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メモ。賃金=労働力の価格=日々再生産が可能になるよう維持するだけの価格。搾取とは利潤の存在。日本の統計的差別による悪循環。
このテーマについての本をよむたび、結局家庭観と仕事観が変わらない限り、制度をつくっても絵に描いた餅と感じてしまう。
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雇用均等法以降の就業者には見知らぬ世界ばかりで、社会法やったはずなのになあ、とびっくり。大層緻密に世相と立法の展開を教えてもらえた。世の中こんなに仕事できる人でないといけないのかな。
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濱口氏の本としてはしゅこうを変えたタイトルだったが、内容は他の著書と同じくきっちりしている。1億総活躍の捉え方を少し変えた方が良いのかも。
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日本的賃金制度や現在の労働時間は女性が家庭に入り男性が家計を支えるというモデルを想定し、作られたものなので女性の定年が引き延ばされて育休制度が導入され男性も家庭に入るようになった今、そのシステムのいたるところにひずみが生じうまく機能しなくなっている。
また、日本の雇用の仕方もかなり特殊で新卒一括採用や総合職、一般職といった現在も当たり前に行われている事が何を発端にして実施されだしたのか理解しておかないと不利益を被ることになるだろう。
日本の労働問題を解決するためには根本的な見直しが必要であり、本著はその問題を的確に指摘した良書だ。
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本書は女性・職場・社会との連関を、近現代史、特に法令・政策の観点でまとめられている。自分自身は均等法施行後に就職したことと業界の関係もあり、日々の仕事の中でジェンダーギャップをこれまで感じる機会はほとんどなかった。しかしそれは、社会一般から見ればかなりレアな例だということが一読してわかった。そうした背景もあり、女性と労働のレリバンスは課題意識になかった。本書では女性にまつわる現行の制度が先人たち(特に女性)の労苦の上に成立していることが、史的に説明されている。まだまだ問題が山積している現代社会に、こうした諸問題に取り組める人材が、各所で求められる。とすれば大学教育が果たせる役割はまだまだ大きい。
本書の題名がやや本文と距離感がある。やはり編集部側の意向なのだろう。
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去年読もうとして数ヶ月かけたけど、途中で挫折。女子がそもそも不利なことはよーく分かったが育休共働き世代への答えは出なかった。
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■BGとOL
・BGは1950年代末から60年代にかけて短期勤続の女子事務員を指す言葉として流行
■戦前と戦後を貫く女性労働の特色は短期勤続
■会社側から結婚退職制の採用とその理由が示された「住友セメント事件」
・結婚前の女子は既婚女子に比して家事等に煩わされない
・結婚後において家庭本位となり欠勤が増え,適格性を欠き,労働能率が低下
・男女職員の実質的平等を実現するには女子職員の賃金体系を男子のそれと均衡のとれるよう低下させるか,高賃金で結婚までの短期間に限り特定の職種につき雇う
■20世紀初頭の日本では年功的な賃金制度など存在せず基本的に技能評価に基づく職種別賃金であった
■日本において賃金が労働者の生活を保障すべきものであるという生活給思想を最初にまとまった形で提唱したのは,呉海軍工廠の伍堂卓雄氏が1922年に発表した「職工給与標準制定の要」
■終身雇用を強制された全員の画一年齢給の形を取った家族扶養的生活賃金の確立
■従業者雇入制限令(1939年)+従業者移動防止令(1940年)→労務調整令(1941年)~終身雇用の徹底
■人種差別主義者が作った男女平等法
・人種差別を禁止する法案を廃案に追い込むため,「人種,皮膚の色,宗教,出身国」に「性別」を加える
■第一次ワークライフバランスの空洞化
・労働時間の規制
■第二次ワークライフバランスだけが充実
・労働時間の柔軟性
・育休世代が深刻なジレンマに陥るのは,基盤となるはずの第一次ワークワイフバランスが空洞化しているため
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タイトルで読者を選んでしまっているが、日本の雇用政策や歴史などを整理されており、非常に勉強になった。重要な内容が多く再度読み返したい。
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今なおなぜ”女子”が働きづらいのか、明治期からの女子の働き方、日本の雇用(男性の)の歴史を概観することで、今の”女子”の置かれた状況をあぶりだす。
欧米では日本より女性が働きやすくなっており、M字型も台形型になっているが、それはそう昔のことではなく60年代になってからだという。その源泉は賃金に対する考え方で、欧米では企業の中の労働をその種類ごとに職務(ジョブ)として切り出し、その各職務を遂行する技能(スキル)のある労働者をはめこみ、それに対して賃金を払う。経理のできる人、旋盤のできる人といったように。なので女性の労働問題は、女性の多い職種はおおむね賃金が安く、男性の多い職種(管理職とか)に女性も進出する、ということであったという。
