紙の本
運は天にあり、ぼた餅は棚にあり。
2009/07/11 22:11
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:リーマン・シスターズ - この投稿者のレビュー一覧を見る
偶然を、いかしきれるか、どうか。そのためには、いつ訪れてもいいように準備をしていること。加えてチャンスを好機だと認識できる知識を持っていること。一万円札の養子である著者はいう「先見の明ありというのはホラなり」と。「偶然、今日の結果を得ただけ」だと。
心もとないことを嫌い、確実性を求めるがゆえに、人と同じことに安心する。良く考えてみれば、”同じ”ということだけであって、確実性が有るとは限らない。ぼた餅のない棚の下で大勢で口をあけて待っているような安心感の幻想。これは本書にいう「習慣の奴隷」のなせる技だ。
著者はいわゆるバブルの絶頂で見事に売り抜けを行っている。これは大衆からすれば異端扱いだ、その時は。
人と違うことを、実は、忌み嫌う大衆は、人と同じ安心感とうい幻想を買う。それが砂上の楼閣と気づく頃、一人売り抜けたものを羨み、そして怨む。
「市場の人気によって終始、この圏外(適正価格の外)に逸脱する。そこに面白味がある」。相場師でありながら実業家であった著者の言葉は、実に、ふかいぃー。
偶然その時が来た時に、しっかりチャンスをつかめるスキルを著者は持っていたことを本書で知ることができた。
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[ 内容 ]
明治に生きた著名な教育家といえば、福澤諭吉の名前が浮かぶ。
その諭吉に比べて桃介の業績を知る人は意外と少ない。
福澤桃介―福澤家に見込まれて婿入りした人物。
それだけでは、あまりに単純である。
眉目秀麗にして大胆不敵。
福澤家に頼ることなく、己の力で相場界・実業界で成功し、関西電力の礎を築き、名古屋発展を導いたほどの豪傑。
貧家に生まれながらも数々の輝かしい実績と武勇伝を残した男が語るお金と仕事の流儀とは。
[ 目次 ]
第1章 我が処世観
第2章 羨むなかれ世のいわゆる成功者
第3章 金儲けは株にあり
第4章 憎まれて嫌がられて世を渡れ
第5章 どうすれば金持ちになれるか
第6章 出世の秘訣
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福澤諭吉の婿養子にして伝説の相場師。そして、日本の電力事業の礎を築いた。福澤桃介の「プロフェッショナル 仕事の流儀」です。現代を生き抜くビジネス書としてもまったく古びてはいません。
一万円札の福沢諭吉については、あまり知らない人はいないと思うけれども、彼の婿養子になった福澤桃介の生涯や業績についてはあまり知られていない。僕が彼のことをはじめに知ったのは、実業家の彼ではなくて、肺結核に倒れ、病床でそれまでサラリーマンとして蓄えたお金で株式投資を始め、その天才的な相場観で巨万の富を築いたエピソードからであった。
後に福沢桃介は相場界を離れ、関西電力の礎を築き、後の名古屋発展の導いた男だという。その彼が著した本が再販されたので、手に入れて読んで見た。内容はというと、福沢桃介の『カネと仕事の流儀』であるが、内容はっ現在読んでも非常に普遍的かつオーソドックスなもので、
・収入から天引きして貯金せよ。
・社風にあわせよ。
・衣食足りて真の人間となれ。
など非常に示唆に富むものが多い。そして、彼の若いころの写真が掲載されているが、非常に『イケメン』である。そんな彼が晩年に残したといわれるいっぺんの漢詩があって漢字変換が出来なかったので掲載が出来ないが、大意はというと
『お金で楽しみを買えば身を患い、社寺に参り身を天に任せば心は安らぎを得る』
という内容らしい。そんな伝説の男もいまは静かに多磨霊園の墓の中で眠っているという。いつか、彼の墓に手を合わせたい。また、人生の中に生きる意味が出来た。