紙の本
若きヨーロッパの海軍士官の目に映った幕末日本の様子を生き生きと描いた書です!
2020/04/06 09:53
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、デンマーク生まれのフランス海軍士官であったエドゥアルド・スエンソンが幕末に日本へやって来て、その際にフランス公使であったロッシュとともに目の当たりにした我が国の社会、特に横浜と大阪の様子を生き生きと描いた貴重な書です。同書には、将軍であった徳川慶喜との謁見の模様やその舞台裏、横浜の大火、テロに対する緊迫した町の様子が克明に描写されています。また日本人のきれい好きな点や悪習及び弱点などもスエンソンの目から指摘されています。若きヨーロッパの海軍士官が幕末日本の姿を鋭く鮮やかに描いた一冊です!
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講談社学術文庫で時折出る幕末外国人ネタの一冊。テンプレのような勘違い日本観は可愛げがあるが、所々にじみ出る19世紀西洋人特有のジャイアニズム精神にウンザリさせられる。「横浜の街を日本人に奪われる」とか何とか言ってるけど、そこオメーの街じゃねーから!
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エドゥアルド・スエンソンはデンマーク人だがフランス海軍士官として幕末の日本に滞在。下関戦争で燃える建物を海上から目の当たりに見たり、大阪に来た薩摩藩の侍に睨まれたり、なかなか恐い経験をした。また最後の将軍にも大阪で拝謁した。大阪の庶民はは立派な軍服を着た外国人を見てゲラゲラ笑いっぱなしだったらしい。
彼にとって芸者の舞いも三味線も退屈きわまりなく、遊郭の女性の化粧、食事の時ゲップをする大名に不快感を隠さない。
でも彼は後年日本に戻り、海底ケーブルを設置して明治5年に長崎とヨーロッパに通信出来るようにし、非常に貢献している。
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幕末を書いた本は幕府側や薩長側(新政府側)を中心に書かれたものが多く、庶民レベルが果たしてどういう様子だったのかを感じ取れるものは読んだことがなかった。
スエンソンというフランス海軍の視点から見た正直な日本の様子は、まるで当時のその場にいるような感覚にさせてくれた。外国人の観点から改めて日本を見つめると、普段気がつかない私たちの当たり前について考えさせてくれる。
日本人と社会の関係、日本人と宗教の関係、日本人の民族性など幅広く、深い考察を与えてくれており、読んでいる途中で思わず笑ってしまうほどだった。
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著者の訪日は14代徳川家茂が亡くなり新たに慶喜が最後の将軍となった時期であり、翌年大政奉還となる激動の時期であった(1866年から67年)が、その歴史的背景にある薩長連合などの動きついては詳細がない。大阪で将軍との謁見中にはすでに薩摩軍勢が大阪にいたとあるだけで市中は歌舞伎演劇などで盛り上がっていたとある。気になったのは欧州の風習の違いから「日本女性」日本の女性は恥じらいもなく風呂は混浴に入り、髪は貧乏人でも頻繁に手入れ、花魁は人形のように厚化粧、だが、結婚後の地位は奴隷的扱いで、三十を過ぎると瞬く間に老いて見える)と指摘している。男性上位での平民の日本女性は13・4歳で大人として扱われ家主・主人に言われるまま身売りされ、嫁ぎ、一生苦労したように映った。
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薩長同盟の直後、大政奉還の直前という龍馬伝なら超クライマックスの時期に日本を訪れ、呑気に観光を楽しむヨーロッパの若い海兵の見聞録。
外国人ならではの描写や時折入るテスト対策で必死に暗記したワードがリアリティを増す。
日本人視点の幕末記では得体の知れない夷人として描かれる外国人達の陽気に宴をし、仲間と戯れ合う様子には、やはり人間同士なんだなぁと、認識させられる。
いま目の前に宇宙人が現れた場合、同じ認識を持てるだろうか。それとも夷人として斬りつけたくなるのだろうか。