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説得力がある。
対人恐怖に本気で悩み、本気で向き合い、本気で克服した人の声なので。
解決の糸口は徹底的な「観察」にある、という新しい視点。
「あなたはもっと繊細にならなければならない」という言葉、重く響きました。
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うーん、タイトルから想像していた内容とは少し違ったかも。
何となく文章が読みづらく、内容も脈絡がない印象。
でも、時々ハッとする表現があったのは収穫でした。
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「(内面を)意識する」「咀嚼する」「味わう」というタームが頻出する。自分と繋がっていないから、他者とも繋がれないのだが、実行は難しい。以前WSで高石さんに「焦りすぎ」だと指摘されたことを思い出した。読むと鎮静感がある不思議な本。
この本は心理カウンセラーの考えを開陳した本としても興味深い。信田さよ子「カウンセラーは何を見ているか」に歌舞伎町のキャッチとカウンセリングの類似性について指摘があったことを思い出した。心理的依存をさせる手練手管を熟知しつつ使わない。下手なカウンセラーは依存させることすらできないのだろう。
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非常に良かった。ただしこの本カウンセリングや催眠療法を学ぶという視点より「身体」という視点で読むのが面白い。うちの道場の門人なら「つながる」ということがどういうことかはこれ読めばわかると思います。読んで損はない一冊です。おすすめ。
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要は"Don't think, but feel" ということなのだろうが、それなら本など読むよりカウンセリングを受けたほうが余程手っ取り早く感覚を掴めるだろう。作者の曖昧なイメージ先行型の文体では心身の壁を超えるのはなかなか難しいのではないか。また個人的にも、そもそも著者が抱える(ていた)問題が殆ど共有できず、一体何が問題とされているのか理解できない部分が多かった。
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他人と話をするとき、如何に自分のことばかり考えて話をしてしまっているか。
他人と自分との間にはズレがあるのが普通で、そこに気づき相手に意識が向けられたときに始めて同調してよい関係を築くことができる。
相手に同調し、よい関係を築くためには観察力を磨くことが大事。
まずは自分の感情、緊張をしっかり見つめて、それを受け止めることが第一歩であるように思った。
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自分の感覚・身体の反応を深く観察すべし。自覚して反応を変えるだけで、環境は改善され、よりよい反応をするようになる。振る舞いを見つめて変えることで、自分も周りも変わっていく。
コミュニケーションが苦手だからこそ深く自分を観察できる。普通にできる人だったら、ここまで考えなかったでしょう。
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へんな本だけど面白かった。
私小説みたいな始まり方で、それがいつの間にヨガの話になり(有難いことに絵がついている)、 催眠の話になり、カウンセリングの話になり。
しかし、この本に共感する人が全国にどれくらい…
自分も中学の時に不登校で、大学の時にパニック発作で引きこもり、カウンセリングを受けて寛解、催眠オナニー経由でトランスにも興味があったので、なんか似たような経験をしてるいなあと思って、猛烈に同調してしまった。
自分は、高石さんの様に、ナンパなど出来なかったし、繊細というよりかなり大雑把な人間で、どの程度いい加減かと言うと「繊細だね」と言われると喜んでしまうぐらいでw
ただ、まあ、わかるわかるの連続で。本当、一歩先を行かれてる気がした。
最後の章が特にすごい。逆説的な真理というか。
ここまで高次元な会話、自分はした事が無い。
でも普段の会話に漠然とした違和感はあったので、目指すべき地点が見つかったという感じ。いつかワークショップを受けてみたい。
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コミュニケーションを改善する。
