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(2010/09/23購入)(2010/09/24読了)
ミステリのようで、サイコ、ホラーのようでもある作品。一人称が非常に良い効果を出している。冒頭では傍観者にすぎなかった主人公が、エアーズ家の悲劇に巻き込まれ、徐々に混乱と狂気の中へ陥ってしまう過程が恐ろしい。
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大部にもかかわらずラストまでまったく飽きさせない。サラ・ウォーターズには安心して時間と五感を預けられる。ブッカー賞最終候補作。
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ミステリーとカテゴライズしていいのかどうか…。
かつて隆盛を極めたエアーズ家が没落していく。
その姿を主治医の視点から描く。
とはいえ、主治医ファラデーがエアーズ家に出入りする段階で、土地は切り売りされ邸宅は荒廃している。しかも使用人は、家に悪霊がいると言い出す。
ホラーであれば、怪異を体験するのは語り手なのだ。
が、ファラデーは決してそれを認めない。
彼の根底には、上流社会に属しているエアーズ家の嫉妬がある。
また、悪霊がいると、エアーズ家をでていきたがっていた使用人は、結局ずっとこの家に居続けた。
誰一人として信用がおける語り手が、傍観者がいないのが、この物語の恐怖の源なのかもしれない。
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斜陽の旧家の崩壊が本格的に始る下巻。主人公とヒロインの恋愛要素もあるが、ところどころで“滅び”の気配がちらつくので、いつ関係が壊れるのかとヒヤヒヤしっぱなしだった。結末も安易すぎず曖昧すぎず、いい按配だと思う。いろいろな読み方ができそう。
悲劇として良い作品でした。
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ついに若き当主のロデリックが心労のあまり館を離れることに。
その費用を捻出するために、家族はますます倹約を余儀なくされます。
館のすぐ近くを売った土地に、新しいアパートが建つことに。
果たして、ロデリックの言っていた館の呪いとは…?
説明のつかない不気味な現象に見舞われる館。
残されたエアーズ夫人と令嬢キャロラインを放ってはおけない気持ちのファラデー医師は、ますます頼りにされます。
令嬢キャロラインは地味な外見だが芯は強くいきいきとして、ファラデーとは身分も違うが、しだいに心が通い合うように。
不器用な二人の接近ぶりと行き違いがありありと描かれてまた、見事です。
館の壁に妙な文字が浮かび出て、それを見た夫人は何か思う所がある様子、だんだんと閉じこもっていきます。
幼いときに死んだ最初の子スーザンを夫人は誰よりも愛していたのでした。
スーザンの霊?それとも、夫人の思いなのか、何者かの作為なのか、無意識の生き霊?館にこもる怨念なのか?
キャロラインはポルターガイストかと疑います。
あくまで科学的に捕らえようとするファラデーですが…?
どんどん崩壊していく館のものすごさ。
ホラー好きな人を満足させる~じわじわと盛り上がる描写。
厚みのある設定でリアリティがあり、単なるホラーではありません。
何通りにも解釈が成り立ちそうで、どれも怖い…
ウォーターズはすごい!
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このひとの物語の終わらせ方はすごい。
おばけものはこういう人のが怖くていいと思う。
上巻ではあんなに好きだったファラデー先生が…。
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こういう終わり方というかこういう類の小説は好みが分かれると思いますが(僕は解決編的なものがあるほうが好き)、読ませますね。館にまつわるミステリと思わせておいて男やもめの奮闘劇でした。
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シャイニングとかレベッカを読む前にこれを読んでたら、もっと驚きを感じたかもしれない。肝心なことは覚えてないのに余計なことばっかり覚えてる自分がうらめしい。
しかしながら、怖い。夜には読みたくない。
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図書館の本
内容(「BOOK」データベースより)
相次ぐ不幸な出来事の結果、ハンドレッズ領主館はますます寂れていた。一家を案じるファラデー医師は、館への訪問回数を増やし、やがて医師と令嬢キャロラインは、互いを慕う感情を育んでいく。しかし、ふたりの恋が不器用に進行する間も、屋敷では悲劇の連鎖が止まることはなかった…彼らを追いつめるのは誰?ウォーターズが美しくも残酷に描く、ある領主一家の滅びの物語。
やっぱりこの作家さんは「半身」を超える作品はかけないのでしょうか?
あのレベルをきたいしちゃうとねぇ。。。。。
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お屋敷に怪奇現象とくれば、これはもう大好物。
どう読むかに関しては読者の手に委ねられているので、読後、「ねぇ、ねぇ、どう読んだ?」と聞いて回りたくなる。
私はといえば・・・・
おや、と気になる、突飛なというか異常ともいえるような行為があったので、上巻なかばからあたりをつけて読み進めていたため、ラストはああ、やっぱり・・・・・と納得。
超常現象をまじえたサイコ・スリラーとして読んだ感じ。
終盤で、登場人物のある決断に伴って件の人物の異常性が、これでもか、とあぶりだされてくるあたり、怖いのなんの。
そう見定めて読むと、原題の The Little Stranger の Little がとてつもない怖ろしさで迫ってくる。
とはいえ、もう一人のstrangerのほうも、手立てがあるしなぁ。
The Little Stranger by Sarah Walters
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読んでいる間じゅうすんごい怖かった。
なのに、最後まで読むのを止められない。
すごいぜ、サラ・ウォーターズ。
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今回は今までと趣が違うゴシックホラー風の作風。まるでスーザン・ヒルみたいだ。荊の城のようにテンポいい作品ではなく、夜愁のようにじんわり話が進行する。今回は同性愛が出てこなかったのも、これまでとは違うが、キャロラインのキャラは同性愛の女性に近いものを感じる。見た目は悪く、いかつい、気難しい女性だがどこか魅力のあるキャラクター。弟は母に似て美男だが、戦争の傷で美貌は損なわれ障害もある。気難しいが、誇り高く魅力のあるキャラクター。語り手である医者、これがどうしようもない。魅力の無いキャラクターなのだ。しかしこの時代の普通の男性はこんなものなのだろう。モヤモヤしたものが残るが良い作品。再読が必要かな?
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ある意味まさかの展開。
そのまま押し通して終わりとは。あっと驚くとまではいかないまでもなんらかの伏線だと思っていたのだが。
ホラーはあんまり面白いと思える質でないので自分的には低評価。
ストーリー的にも同じ文脈の繰り返しが多いし、行きつ戻りつで全体も間延びしてる感じがした。
■このミス2011海外7位
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上巻参照
http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-63.htmlもどうぞ。
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幽霊屋敷の話だけれども、一筋縄で終わらないラスト。犯人は誰ということもどうでもよくなる、見事なまでに悲劇的でねちっこい語り口に惑わされる快感。原題が意味深い。