紙の本
夏だ、休みだ、トム・ソーヤーだ!
2012/08/13 11:24
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏だ、休みだ、お子様ランチだ! ということで、柴田元幸氏の翻訳による文庫本を手にとってみましたが、これって全然子供が読む本ではないですね。
確かに悪戯者のトムが悪友どもをたぶらかしてペンキを塗らせたり、可愛いベッキーちゃんに恋したり、親友のハックたちと一緒に夜の墓場で殺人事件を目撃したり、家でして船に乗って野宿したり、島の洞窟でベッキーちゃんと一緒に行方不明になったり、殺人鬼インジャン・ジョーと遭遇したり、隠された埋蔵金を見つけたりいろいろするんだけれど、それはすでに青雲の志を懐いて世の中に出たもののやっさもっさするうちにくたびれ果てて消耗しこりゃあいったいなんのために生まれてきたんだべえ、なぞとほぞをかむ大の大人たちがおのが若き日々をゆくりなくも思い出し、心ゆくまで悔いんがための本なのである。
この少年童話の姿を借りた恐るべき予言の書は、しょせん人間、いや男には3つのタイプしかないと断言しているようだ。
生まれてはみたものの面白くもおかしくも無い生涯を全うするシド派、そこそこ冒険したあとで貯めたお金を元手に恋も事業も堅実に成功させてゆくトム派、そして大冒険の夢がついに実現し、一夜にして大富豪となったが自分の取り分なんか要らないから、元の乞食のような自由で奔放な浮浪生活に戻りたいと叫ぶハック派……。
さて自分はどっちだったろうと考えながら、由比ヶ浜の波間に浮かぶわたくしだった。
紙の本
アメリカの野性的な時代。信仰と迷信に彩られた人々の心の動きが面白い。
2023/06/18 08:09
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投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
恥ずかしながら今まで童話でも読んだことはなかったが、その書名と著者名から勝手に想像していたのは、「アメリカ南部の大河を蒸気の外輪船に乗って探検しながら航行したり、河口あたりまで進むと今度はその海域を荒らしまわる海賊たちとの戦いが繰り広げられる冒険絵巻」であった。しかしいくら読み進めてもそんな話は一ミリも出てこない。このとき自分が某東京湾岸の巨大テーマパークのアトラクション名、蒸気船名に感化され過ぎていたことに気づいた。
本書はアメリカ南部の小さな町を舞台にした暮らしの日常風景と、そこに起こった大事件に接する人々の心理を描いた書である。当時の社会における「教会への敬意と信仰、迷信への畏怖」が鮮やかに描かれていく。童話的勧善懲悪ではなく、住民の心の中に巻き起こる心理描写が「これでもか」というくらい深く綴られる。古き良きアメリカの時代風景に溢れた魅力がある。しかし本書のなかで起こる事件は残酷で血生臭く、また主人公は模範的優等生でもない悪ガキであり、殺人や強奪などの犯罪が繰り返し語られ、童話的要素は全く感じられない。むしろ現在であれば、児童書としては「不適切書籍」として発禁にもなりそうだと感じる。この本のどこをどう訳せば童話になるのかと不思議であり関心は大きく、童話を読んでみたいとも思う。どこかの書評で読んだが、本書は登場人物たちの心理描写が見事だと。全く同感である。
日本では江戸から明治に変わる頃だろうか。少し懐かしい「アーリーアメリカンスタイル」を彷彿とさせる当時のアメリカの民衆の生活ぶりを知るには絶好の書である。濃い目のバーボンソーダを飲みながらその風景を思い浮かべ、余韻に浸っている。
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子どもの頃に、子ども向け翻訳とアニメに接したが、大人になつて読むと、印象も変わる。
トムは、活発で知恵が回って、お調子者の面はあっても、読書家!?で、迷信深く、ルールには忠実。アウトロー、はみ出し者でなく、あくまでも無邪気な少年時代の憧れと象徴、シンボルなのかな
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トム・ソーヤーといえば、アニメの画像がぱっと浮かぶ年代ではあるものの、実際小説を読んだことはなかった。今回初めて読んで、予想外に面白かった!この一言に尽きるかも。聖書の引用が多かったり、子供のころこんなこと思ったよなー!とかそういう感慨にふけってみたり。一般的にはハックルベリー・フィンの冒険の方が評価は高いのだとか?それも読んでみたいと思ってしまった。今後の新潮文庫の新訳名作コレクション「オズの魔法使い」「海底二万里」にも、ちょっと期待してしまう。
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この本は、もともと好きです。
そしてこの訳者も以前お会いした時から好きです。
学問的にも様々な場面で引用をされるこの本は、
それだけ様々な要素を持っているということです。
いろんな本を読んでそのあとになんとなく「トム」の世界に帰ってきたくなる自分がいる、そんな本です。
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子どもも大人も漏れなくワクワクできる作品。
いたずらっ子トムは、ハックルベリー・フィンと家出。途中殺人事件を目撃してしまい、インジャン・ジョーに追いかけられる大冒険!
