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随筆を通して、正宗白鳥の好きなもの、嫌いなもの、価値観、思考、そんなものを追える。だいたいニヒル、時々ぐっさり、結構流されやすいというのか、ごりごり頑固ではない印象。やっぱり変わり者とは確信する。
自分の作品や生き方に自信や誇りはなく、でもそれを卑下しながらもすーっと書いてるから、驚きながらも読みやすい。
特に、白鳥の目に映る文壇事情、懐関係や出版業の変遷などは知らない世界を覗けるという意味で興味深い。
現代では、出版業の意味に『文学を育てる』というところを意識しにくいが、本来は出版社の利益追求(存続のために勿論必要だが)の他に文学の育成や保護という機能や理念があるんだろうなと認識できる。
ただ、文壇関係の内容も多く、そのあたりについて馴染みのない作家と出版者などの単語が多くなってくると、退屈を感じることも。
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するする読める白鳥の随筆集。面白かった!
明治後半~昭和初期にかけての、白鳥の視線から見た文壇(+出版社)の動向回顧が興味深い。文学だけでなく新派や歌舞伎、美術など芸術全般に対して貪欲に吸収しつづけた白鳥、でもどこか一歩引いたところから物事を眺めているようなニヒルなスタンス。どの随筆も媚びた感じのしないところが(かといって、貶すわけではなくそれを己の正統な感情として説明するでき筆力が)凄いなぁと思いました。
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特に好きだったのは“私も講演をした”と“「新潮」と私”。
正直にすぱっと書いているから、読みやすい。物言いが率直過ぎて、思わずクスッとしてしまうところも。
物書きが三文文士と言われていたり小説が軽んじられていた時代から、戦後文学が盛り上がった時代までを見続けているからならではの視点なのかな。