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【ネタバレ】マザコン夫と義母を疎ましく思う女と算数障害に悩む男の逃避行。ラブロマンスとしてもミステリとしてもきちんと両立している傑作。読後感は必ずしもさわやかではないのですけれどそれもまたよし。識字障害は知ってましたが算数障害は知りませんでした。
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とても重たい本であった割に、アッとよんでしまった。
不妊問題の難しさ、マザコン夫、嫁姑関係から 始まって行く。
農業の後継者問題。
跡継ぎの居ないという問題は、今の少子化問題にも言える事である。
そして、家庭内暴力、無戸籍の子供、算数障害ディスカリキュリア。
無戸籍の男の子が、引き起こす事件。
なりたくなって成長したのではない愛されなかった男と、愛を知らなかった女の逃避行。
「小さな親切、大きなお世話」という言葉がが、当てはまるような話である。
この本の表紙の蓮の花に書かれた数字の如く、この問題を解くのには、沢山の数が、必要に思われる内容であった。
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13回目の結婚記念日もやっぱり三人で過ごした・・・
不妊治療を始めて10年、「子を産めない」ただそれだけで、義母からも夫からも虐げられ、人間として認められなかった千穂。
夫が車で起こした事故を身代わりとなって解決しろと言われた千穂は、被害者である高山透と出会う・・・
遠田さん、やっぱり期待を裏切りません。「雪の鉄樹」に勝るとも劣らない重さ、切なさ、やるせない思い。。。
ただ、賢治の真実を知りたいという思い、その妻の母としての正義が、周りのみんなを不幸にしたような気がして、正義って諸刃の剣だなとつくづく感じます。
不妊、虐待、無戸籍、算数障害(ディスカリキュリア)、虐め、、、様々な問題がこれでもかというほど襲寄せて来るのに、社会派小説と感じさせないのは、登場人物の気持ちが丁寧に描かれ、それぞれの立場に自然に寄り添えるから。
犯罪を犯してしまう人物も、あ~このまま捕まらないで幸せに暮らしてほしいと願ってしまう。
これほど重い内容であっても、読後には蓮の花開く美しい光景と共に思い出されるのが救いでした。
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今回は泣きませんでしたよ!
なんかこう…また救われねえ…って暗い展開で…、周囲の人間に悪意の掃き溜めみたいに扱われていた男と地獄のような夫婦生活を送っていた女…。
遠田先生の筆致が相変わらずこまやかに陰鬱でさ…。
今回は無償の愛や人間のあたたかみ成分は少なめ。つらい。
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どうしてこうも足りない、欠けている人
ばかりを描くのだろう。
進んだってどん詰まり
明るい未来がないとわかってたって
進まなければいけない時はある。
登場人物のどの人に共感するかで
見方も変わってくると思う。
私は新藤賢治の娘、恵梨が好きになれなかった。
透や千穂は一見して許すべきことをしているが他人がそこまで何かを言えるかというと違う気がする。
彼女が向き合わなければいけなかったのは父賢治や母美津子であったはずなのに………
何故彼女の正しさに巻き込まれなければいけなかったのかと行き過ぎながら思ってしまった。
千穂が死ぬ覚悟で産んだはずの子供の描写は数語
特別養子をし、縁を切った。
この数語に秘められた思いは
他人は押して図るべしという。
どこまでも読者を突き放す遠田潤子に
心を押しつぶされたままだ。
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デビュー作から注目していたものの、あまりの昏い破壊力に、自分の気力が負けそうで、気になりながらしばらく手に取っていなかった遠田潤子さん。
が、近作で爽やかさをまとうようになったと知り、読んでいなかった過去作品を遡って読むことにした。
撃沈…
なんという絶望、悪意、閉塞感。
善意の人の好意すら受け止めることのできない、大きな欠落を抱えた、傷つきすぎた心。
それでも、泥の中から美しすぎる蓮の花が咲くように、そんな心にも、咲く花があるのだろうか。
くらくらしながらも、ぐいぐい読まされてしまう力は、やっぱりすごい。
読後しばらく、リハビリが必要になった。
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救いとか、求めちゃダメなんです。そういうのは無い覚悟で読まないと。ドン底で、もがく人間が好きなあなたのための本。
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婚家で虐げられ孤立する女、周囲誰にも心を開かない男。
2人は出会い、逃避行が始まる。
終始重い。息苦しい。
でも、読むのを止められない。
憑かれた様に読み進む。
読む前に心配した、〝盛り込みすぎ?〟と言う思いも杞憂に終わる。全てきちんと回収されていた。
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遠田さんの作品は初めて。どこまでも重いという噂通り、救いがほとんどない。殺人を犯した犯罪者の逃避行という点では「悪人(吉田修氏)」と通じるところもある。いろんな社会問題を織り交ぜていて、筆力はあると思うので、これから少しずつ読んでいきたいな。
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蓮の数式
遠田潤子さん。
なんなんだー。
と思いながら、
どんどん読み進んでしまった。
いろいろな事柄が、
最後には、収まって終わった。
登場人物の気持ちには、
なれなかったけど。
面白かった。
#遠田潤子
#ミニチュアダックスフンド#犬#犬バカ部#犬好き#犬部
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こんなヒドイ夫や姑との生活によくも耐えたものだ。
大体、夫婦のことにそれ以外の人が口出しすること自体おかしいと思う。姑が一緒でなければ、もっと早くにこのおかしな生活に気づけたのかも。
逃げ出すことは正解だと思うけれど、その手段はちょっとね〜。それほど追い詰められていたということか。
自分のことを受け入れてくれる人がいるということが心の支えになるのかもしれない。
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10年間不妊治療をしている主人公・安西千穂。高圧的な夫、口うるさい義母、精神的に追いつめられた千穂と高山透との運命の出逢い。透が送ってきた人生があまりに痛ましい。お互いを補い合える二人が出逢ったのはまさに運命。哀しい結末、ラスト、事件から二年後、恵梨の近況と心情が描かれているが、それより千穂の心情を知りたかった。
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このストーリーはなかなかキツい。世の中には普通では分からない病気がある。そういう知識がないと、その人を救おうと一生懸命になればなるほど話は複雑化する。却って追い詰めてしまい皆んなが不幸になるかもしれない。
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この売女め!…今時そんなこと言わへん言わへんなどと突っ込みどころ満載ながら不思議な魅力を醸し出すノスタルジックハードボイルド。
そのままのノリで言えばどん底の不幸を背景にした愛と憎悪のコングロマリット、定番のDVやネグレクトだけでなく新手のディスカリキュアの合わせ技も忘れていない怒涛のエンタテインメントは新世界辺りのサービス定食なみの盛りの良さ。
その心遣いは嬉しいのだが最近ちょっと食いきれへんのも事実、あれもこれもじゃなくて主人公にどっぷり入り込み陶酔できるような孤高の一品を期待したい遠田ファンでありました
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長い不妊治療と子なしをいたぶる姑、愛のない行為、抑圧された結婚生活。
ディスカリキュア数字障害と無国籍、いじめと無関心。
親切という名のお節介を通り越した善意の押し付け。
親から必要とされていない寂しさをどこで解消するのか。
肉体の距離感と精神のつながり。
産めば満足?
物凄く濃ゆい問題のカオスが最後は澄み渡った感じ。
人間って難しいね。揺れ動く。人の気持ちは分からない。でも信じたい。守りたい。蓮の花をベースにする事でドロドロの内容が浄化されるイメージが持てているのか。