周囲の人間から見れば全くの馬鹿のように見えるかもしれない。事実彼は、実力こそあったものの、周囲からの評価は『えたいのしれない奴』であった。だが、彼はそんな人間であるからこそ、こんな偉業を成し遂げたのだろう。
村田蔵六は総司令官であったので、ほとんど戦場には出ずに、討幕軍と戦っていた。人の命の潰える戦が行われていたことは事実であるが、村田蔵六のみにスポットを当ててみると、彼はいつものように『ただの技術者』でしかなく、室内に篭っていただけである。彼はやるべきことは何であるかを知っており、それをやれるのは自分でしか無いということも知っていた。そして、やる必要の無いことは何も行わなかった。そんな『明治維新』もあるのだな、となんだか不思議にも思った。
そして、何よりも不思議であるのが、村田蔵六自身の終焉である。彼は、本当にあっさりと消えた。彼の役目が終わると同時に消えたのだ。これが一年前であったら、歴史が変わっていたかもしれない。しかし、そうではなかった。それがなおさら、村田蔵六らしい。
こんな人間がいたのだと思うと、彼は本当に神が使わしたのかもしれない、と感じてしまう。きっと、村田蔵六自身はそれを否定するだろうが。
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靖国に行った時に、銅像見て「誰コレ?」となり、すすめてもらった1冊。
司馬さんは、たぶん益次郎が大好きなんだろうと思う。
話に引き込まれ、、私もこの不器用な人が好きになってしまいました。
タイトルの意味も秀逸。
とても面白かったです。
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周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげたわが国近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く長編。動乱への胎動をはじめた時世をよそに、緒方洪庵の適塾で蘭学の修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、時代の求めるままに蘭学の才能を買われ、宇和島藩から幕府、そして郷里の長州藩へととりたてられ、歴史の激流にのめりこんでゆく。
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クライマックス 上野戦争 彰義隊との戦い。
薩摩藩士海枝田信義との確執 西郷とのすれ違い。大隈重信との交流。
ひとびとの需要のためにのみ村田蔵六は存在した。
中国は広大な国土、膨大な人民を持つ国であるため、
なにごとにも時間がかかる物理的要因がある。アヘン戦争から辛亥革命まで69年
島崎藤村 夜明け前 青木半蔵 国学者
ときに読者を退屈させたにちがいない物語を書くにいたったのは、
蔵六ももっているこの種の不思議な面をに触れたかったからだ。
数学的論理家であるとともに、芸術家より卓越した直観力。
薩摩の反乱を予測。
革命期大変革期に登場する『技術』とはどういう意味があるかということが主題。
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小さな村の医者の家に生まれ、蘭方医になるべくオランダ語を学びその過程で兵学、砲術に詳しくなってしまい、とうとう官軍の総司令官に担がれ見事に明治維新を完成させた。
大村益次郎ってそういう人だったんですね。
名前だけは知っていましたが何をした人かは皆目知りませんでした。
タイトル「花神」の意味が最後に明かされます。
気になる方はぜひ本書をお読みください(笑)
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幕末ものの小説を初めて読んだ。大河ドラマ『新選組!』とリンクしている部分も多くて楽しかった。こういう合理主義のひとというのは好みだ。(2004-09-05)
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蔵六のたぐいまれなる戦略や幕兵のふがいなさもあり、長州は幕府を相手にした四境戦争に勝利する。薩長、その他倒幕派の諸藩がまとまっているように見えるが実はバラバラで薩長の間でさえも倒幕の手段や今後のビジョンにブレがありそうなのだが、薩摩の英雄西郷の度量の大きさでなんとかまとまり、勝海舟の天才的な判断で江戸は無血で明け渡される。これすごいよね、ホント。幕軍もやろうと思ったら戦争できるんだけど、それやった結果、シナのようになるのが分かってるから時流にあえて飲み込まれて開城かぁ。
蔵六は人物的な魅力には乏しいような印象を受けるが、卓越した効率主義と世界に開かれた目と圧倒的な土着愛で歴史に名前を残したのだろう。
この本において描かれている歴史的な事実は社会の教科書ではほんの数ページ(数行?)なのだろうけど、そのときの理解が以下に浅かったかが20年近く経ったいま分かった。これからもっといろんな視点での幕末・維新を見てみよう。
彰義隊討伐以降でちょいちょい現れてくる人物が日露戦争の英雄たちなのでこれまたびっくり。児玉さんや大山さん、乃木さん、みんな維新を体感したんだね。
■気に入りフレーズ
「タクチーキ(戦術)のみを知ってストラトギー(戦略)を知らざる者は、ついに国家をあやまつ」:大村益次郎(村田蔵六)
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幕長戦争から江戸の鎮定、そして大阪に出て新政府軍事施設を見て回ってるときに討ち入られて死ぬまで。
やっぱ蔵六がすげぇのは、いきなりぽっと出てきたのに普通に新政府軍の総指揮官としての地位に納まってること、そしてそれに居心地の悪さを感じない器量、他にも大胆さとか、大物はやっぱ大物だと思う。これ読む限りでは。
司馬さんも小説家としてはすごい小説家と思う。これはついついあっとゆうまに読み終わってしまいました。
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ひとびとの需要のためにのみ存在している。名将となっても、村医としても働く(11頁)
この世にいるのは一時の方便ですから(58頁)
一世をうごかすには、人気が必要であるであろう。が、同時に一世をうごかすには、まったくひとから黙殺されているという在り方も必要であるかもしれない。(74頁)
勝の明晰な頭脳からみれば蔵六がナマの人間でなく、ナマの部分を去った一個の機械として映ったのだろう。機械に対しては閉口しても憎悪はできない。(298頁)
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Kodama's review
村田蔵六・・・。いやー渋かったー。小説ということもあり自然、主人公は引き立ちますが、渋い人生ですね。大村益次郎をしるには、これが最高!(05.10.24)
お勧め度
★★★★☆
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幕末に活躍した、大村益次郎について描かれた本。
大村益次郎についてはこの本で知るのが初めてですが、こうも周りに起こることに対して、
冷静でいられるものなのかと首をかしげるぐらい、不思議な人物像に思えます。
淡々と学問をひたすら積み重ねていく益次郎に脱帽です。