無自覚に続けているパターンを見つけること。
しなければいけないことを身につけるのではなく、してはいけないことをやめるだけでよい。
パターンとは、刺激にたいする反応である(癖)。
対人関係におけるストレスは、そこに他人がいるかぎり常におこっている。
気づいていても、気づいていなくても、日々の生活の中では自分にも相手にもさまざまな反応が起こっている。
反応をかえることは簡単にできる。
自分を観察し、目の前の相手を観察できるようになったとき、相手よりも早く判断し動くことができるようになる。
人は互いの環境に影響を与えあって生きている。
そして、自分の反応を自覚してかえるだけで、環境は改善され、自分もまた改善された環境に対してより良い反応をするようになる。
<会話のトーン>
相手の歩くリズム、身体の緊張具合にあわせて、相手が発するであろう声のトーンを推測しながら、同じトーンで話しかける。
<会話とは>
思い浮かんだことをいかに自由に、丁寧に伝えていくか。また、相手のそれをどれだけ受け止められるか、それを楽しむことが会話である。
<話題>
自己紹介、仕事のこと、彼女を見てどうおもったか。最近見た映画
話題にたいし、どのような感情をもつような出来事であったのかを聞く。
「そのときはどんな気持ちだったんですか?」
自分の都合のよいように事実を脚色して、「自分は悪くない」と愚痴を言っている人間が本当は何を考え、何を隠しているか、それが見えたときにどうすればいいかが分かる。
レコーダーやビデオで自分をとって、自分を客観的にみることが自分を好きになっていくことができる一歩となる。
相手にたいして、あぁ分かるなぁと共感してしまったとき、分かっていないと思った方がよい。相手を見ずに、自分自身の気持ちや考えを相手に投影してしまっていて、自分が共感するのに都合のよいところだけを見て、相手の反応が見えていない。
<沈黙をおそれない>
自分の気持ちや思い浮かぶことに集中して意識を向けてみると、話したいことがイメージとして次第に浮かび上がってくる。
<コミュニケーションは小さな動作の積み重ねでできている>
コミュニケーションは小さなパターンの積み重ねでできている。
話す時や聞くときにどこを見ているか
どのように頷くか、
どのような姿勢か、
どのような声をだして、どのような言葉を使って相づちをうつか。
いくつかの決まった動きの組み合わせ(パターン)がその人の全体の動きを形作る。
パターンは、無意識の行為であり、オートマチックに行われ、臨機応変さにかける。
相手にかかわらずに行われる行動のため、相手とズレてしまうことがあり、そこが問題をおこしてしまう。
自動的な反応を、相手に合わせた反応にマニュアル操作にかえる。
自分がした動作の中に、今の自分が表れていて、その動作によって他人に対して影響を与えている。
相手にどのような印象を与えたいかを考えると、自分がどのように動きたいかが見えてくる。
<歩きの中で自分を観察する>
一歩を4分割して観察する。動きのはやいところを遅く、遅いところを早くし、均等にしていく。8分割にし、さらにより細かく。
<同調するために必要なこと>
1.自分自身の体の緊張具合と感情を感じること:リラックスした状態にする。
2.相手に意識を向けること:リラックスした状態で他人に意識をむけると自分の心身の状態が相手に同調する。
相手の会話に合わせて何かをしなければいけないという思い込みを捨てる。
自分をただ相手の前にある人形だと思ってみる。
人形は、相手の状態をそのまま映し、筋肉の緊張具合も、動きも同じになる。
相手に対する気遣いをせず、ただ同じように感じるだけの人形になりきる。
<話の方向性を誘導する>
相手の状態を映す人形になりきれていればいるほど、他人の状態をかえていくことができる。
相手にとって違和感を感じないくらいのレベルでの声のトーンの変化であれば、相手はその音に誘導されていく。
人は自分と大きく違うものには拒絶を示すが、少しだけしか違わないものには同調する。
ちょっとした返事ですらも、他人の話の方向性を誘導することができる。
「それは悲しいね」「それは悔しいね」:言われた相手は悲しさや悔しさを、自分の中に見つけようとしてしまう。
何も言わずに、頷くか頷かないかだけでも方向性を誘導できる。望む方向性に話が進む場合だけに相手に気づかれないように軽くうなずくだけでよい。
相手に内省する力を伸ばしてもらうことと、依存されることの違いは、答えを与えるかどうかというところだけである。
<イメージ>
いきなり良い話を持っていっても相手は反応しない。相手が期待しているイメージを捉えてそのイメージがより膨らむように話を進めていく。