それに対し日本は、会社のメンバーを募りメンバーはどんな職務内容でもやるというやり方。しかも賃金は労働者の生活を保障するべきものである、という生活給思想が根本にある。それは大正11年に呉海軍工廠の伍堂卓雄の発表した「職工給与標準の要」であるという。それは第二次大戦中、戦後の労働運動の中でも継承された。扶養手当の思想はここから始まっていたのだ。
そして85年に均等法ができるが、それは世界的に男女平等が進められた時代で、欧米はジョブ型に立脚して女性の雇用を進めたのに対し、日本は生活給という日本型雇用・会社のメンバーとして一丸で働くという立脚点で進められた点にねじれがある、というのだ。
日本型の女性労働の平等化は会社のためなら深夜でも外国でもいとわず、どんな仕事でもやります、という男性の土俵に女性も乗せるもの。均等法から30年、ワークライフバランスという言葉がむなしく響く。
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非常に分かりやすく、日本の賃金体系や、長時間労働の原因がなど書かれていて、大変勉強になった。
日本が女性を、特にワーキングマザーを活躍させられるはずがない、と痛感する一方、その状態から何ができるのかを考えるきっかけとなった。
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メンバーシップ・長時間労働・終身雇用と「男性」という要素は切り離せないものなのだと強く感じさせられた。
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働く女子の運命 濱口桂一郎 文春新書
女性活躍推進法と言う
愚かな管理法が作られた
自主的な選択を無視した
見かけ上だけの女の地位を
上げる行政指導
こんな無駄して嘘に苦しみ
格差社会に逃げ込まなくても
無条件のベーシックインカムで
有り余った余剰生産物を再分配すれば
全ての生命に行き渡り
対等な関係の中で
それぞれの創造を膨らませる
冒険に集中できる
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戦後の女性の労使関係史をまとめた新書だが、(戦後の)日本的労働観がその前提としてまとまっている良書。
欧米の仕事内容が規定された労使関係は、もともと女性と男性のジョブを分け賃金格差もあった。1950年ごろを見れば男女差別は日欧米共に歴然としてあった。
現在の欧米では流動性の高い就職状況下で規定されたジョブと賃金が結びつくことによって、女性を賃金の高い職につけるというアファーマティブアクションで分断の壁を少なくすることができている。一方日本は、流動性がなく、会社が従業員の生活給を出す著者の言う会社に従業員の生活が取り込まれるメンバーシップ制を敷いており、ジョブと賃金が結びつかず、無理やり、総合職、一般職という職業コースで賃金の区分けを行った。またこのことでメンバーシップ制度がそのまま温存され、女性を総合職ルートに取り込んでいく際に、ワークライフバランスや子どもや介護対象のいない他の従業員との軋轢が生まれることとなる。
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性別による差別以前に、日本では法律で労働時間の上限が定められてないことを知って驚いた。てっきり、週40時間と決められてると思っていたけれど、筆者の言う通り、それ以上は残業になる、と線引きする区切りのことで、それ以上働けない、という時間ではない。
女性がまともに働ける状況になるには、まず、そもそもの仕事に対する考え方が今とは別のものにならなきゃいけない。
職務を遂行する技能のある労働者として、欧米の会社で働いてみたいと思った。
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①女性の労働史・日本型雇用の生成史に関する歴史的記述、②日本型雇用がいかに女性の活躍を難しくしているかという現状の分析、の両点につき興味深い分析がなされている本だと思います。
①まず、第一点について。日本のメンバーシップ型の雇用が、戦時中の皇国勤労観を基礎として、戦後の労働運動の成果として受け継がれたという記述など、さまざまな面白い歴史的記述がなされていました。
②第二点について。日本のメンバーシップ型雇用は、銃後の女性によって支えられた男性をモデルに組み立てられたものであるがゆえに、男女平等も、女性がそうした男性のように働くことができる平等とされており、育児や家事などの負担を負う女性の活躍を難しくしていることが指摘されています。
育介法での労働時間規制(17・18条)への言及などを通して、無限定な労働義務を課す日本型メンバーシップ雇用の異常性が炙り出されていく過程が非常に面白い記述となっていました。あとがきで「本書の特徴」として、女性労働を「徹頭徹尾日本型雇用という補助線を引いて、そこから論じたところにある」としていますが(250頁)、むしろ、女性労働を補助線にして日本型雇用を論じた本といった印象があります。
本書で指摘されているとおり、ジョブ型雇用にはスキルのない若者の雇用問題もあるので、問題は簡単ではないと思います。