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2000年に刊行されたサスペンス小説の文庫化。単行本刊行当時は一部で話題になったものの、ヒットとはならず、そのまま知る人ぞ知る作品になっていたようだ。
一見すると心理描写をメインに据えたサスペンス小説だが、『霊応ゲーム』というタイトルからも解る通り、合理的な解決は成されない。閉鎖空間の人間関係と登場人物の心理描写に沿ってストーリーが展開されていくだけに、このオチは好き嫌いが別れそうだなぁ……。
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再販ありがとうございます!
復刊ドットコムで投票し、いつかはいつかは、と首を長くして待っていたかいがありました。
練り込まれたプロット、重々しくも狂気を孕んだ空気。それに蝕まれていく学園という閉鎖空間と校長夫妻。
だれも幸せになれない結末には何度読んでも悲しくなりますが、何度も読み直してしまうだけの魅力ある作品です。
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復刊ドットコムで投票した者の一人です。めでたく復刊しました。多くの方に読んでもらえたらなと思います。ページ数・また文字数も多いですが、きっとはまりだしたらすいすい読めると思います。
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なんとなく、ハリポタを思い出した。
舞台はイギリスのパブリックスクール。イメージとしては、有名私立中学校か。ちなみに男子校。読み進めると、リチャードとジョナサンの関係が狂気を帯びてくる。少し怖い。こういうのもBLと言えるのか?
少し話が長く、読むのがしんどく感じた部分もあったが、最後の方で話が収束していく感覚が楽しかった。そして、それに続く書評家 大矢博子の解説できれいに締められている。
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長らく読みたいと思ってた本書が、文庫本で復刊したと聞きさっそく読んでみた。
表紙はなんだかほんわりしたイラストだが、内容は結構ドロドロとした人間関係と、不幸の連鎖や多数の死者が出るためなかなか重い内容だと思う。
こういう執着は多少は誰でもあることだとは思うが、リチャードの場合はそれが病的なまでに突き抜けていて、それを周りが放っておいたためにおきた悲劇だと思うとなんとも悲しい…。
結局霊応ゲームで呼び出したものはなんだったのか、リチャードが最期に見たものとはなんだったのか…などはっきりしないまま終わったところも多いが、そこがまた不気味で後を引く…。
犠牲になった人々やその家族は皆辛いとは思うが、なにより生き残ったニコラスが一番辛い立場なんじゃないかと思う。世間のあぁいった目に晒されて、自己嫌悪にも陥りながら生きていく人生とはそれこそ地獄のようなんじゃないかと…。
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名門パブリックスクールで起きた少年たちの悲劇的な愛憎劇。
終盤、ドミノが倒れるようにバタバタと悲劇の連鎖が渦巻いていく場面は恐怖とともに絶叫もの。
彼は、もしかしたら自分自身を含めて排除したかったものをすべて排除して幸福のままラストを迎えたのかもしれない。
そうなるとやっぱり最後まで、死ぬことも狂うこともできなかった彼だけが悲しい。
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1950年代に英国の全寮制パブリック・スクール、
カークストン・アベイ学園を見舞った奇怪な事件について、
真相を知ると称する者との面会が叶ったティム・ウェバー。
長時間のインタビューを録音し、記事にして、
ジャーナリストとして脚光を浴びたいと願うティムだったが……。
――ということで、
枠内の物語=来訪者が語ったこと=が、
三人称のあっちこっち移動しまくる視点で綴られた長編で、
非常に読みにくかった。
中身は20世紀半ばの厳格な規則に縛られた寄宿舎で起きた
悪質ないじめに端を発した、いくつかの異様な出来事について。
純真な被害者と、彼を庇う立場のクールな美少年が
報復のためにウィジャ盤を持ち出す話で、
タイトル The Wishing Game は、
この西洋版こっくりさんに由来。
それ自体は読みごたえがあるものの、
超常現象と思われた事柄に
後から科学的な説明が付されて解決するミステリかと思いきや、
オカルトのまま終わってしまったので拍子抜け。
また、繰り返しになるが、
短いスパンで視点がコロコロ切り替わるので読みづらいし、
セリフの末尾にも「!!」や「?!」が多くて、
全然耽美的な雰囲気ではなかったため、
期待を裏切られた気分。
14~15歳の男子って、あんなに子供コドモしてましたっけ?