お金が欲しいなら、何が欲しいか、が大事であり、寂しいのなら、人からどう思われたいかが大事。
そしてそのうえで、「きっとこんな風になるよ」と相手の未来へのイメージを膨らませていく。
そうやって期待していることを引き出しながら、最終的には、「俺の言うことを聞けば、きっとこんな風になるよ」につなげていく。
自分に対する観察が細かければ細かいほど、相手と同調したときの相手の変化を感じ取りやすい。動画の画素の細かさににている。
当人が使う言葉には、その人自身の価値観や思い込みが閉じ込められている。
「だって、~じゃないですか」「~でしょ」と人が言うとき、それは、「私が現実がこのようにあると思いこんでいます」という告白が込められている。
「あいつはバカだ」では内省がないが、「あいつをどうしてもバカだと思ってしまうんだよね」と客観しすること。させること。
<時間を細分化し、観察する層を増やす>
「わたし、すぐに人を傷つけてしまうんです」の一つ一つの言葉にはそれぞれたくさんの感情、感覚、イメージがつまっている。
それぞれの単語にむすびつけられた、声のトーンや身体の動きなどを観察し、読み解く。
<分割し、抽象的な事象を具体的にしていく>
「なんとなくうまくいっていない気がして」という抽象的な悩みにたいして、
「何がうまくいっていないと感じるの」と、うまくいっていないと思っているところ、困っているところをはっきりさせていく。
「自信がない」→ 「特にどういうときに自信のなさを感じるか」
「毎日がつまらない」→ 「1日の中でつまらないときと、楽しんでいるときはどんなときか」
悩みを解決しようとするよりも、一緒にその人自身の”箱の中”を見ていくという感覚をもつとよい。
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メッセージは割と一貫していたように思う。人はしばしば殻をかぶってしまっている。結果、空想、相手に怯える、攻撃的になる等々の形で、外界にも自分の感覚にも意識が届いているトランス状態から隔たってしまう。それに対して、自分の感覚を拾い直すこと、自分の感覚を拾い直すことで相手の感覚にも同調すること等々の価値を説く。その具体的な観察の細かさが余計な飾りのない文章で描かれていて読み応えがあるし、繊細な感覚に裏付けられた例の選択も、「エモい」というか、とにかく心の琴線に触れてくるようなところがある。
しかし、読んでいると違和感もむくむくと。それは、感情的・感覚的人間関係以外のものが捨象されている点、殻を無条件に否定している点。
人間関係にとって身体的な感覚・感情は確かに大いに意味があるが、それをクリアしたら今度は意味内容の次元が問題になるだろう。常に感情が問題になるわけではない。
何かを成し遂げるためには、適当に自分を麻痺させ殻を築く必要があるのではないだろうか。継続的な努力のために時には必要になるのではなかろうか。
とはいえ、それで行き詰まっている人には有益だろうし、とりあえず殻の存在を盲信するのを辞めるとこういう世界が見えるよというのを見せてくれる。洗脳されるといいことなさそうだが、いい本。
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さらっと読みやすく、具体的で、わかりやすい内容でした。
意識の向け方、つかみ方がマインドフルネス的だと思いながら読みました。
具体的なワークの紹介や、そこからどのような変化が起こりうるのか、その説明が丁寧で著者への好感を抱きながら最後まで読みました。
身体のワークを通して緊張を緩める、力を抜いていく作業はしたことがなかったので、これから取り入れていこうと思います。
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「声をかける」で興味を持ったので読んでみた。とても大事なことが書いてある気がする。しかし感覚的、抽象的な記述が多くて内容を掴み切れなかった。
大意としては、『自意識過剰に陥ることなく、まず自分の体に意識を向けて観察する。その上で、自分の外側にある他者に意識を向け観察する。そうすることで相手に同調し柔軟なコミュニケーションが可能になる。』といったところか。自分が緊張して固くなっていると感じることがしばしばあるので参考にしたいが、この本の中にわかりやすい答えはない。試行錯誤するしかないのだろう。