いたずらぶりには手を焼くが、夢中になれるさすが名作。
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何となく手にとってみればあら面白い!
温かく平和な古き良き描写が美しいです。
ハック『手に入れるのに苦労しないものなんて持つ気しねぇから。』かっけぇ!
他の訳者のも読んでみようかしら。
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アニメでは、見たことがあったけどはじめて本を読みました。結局覚えていたエピソードもあり、かなり面白かった。また、翻訳がとても読みやすくだけどクラシカルな雰囲気も十分にでていて良かった。
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小学5年生の時読んで以来、永遠の愛読書。中学3年間、夏休みの読書感想文は毎年これだった。ハックルベリフィンがやっぱり元のホームレス(?)に戻るシーンは当時『なんで?』と思ったものだけれど、今は良く分かる。
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解説がとても分かりやすい。トムとハックのキャラクターの違いが面白く、私にはハックのほうが魅力的だった。
(2013.2)
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文中の『何かをしませんと約束することは、正にそれをやりたくて仕方なくなるための一番確実な手段なのである。』『したければできるという単純な事実が、欲望を奪い去り、その魅力を殺したのである。』など普遍的かつ誰もが感じたことのある感情がきちんと言葉に表されていて少し大げさに言えば感動した。もちろんトム・ソーヤーの少年らしい冒険話も面白いのだが、各所に挟まれる地の文にとても頷け納得できる真実があり、その部分にとても惹きつけられた。
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「なあ、ハック。その猫いつ使う気だ?」
「今夜さ。今夜悪魔たちがホス・ウィリアム爺さんを連れにくるだろうから」
「でも埋葬は土曜日だったじゃないか。土曜の夜に連れていったんじゃないの?」
「何言ってんだ!真夜中までは魔法が効かないんだぜ。で、真夜中になったらもう日曜だろ?悪魔は日曜にうろうろしたりしねえと思うぜ」
「そいつは考えなかったな。そうだよなあ。なあ、俺も行っていい? 」
神に召されて天国へ行けるよう教会に埋葬されたはずのホス・ウィリアム爺さんなのに、この子たちは悪魔が連れに来ると信じてる。
それがどうにもおかしくて堪らない!!
「トム・ソーヤーの冒険」は今さら説明するまでもない世界の名作であります。
子どもの頃にアニメの「トム・ソーヤーの冒険」が大好きで何度も何度も繰り返し見たわたしにとっては、夏が近くなるこの季節になると妙に懐かしく思える作品です。
しかし先日、今さらながらこの本を初めて読みました。
予想以上に面白くて、とても子ども向けとは思えない、大人こそ楽しめる本なのじゃないかとさえ思える1冊だったのです。
主人公トムの個性もさることながら、ハックとの関係がアニメを見ていた時よりも意外とドライなところがあったり、ポリー伯母さんの愛情深さやシッドとの関係など発見も数多くありました。
また南北戦争前のアメリカで人々がどんな風に生きていたのかを垣間見られるところも興味深く、アニメの声で脳内変換されるセリフの数々のおかげで一気に読み終わりました。
この話の特に大きな事件であるマフ・ポッターの事件(上のセリフのやり取りの後、彼らが目撃してしまう村を揺るがすような大事件)以降は特に顛末を知っていてもハラハラドキドキします。
かつて自分も子どもだったことを思い出させ、時におかしく、時に懐かしい。そんな気持ちにさせてくれる夏休みの思い出のようなキラキラした作品だと思います。
子どもだった時代はそれぞれまったく違うというのに、この時代を超えた感情は作品の普遍的なテーマがあるからなのだと思う。
今の子どもたちもこんな経験をしているのだろうか。そうだとしたら嬉しいな。
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子どもの頃にアニメを見た記憶しかない。ちゃんと読んだのは初めて。大人が読むと、(大人世界を皮肉った)子どもの頃とは違った楽しみができる。
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優れた児童文学を読む度、なぜこの作者は、少年時代の世界の見え方や心象風景を記憶に留めて、こんなにも活き活きと描写できるのかと不思議に思う。
トム・ソーヤーの冒険は、大人になってから初めて読んだが、自分の子ども時代を懐かしく思うと共に、作品の随所に社会風刺が効いていて面白く、大人でも十分に楽しめた。
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子どもの無邪気な目で見るからこそわかる世の中の矛盾が時たま鋭く入ってくるのが印象的です。
久々に読んだけれど、これ子どもが読むより大人が読んだ方が絶対に面白いと思います。
トムソーヤとハックルベリー、二人のやんちゃ坊主が元気に暴れまわる姿に心癒されます。