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読み始めた頃はB.A.Dとのあまりの文体の落差に驚いていたのだけれど、これが1人称視点であることや主人公の有坂有哉が今にも壊れそうな心の均衡を保つために敢えてこのような話し方・考え方をしていることが判ってからは違和感無く読めるようになった。
この有坂ファミリーは確かに恐ろしい存在だね。完全無欠におかしな存在なのに必死こいて「普通」を目指そうとしている。人に近づきたいと思っているのに「自分は怪物かもしれない」という思いが普通の人と寄り添うことを不可能にしてしまう。
そこに飛び込んできた「わたしは怪物に食べられるべきだ」と考える白咲初姫の登場で有哉に変化が生じる。有哉が怪物であることを(多少の誤解が有るとはいえ)受け入れ、且つ有哉の在り方を過大評価せずに傍に居ようとする初姫ってのは有哉にとって家族以外の希望になるんだろうなーってのが察せられる。
この巻だけでストーリーとしては完結している気もするのだけど、これってシリーズ物なのか。今後も似たような「怪物」達が登場するのだろうか?