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戦後間もないイギリスのパブリックスクールでのお話。
600ページ弱あるのですが一気に全部読んでしまいました。そのくらい引き込まれます。ブロマンス好きな方には特にオススメです。
主人公格2人以外の登場人物の心理描写も事細かに描かれていて、この物語に登場する人物それぞれがなにか秘密を抱えていて、破滅していきます。誰が主人公になってもいいくらい内容が濃いです。
あの日ニコラスが体調を崩していなければ、ジョナサンが教科書を忘れなければ、リチャードが答えを教えなければ、、といくらでもたらればが並べられるほど2人の関係はいくつもの偶然によって作り上げられたと思います。
ただリチャードのジョナサンに対する常軌を逸した執着は最終的には拒否されてしまい、リチャードも執着していたのはジョナサン自身ではなくジョナサンを通してお母さんを見ていたのか、それともお母さんのような自分がいないとダメな人間、つまり自分を必要とする人間をリチャード自身が必要としていただけなのかなぁと切なくなってしまいました。
救いのないお話ですが不思議と読後の後味の悪さはありません。
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なんというか、もっと皆川博子的な何かを期待してたんだが、ちょっと違った。
読後感はよくない。
でも、面白くなかったということもない。
もう少し何かが違えばはまったかもなー
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2019.12再読。キャラ描写がわかりやすくかつ魅力的で読みやすい。気弱な少年がカリスマ一匹狼に惹かれる展開は完全にヘルマン・ヘッセ。元の友人たちと気まずくなったり仲直りしたり、いじめっことの対立やそれぞれの家庭の不和など、学園ものとしてもスタンダードに楽しい。終盤のカタストロフも容赦なくてすごい。大人たちのエピソードはベタなメロドラマやなーとも思うが。
リチャードがカリスマから暴君に変わっていく様子は辛かったが、まだ14歳だったんだな...と思か、彼自身もより強い力によってあっさり殺されちゃったことを思うとちょっとほろっとくる。
連想したのはヘルマン・ヘッセのほか、ハリー・ポッター、古屋兎丸、恩田陸あたり。
解説が女オタクって感じの文章でいまいちだった。
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退屈なページが一枚もなくって、それなのに濃い。濃いのに胸やけしない。そんな感じ。
ある方向へむけて(ラストのようなそうでないような)の緊張感がずーーっと続いていて、最後の方でダダダダダッ!!!!と、「ついに来たな!!!」という風な。来るのは分かっていたけど、本当に来てしまったんだね、といっそ憐れみさえ抱く展開でした。
賢くて美しい少年が好きなので、正直リチャード・ロークビーはたまりませんでした。彼の内包する狂気含めて、美しい存在だった。美しくて強いけれど、そういうものは脆いんだな…と。ヴィジャ盤が彼の目に触れていなかったら、ジョナサンとどういう風に育っていけたろう、こんな風にはならずとも、やっぱり何かしら事件を引き寄せてしまっていたんだろうか、などなど。ううん。
スチュアート先生が好きだったので、終盤はほとんど祈るようにしてページを繰っていました。無駄でしたけど。ああ……。でも彼の言っていた通り、最愛の人を失った時点で彼の人生は閉じていたのかもしれませんね。今回のことは、幕を引くただのきっかけにすぎなかったのかもしれない。
登場人物はみんな何かしら問題や秘密、謎を抱えていて、霊応ゲームは確かに行われたのかもしれないけれど、それはただの引き金で、種は最初からそこにあったのだというのがなんとも皮肉だなと。