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ここ最近、ずっとSNSに頼って読書をしていたので、なんだが面白い書籍に出会わないなと思っており、久々に書店で手にとってみたら大当たり。カウンセリングの世界観の話なので、コーチングや1on1の近接領域ではあるけれど、著者のコミュニケーションの感覚をとても丁寧に言葉にしてあり、なんとも不思議な世界に連れて行ってくれる書籍でした。1on1が本当にうまい人に包まれていく感覚や、そこから抜け出したいけど抜け出せないパラドックスについても書かれており、とても面白かった(2018.2月上旬読了)
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対人関係のあり方を考える上で非常にためになった本。
◯コミュニケーションに関してハッとしたことメモ
・やらなければならないのとをするのではなく、してはいけないのに知らないうちにやってしまっていることをやめる
・うまく行っている人は、堂々としていて、リラックスしている。
・自覚していない気づかないほど小さな反応に気づいたとき人は変わることができる
・嫌なものを見つけた時に、その感覚を感じる自分を観察する。考えて作り出す選択肢よりも自然と浮かぶ手段の方が優秀。
・思い浮かんだことを自由に丁寧に伝えていく、また相手のそれをどれだけ受け止められるか、それを楽しむことが会話
・相手にトーンと音を合わせる
・圧倒的な観察者の前では、人は嘘をつけない、愚痴をどう聞こうかと考えているうちはどうにもならない
・自分がどう見られているか気になっている時ほど、自分がどう見られたいかはっきりしてない。
・自分の声、仕草を撮って見るとどこがダメなのかよくわかる。
・相手の態度に気になった、違和感があった時は、立ち止まり自分もそうではないか?と振り返る
・話し終えてすぐ反応されると疲れる。落ち着かないし、聞いてもらえている気がしない。話したいことが話せない。
・相手に対して、ああわかるなーと共感してしまったときは、分かってないと思った方がいい。むしろ全く相手が見えていない。自分の都合のいいところしか見ていない。
・何が話したいかわからないときは、顔色を伺うのではなく、自分の気持ちや思い浮かぶことに集中すると、イメージが浮かんでくる
・否定や肯定をする人は、目の前の人をどうにかすることしか考えてない
◯コミュニケーションを見直す方法
・会話の無意識なくせ、特に相手によく見られたいがためにやっているくせに気づき、その時に何を思い何がかけているかに気づくと自然と改善の方法がわかる。
➪自分もそうだなと思ったこと
・相手の言ったことを咀嚼する時間がない、よくわかってないのになるほどという、わかります(勝手にわかったと決めつける)自分の感覚と同じか疑う時間がない
・何を話していいかわからず黙り込んでしまうとき、感じていることが胸の周りにぎゅっとあり、その中にははっきりと観察されていない素直な感情が詰まっている。これに意識を向けられると自分の深いところの感情を自分で自覚し、言語化し、相手に伝えられるようになる。
・自分の動作の中に今の自分が現れていて、その動作が他人に影響を与えている。相手にどんな印象を与えたいかを考えて行動を見直す。
・誰かと話した後に残る「もっと話したいことがあったな」「何か釈然としないな」という感情をじっくり探ってみて言葉にしてみる(無理にしなくていい)内面観察能力を磨く瞑想。
・相手と共に自分も観察できるように、まずは自分一人でその練習をする。
・ペットボトルを持ち、力が入っている場所から力を抜き、別の部分に移していく。力を抜くコツは、無理に抜こうとせず、力の入った部分を丁寧に感じること。日常生活の動作にも意識を向けてみると発見がある。
◯同調がわかるとコミュニケーションがわかる
・自分の予定通りの会話をするのではなく、どうなるかわからないが、どうなるか楽しみだ、という気持ちが大事。自分の思い通りになって欲しいと思うと緊張する。
・同調するのに必要なのは、自分の体の緊張具合と感情を感じ、相手に意識を向けること。自分がからっぽでないと相手を感じることはできない。
・相手の姿だと思ったものが自分の考えと緊張でないか反芻する。如何に自分が思い込み、他人の思いと混同しているかがわかる。
・同調の質を高める
1. 無自覚なクセを意識する。自分に対する観察力が上がる。
2. 相手のことがよくわからないと思ったら、同じ姿勢になってみる。わかってあげないとと気張るのではなく、どんな感じなんだろうと気楽に感じてみる
3. 相手に合わせて何かしなきゃと思うのをやめ、自分を相手の前にある人形だと思う。
4. 相手を写す人形になれているほど、相手を変えられる
5. 緊張は悪いことではない、緊張を自覚することが大事、自分の内部の緊張を隠さず見つめる、緊張することが他人を認識する始まり
