紙の本
「現在」の一つの捉え方
2016/01/17 14:27
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投稿者:江見啓示 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現状を分析し、理路整然と「お金の守り方」を示しています。そして、その道の専門家でありながら、非常に分かり易い解説になっています。この方の唱える未来予想が的中するかどうかは、神のみぞ知るところではありますが、説明に矛盾がないので、かなり説得力のある記述になっています。ただ、「たとえ話」の中で引用されている数値がちょっと大げさなので、この点は分かり易い反面、現実味を削いでしまっているかも知れません。
また、「大きな落ち込みののち、日本は再び息を吹き返し、今まで以上の発展を遂げることでしょう」と結んでいるところはやや飛躍を感じ、ちょっと宗教染みているかも知れません。
後半は、筆者の履歴書みたいになっています。性格的にも肉体的にも有利な面のない人間が努力によって成功していく過程は、映画のストーリーのようです。「働く」という行為自体が余り好きでないと語っている事は、安らぎを覚えました。
私は、前半の理論に共感しましたし、自らも積極果敢に仕事に向かう方ではないので、面白く読みましたが、反論を抱えた人には興味のない部分になってしまうかも知れません。
世界情勢の先行きがはっきりしない今、一つの方向性を示した著として、また成功を収めた一人の人間の履歴の書として、役に立つ読み物ではないでしょうか。
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かつてのアメリカ 経常収支と財政収支の双子の赤字
いまは縮小中
個人向けハイパーインフレ時のリスクヘッジ 債権ベアファンド
手を出しては行けないもの ハイリターンが期待できる攻めの金融商品
守りのスタンスが大事 国債はおすすめできない
結局のところ英語ができるかどうかは危機感があるかどうか
外国では、どんなに仕事ができれても、自国の歴史と文化を話せない人は尊敬されない
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今迄の著者の本と、内容は殆ど同一であり流し読み。
この本は若い人向けである。ハイパーインフレに対抗する最大の資産は自分自身の価値を高めることだ。外資の会社で働くには英語力はさほど重要ではないとか、面白いことが書いてある。
外資での出世には教養が不可欠で、社員で酒を飲んでいても話される話題は、歴史・文化・哲学の話ばかり。他にも何年のワインが美味しいとか・・・。
日本人ならお茶や生け花が出来るだけで、外国人社員の尊敬を得られるからお勧めとのこと。
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最近、読んでいて気持ちいいので、日本国債発行残高が増え続けてもまだまだ大丈夫という本を読み続けていたので、ここらへんで、反対の意見が述べられている本を読もうと思い、この本を手に取りました。最近はAmazonでネット購入すことが多くなりましたが、先日久しぶりに書店に足を運ぶ機会があり、何冊かまとめ買いした中の一冊です。
この本の著者の藤巻氏の本は以前にも読んだことがありますが、この10年以上、一貫して「日本国債は危ない!」と言い続けている点には、ある意味、凄いと思います。日本国債がなぜ危なくなるのか、暴落する(=金利が上昇する)のかを解説していますが、日銀が異次元緩和をしている点をメインに解説しているのは、最近の出来事を反映しているので興味深かったです。
それに備えるために、藤巻氏は、ドル建てMMFを推奨していますので、それについても勉強してみようと思いました。
藤巻氏によれば、Xデーは、東京五輪開催の前である、来年か再来年にはやってくるそうです。この2年間は注意深く過ごさないといけないのですが、その通りになるのか見定めることができるので楽しみでもあります。
以下は気になったポイントです。
・日本政府はギリシアと異なって、日銀という「打ち出の小づち」を持っていて、紙幣を刷って国債と引き換えて政府に渡せるので、資金繰り倒産はありえない。実際に刷るのではなく、民間金融機関が日銀にもっている当座預金口座に資金を振り込む(p5、40、61)
・今年度は、152兆.6兆円の新発債と借換債を発行するうち、日銀は110兆円(72%)も市場から買う。国債を購入する際に、ほんの一瞬、市場にタッチさせている(p6)
・国際公約である、消費者物価指数2%が達成された時こそが怖い、それが達成されれば、日銀は「異次元の量的緩和」を中止しなくてはならない。7割を購入している買い手がいなくなったら市場は大暴落するだろう(p8)
・膨大な累積赤字を見て、保険としてドルを買ったが、Xデーが起こらず円高ドル安が起きた場合には、「その損は火事に対する火災保険料とおなじだ」と思いながら本を読んでほしい(p12)
・ギリシア政府は、国内からユーロが流出するのを防ぐために、銀行窓口を閉鎖し、ATMからの預金引き出しを1日60ユーロ(約8000円)に制限した、これは2週間以上続いて大混乱となった。(p24)
・名目運用利回り>名目GDP成長率ならば、年金財政は維持できるといいながら、ドーマーの定理は、名目GDP成長率>名目長期金利なら、借金が減ることを示している。これは明らかに矛盾している。つまり、国の財政が持続可能ならば年金が保たない、年金が持続可能ならば、国の財政が保たない、達成できるのはどちらか片方(p39)
・財政破綻を免れる方法は2つしかない、1)大増税して歳出も大幅に下げる、2)インフレを起こす。量的緩和により通貨の価値を落とす(p53)
・大規模な量的緩和をするために、日銀は長期国債に関する「日銀券ルール」を一時的に凍結した、日銀が保有する長期国債の額��、市中に出回る日銀券の発行残高以下にするという自主ルール(p58)
・CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が低いとは、倒産や支払い停止の確率が低いことを示す。これはハイパーインフレが起こるリスクを示しているわけではない。金利が低いのは、日銀が国債を買い占めているから(p67、68)
・日本の量的緩和は八割がた失敗に終わり、円が急落する恐れが高いので、政府は資本規制に踏み切らざるを得ない。2016年後半には起こり得る(p71)
・1998年に国債発行額76兆円のうち、20%を購入していた大蔵省資金運用部が買い入れ停止する、と情報が流れただけで、長期金利が0.8%から2.4%へ上昇した(p73)
・月間インフレ率ランキングによれば、1位はハンガリー(1946.7)で、1日のインフレ率は207%、15時間で値段が倍になった。2位は、ジンバブエ(2008.11)、3位:ユーゴスラビア(1994.1)、有名なドイツ(1923.10)は、第四位、その次がギリシア(1944.10)(p75)
・利上げは、米国のようにテーパリング(量的金融緩和の縮小)を終えた後にできるもの、米国でそれができたのは、米国の財政状況が急速に良くなっていて新発国債があまり発行されてこないので(p85)
・安倍首相が本当にやりたいのは、消費者物価を5-7%インフレにして10年続けて、累積赤字を実質半分にすることではないか(p86)
・10年前であれば、円安を徐々に進める方法は、マイナス金利・為替益の一定額無税化・ドル建て日本国債の発行、があったが、今のとなっては、円安政策も難しい(p90)
・日銀が異次元量的緩和を始めた最大の目的は、国の資金繰り倒産を防ぐ(マイタイゼーション)であるが、正直に言えないので「デフレ脱却=2%インフレ」と言っている(p98)
・バブル期にインフレが起きなかったのは、同時に急速に円高が進んでいたから(p101)
・日米金利差の拡大持続が明確になった場合には、円安ドル高が急激に進む(p103)
・今後のBIS規制が改正される(2016年中にまとまり2019年適用)と、銀行の国債保有意欲は著しく落ちる(p106)
・アメリカの経常収支と財政収支は、双子の黒字になる勢い。日本は双子の赤字になりつつある(p117)
・ドル建て資産の持ち方としてお薦めなのは、「ドル建てMMF」。証券会社や銀行で購入可能(p120、122)
・ベアとは、熊が攻撃するときに手を上から下へおろすから、値段が下がると儲かるファンドを、「ベアファンド」という。反対はブル(攻撃するときに角を振り上げる牡牛)という(p135)
・ヘッジ手段として意外と悪くないのが、国内不動産である。不動産価格を決める一番の要因は、インフレになるか否かであって、人口減少では無い(p137、138)
・最強のインフレ策は、世界のどこへ行っても飯を食っていける自分、になっておくこと(p147)
・英語が下手だから、という理由で外資系企業で働くことを諦めているのであれば、「あきらめずに、とりあえず飛び込んでみる」ことをお薦めする(p166)
・英語が母��語でない国の人達は、似たり寄ったりの、ひどい英語を話している(p172)
・専門分野を極めるという観点から言うと、今、マイナーな部署にいる人は、実はチャンスかも(p177)
・外国では、どんなに仕事ができても、自国の歴史と文化が話せない人は、尊敬されない(p200)
・市場価値を高める上で伝えたいことは、自分の長所だけではなく、「欠点を生かす視点」を持つこと(p205)
2015年11月8日作成
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ドルを買え
藤巻健史さんは昔から円安誘導を言い続けていますが、
これは当時から自分もまったく同意見でした。
今回の本はいよいよ Xディ近し という内容。
書かれている内容は当然の事ながら、
以前から同様であり、
既に藤巻さんの他の本を読まれている方であれば
あえて買わなくても良いかもしれません。
しかし読んだことがない方であれば、
読みやすく理解し易いですからお薦めです。
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相変わらずの国債暴落とハイパーインフレ、超円安で万策尽きました論。藤巻さんの本は水戸黄門的安定感で何回読んでもストレス無し。
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ドル建て日本国債を発行せよ、資産インフレによる資産効果で日本経済を再生せよ、市場原理のはたらかない国営企業を退室させよ、社会主義国家日本を真の資本主義国家に変えろ 今ならドル建てエムエムエフが手堅い 教養といっても、西欧のものまねをすればいいわけではありません。むしろ地獄を学習からこそ、世界に通用する教養となるのです
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ドル資産を持てというのはその通りだし実践したいが、著者のいうことはずっと外れている(そこまで円安に振れていない)しなあ。
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購入本
現在の日本の置かれている状況を鋭い視点で浮き彫りに。
政府の主要機関にいただけあって説得力がある。
日本の財政が破綻し必ず円安が進行し、ハイパーインフレになると。。
可能性は高いと思う。ただ、本当にドル買いでいいか?
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四年前に今読まなきゃと思って買った本を今更になって読んでいる。
著者は伝説のディーラーとも称された実業家および政治家。
金融緩和で日銀がお金を打出の小槌にように刷って、政府の発行する国債を購入している状態は異常。日本のハード・ランディング(円暴落・ハイパーインフレ)は不可避。防衛策としてドルを買うべきだという論。
四年後の今、ハード・ランディングは起きていないが、予測が出来ない先行きは不安である。なんだかんだ言ってドルは強そうにみえるし、著者の意見に個人的には同意する。
海外にも資産を分散しようかと思ったら、日本から海外送金を行うハードルが高くなっているのを知る。10年前はホイホイと出来たのに今は凄く難しい。