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本屋の新刊コーナーで偶然発見、即買い。
思わず、もう文庫化かよ!と叫びそうになっちまった(笑)
勝者としての欧米文化と以外の文化
農耕民族と狩猟民族
食料の歴史
と表現のしようのないぐらいに滑らかな論理展開。人類のルーツを辿りたくなる人には最高のテキスト。
仮に学術的見地、分析技術が発展して、新たな発見があったとしても恐らく著者の考えが大幅に修正されることはないだろう。
人類史には興味がない人にはややハードルが高く⭐4
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我々が歴史を振り返るとき、現代は進歩していて過去は未開である、と無意識に判断しがちである。ニューギニアの人食い民族は未開な野蛮人で、それらを早く西欧社会の先進国の方向に導かなければならない。そう考えて覇権主義を唱えてきた正義の国だって存在している。
一方で、素朴な疑問も湧いてくる。圧倒的な栄華を誇ったインカ帝国はどうして少数のスペイン人に滅ぼされたのか。逆に南米からヨーロッパに侵攻する可能性はなかったのか。あるいは、近代まで狩猟採集生活を続けてきた原住民と、産業革命を起こした欧米人を分けた要素は何だったのか。
『銃・病原菌・鉄』というタイトルのとおり、狩猟採集から農耕へと食糧生産のスタイルが変化するにしたがって、余剰生産物が生まれ富の偏在が発生する。それが階級制度をつくり、やがて武力によって他の民族を侵略する“銃”の要素が生まれる。同様に、農耕によってある程度の人口密度が達成されると、そこに疫病が発生する。早期に免疫を得た民族に比べて、疫病に耐性のない民族は脆い。あるいは、鉄鉱石などの鉱物資源の偏在によっても国力の強さが規定されていく。
このような環境条件にしたがって、現代社会の構造が成り立っている。世界の多くの地で先住民を追いやったヨーロッパ系民族は、もともとは辺境の異端民族でしかなく、数々の偶然的要素によっていまの覇権構造がつくられていることが理解できる。
そこには西洋文明が正しいとか狩猟採集生活が間違っているといった判断基準ではなく、環境条件が変化するにしたがって支配的になるライフスタイルも替わるという当たり前の事実が示唆される。謙虚に歴史から学びながら、持続不可能な現代社会をどのように変えていくのか。我々に突き付けられた課題は重い。
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世界史好きには垂涎の作品。
どれもこれもが懐かしい受験戦争時代に、嬉々として覚えたひと欠片をマニアックに掘り下げてくれるのだからページを捲る手が進まないのがおかしい。
私にとってはくらくらするくらい楽しめた。
世界史は勿論だけれど、人類がどのようにして他の民族に被害を与えたかに興味の無い人には苦行だろうが・・・。
益よりも害がクローズアップされている作品なので、もしかしたら読後感に難有りの人もいるかもしれない。けれど間違いなく私たちの選んできた道の一つだと思って客観的に歴史を読むのも、現代の抱える問題解決につながる第一歩かもしれない。
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ずっと読みたいと思っていた本。文庫化されたので、ついに読み始めた。地理的、気候的、医学(感染症)的視点もふまえながら、勝者と敗者、農耕、家畜の歴史を、紐解いて行く。教科書とは異なる世界の歴史本で、面白く読めた。
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なぜアフリカや新大陸の先住民はヨーロッパからの侵略に曝されたのか?なぜその逆にはならなかったのか?様々な角度から究極の回答に辿り着こうとします。検証の過程でナルホド!と唸ってしまうこと多数。下巻も楽しみです。
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人類の歴史をを栽培作物、家畜飼育を交えて解説。
こじ付けと感じるだろうが、効率的に理解するにはこの位整然とした方が良い。
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面白かった。
問いが面白いとその論の半分は成功だよね。
つまりは「食糧生産の早い遅いが現在の富の不均衡を決めた」という。
農耕も畜産も鉄器も文字も、すべてはそこから。
よく考えれば分かることばかりですが、一冊にまとまってるとさらになるほど、と。
この前提と視点を持って世界史や日本史の最初の方をやったら面白いのになあ。
…分かってます。高校生にそんな時間的余裕がないことは。
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地域格差や民族格差がどのようにして生まれたのかということを歴史的背景を中心に多面的に考察している。言葉や例えもすっと入ってくる。
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歴史物は権力の推移を取り上げることが多い。しかしこれは違う!