◯自分自身で変化を生み出すシステム
・人に指示して思い通りに動いともらうことはできない。こうなった方がいいという理想を押し付けても通用しない。
・悩んでいるときは硬直した筋肉をほぐすために体を動かす
・感じ方が変わったことを少しでも認識することが変化を作り出すための重要な一歩になる。
・他人に対する悩みの多くは理解のなさが原因になっている。相手がどんなに嫌なことをしてきてもわその理由を理解していけば自然と許せるようになる。
◯トランス
・意識が内の外両方に向いている状態。
・話しを聞くとき、相手の言葉、話し方を見聞きしながら、自分の感情や感覚がどう動くかを観察することで、その話に込められた感覚や感情、イメージを捉えることができる
・愚痴や悪口を言ってるときは、安易な快楽が得られる一方、意識は自分の状態にむかず、良く改善する内省ら訪れない。有益か無益か以前に自分を観察する時間を奪う。
・愚痴を言うとしても、もしかして見落としてる部分があるのでは?と考えながらにする。
・旅行に行くと、穏やかに自分の気持ちを感じて内省ができる。環境がそうさせてくれる。しかし日常でも、電車でぼんやり外の景色を眺めたり、他の人を観察してその生活を想像するのも面白い。自分との違いから振り返れる。満員電車のストレスを利用して、緊張な身体の状態を見つめる。
◯騙すこと、依存させること
・話術に長けた人は柔らかく、影響を受けやすい。ちょっとした一言に敏感に反応し、どう思うかゆっくりと感じた上でつたえる
・騙そうとしたり、都合の良いように持って行こうとすると、必ずその人の欲が出る。欲が出ると身体が緊張して声のトーンが変わる。
・観察力がある=観察が抜けたところが少ない、
・今の環境を大切にしたいなら、周りの悪口は言わない方がいい
・騙されても毅然として居続ける女性の姿に、他人を騙してでも都合の良いようき持って行こうとしていることを自覚して恥ずかしくなった。
◯人の話を聴くということ
・焦って指示を与えてはいけない。ちょっもした一言でさえ、その人の世界を傷付けるかもしれない。
・直感に従って大胆に、しかし傲慢でないかを感じながら繊細に他人と接する。
・そういうもの、〜でしょ、という時、思い込み
・話を聞く人間は、ただ、相手の世界を知ろうとする人間でしかない
・他人に対する指示はほぼ全て、自己嫌悪を味わわせて停滞させてしまう可能性がある。
・悪いところを指摘してくれる人がいた方がいいでしょ、というのは説教好きの人の理論
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『「絶望の時代」の希望の恋愛学』に登場した人物の一人である高石宏輔氏が著者。
高石氏「自身が取り組み,試行錯誤してきたこと,カウンセリングや講習で人に伝えて感じたことを書いて」(p.7)いる。「一人の人間がコミュニケーションについて考えたこととして,参考程度に読んでもらえるとありがたい」(p.241)とのこと。というのも,「価値観を与えるのではなく,じっくりと自分を見つめて答えを出す感覚を育んでもらう機会を作」(p.240)りたいからである。
なので,著者の体験記や思想を記した本ではあるが,「こうすればいい」というマニュアル的なものではないし(そもそも高石氏は本質的にはマニュアルを否定している),自己啓発的なものでもない。
一人の人間が自身の経験をもとにコミュニケーションについて学び,研究し,考え続けた結果が,ある程度の一般性をもって語られている。カリスマナンパ師である高石氏の著書であるからナンパの話かと思うかもしれないが(本のタイトルもなんかナンパっぽく見えるし),ナンパの話は経験の一つとしてしか出てこない。本書の内容は,コミュニケーション論であり,自己論であり,身体論である。
自身の経験を通してコミュニケーションや,自己,身体に深い考察を行っているが,その本質は”感覚”の観察にある。外(他者,環境)から受ける”感覚”,中(身体)から受ける”感覚”に徹底的に繊細になること。どちらかの”感覚”に偏るのではなく,両方の”感覚”に注意を向けること。それらの基礎になるのが身体であり,それらを通して良質なコミュニケーションが達成されうる。
身体に基づいた”感覚”の観察を上達させるためのトレーニングも記されており,その点でコミュニケーションの実践的な書でもあると思う。(実際にトレーニングを一度試してみましたが,やはり一度では”感覚”の観察は難しく,継続が大事だなと思いました)
コミュニケーションに関する”答え”はないけれど,”答え”を探す力を補充してくれる一冊であった。