個人的にものすごく嬉しかったというか、ああそうだよなあと感じたのは、子どもって可愛いだけの存在じゃないよっていうのが作品全体から伝わってきたことです。私が勝手に読み取っただけかもしれませんが。子どもは死んでしまったらどうしても美化されてしまうし、前途洋々な未来が潰れてしまったことに対して同情が寄せられるのはすごく分かるんです。ですけど、だからと言って子どもがただ可愛いだけの存在かというと、たぶんそうじゃない。彼ら彼女らだって人間なのだから、いろんな感情を持っているはずだし、種類が少なかったり制御できなかったりとかはあると思いますが、大人たちとなんら変わりないんだと、常々考えていたので。
買ってよかった、なんて言葉はたいへん偉そうで恐縮なのですが、出会えてよかった一冊です。
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待望の復刊、と話題になっていたようなので手に取って見ました。
作品中、リチャード・ロークビーに魅力を感じた方にはとても楽しめる作品なのかなあ、と。
あとはヤンデレ好きさんとか、パブリックスクールとか、ホラー要素とか、そういう属性値は高いです。
言われているほど物語にのめり込めなかったのは、自分の読み方に問題があったかなと。
抑圧された環境下で過ごす多感な青少年たちの繊細な心模様を噛み締めながら読む方が楽しめたんでしょうね…。
うーん、まあ好みは人それぞれということで。
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な…なんだこれ。
某所で話題だったので、にやにやできるかな、と期待して読んでみましたが……こ、これは予想外だ…!
いや、前半のほうはまあ、良いんですよ。閉鎖的な環境、悩みと不安、あからさまなまでに素直で純粋な少年たち、いじめ、友情。ちょっと物足りないような気もしつつ、(いじめっこにはもうちょっと頑張れよ、と思ってしまった)ここからどう展開するか…いや、どこまでいくのか、とハラハラワクワクしながらページを進めていくと……まさかのミステリ展開!確かにプロローグで提示された謎は気になってはいたけれど…!と読んでいったらあろうことかの怪奇ホラー展開!ええーっ!死体多すぎーっ!なんじゃこれーっ!あーそういえば確かにこういうタイトルだったわ!…とまあ、予想していたのとは違う方向に楽しんでしまいました。
しかしもちろん当初期待していたにやにや分も摂取できたので、とりあえず私は満足です。
あと解説がものすごくぶっちゃけていて笑った。「孤高の不良美少年と、真面目で心優しい少年。鉄板である。」「ヤンデレ」……うん、私もそう思いました。おすすめ作品があまりにもわかりやすいラインナップで、思わず無言で頷きました。
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心に剣を持つリチャードと、引き摺られるように友情関係を持ったジョナサンとの間に入ってしまったニコラスが、ただただお気の毒としか言いようがない。校長先生以外は救いの無かったお話だったな。狂気のリチャードと心霊ゲームが及ぼした悲劇である面は否めないけれど、それぞれ心の弱さや罪の意識に自家中毒をこじらせて至った面も多く占めるのではないかな。時代背景や環境も悲劇を助長させてる気もする。
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かなり長いが、絶対に面白い!と思い購入。
読んでみると長さなんて気にならない。寝るのも食べるのも惜しんで一気に読んでしまった。
それくらい面白い。読むのを止められなくさせるような、読者を惹きつけるものがある。
前半のリチャードとジョナサンが友達になっていく過程は安心して楽しんで読めるのに対して後半は漂う狂気、悲劇の予感。これしかなかった。笑
だから読むのを止められなくなるのだけど。
何とか幸福な結末をと願っていたがやはり…といった感じ。
パブリックスクールという閉鎖された空間。少年というまさに自己形成期も相まってと言うのは簡単かもしれない。
それよりも感じられるのは人間の狂気である。「ずっと悪人」はいない。しかし誰だって狂気に駆られる。
それにしても、ああどうしてこうなったんだ……!