進化生物学、生物地理学、文化人類学、言語学、あらゆる観点から、13,000年の謎を解き明かしている!
やっと文庫化されて、待ってましたwww
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読んでて知的好奇心を刺激された。ぞくぞくする。
食料生産と家畜に関する章が興味深かった。
世界史の知識があまりない+地理に弱いのだけど、色々な角度から語られていておもしろかった。
複合条件から発生する文明を感じた気になれる一冊。
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現在の世界のパワーバランスの元を辿ると、人種ではなく環境的要因に辿りつく。
ユーラシア大陸は東西に伸びて、物質的にも文化的にも波及しやすい土台があった。家畜や、食糧となる種が「たまたま」そこにあったからに過ぎない。
一度集権的な社会が出来上がりさえすれば、他より先に発展を遂げた種族が他を圧倒する。主には銃、病原菌、鉄がその直接的な原因となった。
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以前から読みたいと願っていたものの、厚い単行本が上・下巻では持ち歩きには適せず保管も場所を取るため、暇な時間ができた頃に図書館からでも借りて読もうかと漠然と考えていました。そうしたら、この程文庫化されたことを知り早速購入しました。この本がよもや文庫化されるとは思っていませんでしたで、やった~という感じです。
今からおよそ1万3000年前氷河期が終わる時期に世界中にちらばっていた人類が今に至るまでどのように自分たちの世界を築いていったのか。
著者がこの本を書くきっかけとなったのはあるニューギニア人が発した素朴な疑問からでした。それは、富や権力を持つものと持たざるものの格差があることへの疑問でした。「どうして自分たちは自分たちのものといえるものがほとんどないのだろう」それは人種による優劣等という生物学的な説明では到底解決できない課題でした。現代世界における民族や地域間の不均衡はなぜ生み出されたのか、今に至る富や権力の分配はなぜこのような形になったのか・・人類史の謎への旅の始まりといった読み物です。
折しも、NHKの番組シリーズ「ヒューマン」でこの本の内容の一部をもとにしたようなテーマで放送があったりしたので、ますます興味が増しわくわくして読んでいます。
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久しぶりに線を引きながら本を読んだ(^^;;
難解なのかと心配してたけど、構成がシンプルで分かりやすく、訳文も読みやすいので、主張を理解する事に集中出来た。
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歴史の謎を生物学的な観点から解く。まさに目から鱗だ。
非常に斬新な論理展開で、価値ある本を買ったという満足感でいっぱいだ。こういう本に巡り合えたということは幸福だ。
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文明社会発展の原動力は、食料生産システム、すなわち農耕と畜産である。食料生産能力が高まると、人口密度が高まる。人口密度が高まると中央集権的な社会システムが生まれる。さらに、職業軍人のように直接食料生産に携わらない階級を生み出し、これは軍事力や技術を発展させ、より優れた社会システムや武器をもたらすことになる。結局のところ、食料生産システムの発展の違いが、その後に続く社会システム・技術・軍事等あらゆる面における社会発展の違いを引き起こす究極の要因であった。
そして、各文明の食料生産システムの発展過程を決定づけたのは、内部の人間たちの知恵や努力というよりは、各文明が存在していた地理的な要因であった。本書(上巻)は非常に公汎な考古学的成果を援用しながら、近代以前における世界各地の食料生産システムと当該
地域の地理的要因の関係を細かく分析し、そこに非常に強い因果関係を見いだしている。従って、世界史において生じた諸文明社会間の発展速度の違いは、つまるところ諸文明が発生した地域間の地理的な相違に起因するものであった、と結論づけられることになる。
これだけ大きな問題に対する考察を、膨大な情報をひもときながら一冊の書物にまとめあげていく力はすごい、の一言だと思いました。下巻も楽しみです。