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紙の本
月並みだけれど、力の代償
2012/01/24 15:25
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生の神咲十夜が川原で集団リンチをされているとき、謎の幻聴を聞く。その言葉に従って契約をした途端、痛みは消え、気づけば目の前には、美しい少女の姿をした狼の妖・大神黒衣がいた。彼女はその手に、先ほどまで十夜を痛めつけていた少年の生首を持っていた。
十夜が黒衣と交わした契約は、十夜に絶対服従する代わりに、一月に一人、人間を喰わせるということ。別に彼が犠牲者を連れて来る必要はない。ただ指定しさえすれば良い。しかし、もし指定しなければ、彼女が勝手に喰う人間を選んでしまう。
そんな異常な心理状態に叩き込まれた十夜だったが、黒衣が婚約者を名乗って転校生となって来たため、幼なじみの来海立夏がやきもきして近づいて来てしまい、気が気ではない。何せ相手は人喰いなのだ。大切なものほど遠くに置いておきたい。
だが、自分で手を汚すことなく、証拠を残すこともなく人間を消し去る手段を手に入れたということは、あまりにも大きい力だ。その事実は、彼の人生を歪めていくことになる。
ボクは将棋は結構好きだけれど、チェスはあまり好きではない。なにが気に入らないかと言えば、エンドゲームが近づくに連れがら空きになって行くチェスボードだ。自分の邪魔になるものは世界から排除して戻さない。その思想があまり好きにはなれない。
ここで十夜が手に入れた力も、そういうものに近い。たとえ犯罪者や、自分と関係ないものを対象に選んだとしても、その相手が跡形もなく消えたとしても、彼が選んだという事実は消えないのだ。そうして彼は、望まない力を得た代わりに、何よりも望んでいたものを失ってしまう。哀れで仕方がない。
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