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生命の起源と進化の過程が最新の科学の成果を基に語られています。私はエディアカラ生物群とカンブリア紀の生物に興味があります。奇妙奇天烈な姿形に興味が湧きます。ところで、地球が誕生してから現在までに、生命の大量絶滅は5度生じたのですが、消滅後は、生物は短期間に爆発的に進化し、多くの種が生まれたようであります。そして、大量絶滅は、低酸素と硫化水素の大量発生による温室効果が原因の一つのようです。
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生物はなぜ誕生したのか ピーター・ウォード、ジョゼフ・カーシュヴィンク著 環境の激変を地球史から探る
2016/3/13付日本経済新聞 朝刊
いつ頃からであろう。毎年のように、やれ地球温暖化だ、異常気象だと大騒ぎするのが定例行事となってきたのは。
確かに最近の夏の暑さは尋常ではない。しかし、本書で地球史46億年を概観すれば、この現代がいかに過ごしやすく恵まれた時代なのかが実感できよう。
化石の年代分布データから、過去5億年以内に、地球は生物種の5割以上を失う大量絶滅を少なくとも5回経験したとされる(ビッグ・ファイブ)。
なかでも恐竜滅亡で有名な約6500万年前の白亜紀・第三紀境界大量絶滅は、直径約10キロメートルの小惑星が地球に衝突した結果だとされる。残り4回もまた何らかの小天体衝突が原因だと考える研究者は多い。
本書は、このような地球環境の激変が生物の存在形態を決めたとの立場から、46億年にわたる地球と生命の共進化史を俯瞰(ふかん)する。
ただし著者らは、ビッグ・ファイブのペルム紀末(2.5億年前)と三畳紀末(2億年)の大量絶滅は、隕石(いんせき)衝突ではなく温室効果によるものだと主張する。
地質学的データによれば、これらの時期は、大気中の酸素濃度が低く二酸化炭素濃度が高かった。そのため、地球が受け取った太陽光のエネルギーが外へ放出されにくくなり、地球は急速に温暖化した。生物が必要とする酸素量は気温の上昇につれて増加するため、当時の低酸素状況は生物にとって致命的となったに違いない。このように、地球の気温と酸素量の変化が、生物種の絶滅と爆発的増加、動物のサイズなど、生物界の基本的性質を決める鍵となった。
さらに著者らは、ビッグ・ファイブを含む大量絶滅が地球上で過去10回起きたとの立場をとる。最初の2回は、23億年前と、6、7億年前に起きたスノーボールアース期(赤道も含めた地球全体が氷に覆われた状態になった)とほぼ同時であった。確かにそのような壮絶な環境変化が生命史に影響しないわけはない。ちなみに、スノーボールアースという独創的アイディアを最初に提唱したのが、著者の一人、カーシュヴィンクである。
本書によれば、250万年前から現在にかけて10番目の大量絶滅が進行中とのこと。その原因が、数万年前からの気候変動なのか、あるいは悪(あ)しき人類の活動に伴う環境破壊なのかはわからない。ただしその壮大なスケールと比べれば、春の花粉症や夏の熱帯夜の苦しさも、なんとか我慢できるレベルに思えてくるのではあるまいか。
原題=A NEW HISTORY OF LIFE
(梶山あゆみ訳、河出書房新社・2200円)
▼ウォード氏は米ワシントン大生物学教授。カーシュヴィンク氏はカリフォルニア工科大教授。
《評》東京大学教授
須藤 靖
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地球ができて生命が生まれ人類に至るまでの生命の歴史の話である。
日本語のタイトルは付け方が少々疑問。副題の「生命の起源と進化の最新科学」の方が原題"A NEW HISTORY OF FIFE"によく合っているように思う。
スタートは生命の発生から。生命の発生は有機分子ができてから有機分子同士の相互触媒作用で生命が生まれたという。「自己組織化と進化の理論」(スチュアート・カウフマン著)で詳しく説明していることをあっさりと説明しているだけで、あまり解明が進んでいないように感じ少々がっかりした。
しかし、その後の生命の進化は二酸化炭素、酸素の量に大きく依存していることや、地球の全球凍結によってたびたび生命が大量絶滅し、その後に生物学的適応によって新しい種が生まれ進化が爆発的に進むなど、ダイナミックな生命の動きがあり決して生命は平坦に進化を続けてきたわけではないと言うことがよくわかる。
地球に隕石が衝突したことにより恐竜が絶滅したことはよく知られているが、それ以前にも何度も大量絶滅があったことは知らなかった。
本書を読むと人間がここまで進化したのは全くの偶然としか思えない。
絶滅の原因についても、光合成により二酸化炭素がへり酸素濃度が上がり温室効果が減って地球が寒冷化し凍結したり、逆に二酸化炭素が増えて温暖化し海水の酸素が減って海から生命が少なくなって食物連鎖から絶滅するなど、いろいろなパターンがあるようだがすべてがわかっているわけではない。
現在の地球温暖化は気になるところであるが、気象の話だけではなく生物の絶滅まで起こると言うことになれば事態が深刻であることがよくわかる。
恐竜が出現する前後からは恐竜の種類や生物の種類の界、門、綱、目、科、属、種など聞き慣れない生物分類がたくさん出てきてかなり戸惑った。いろいろな生物の話が出てきても、どうも形のイメージがわかないのがピンとこない。
それでも、壮大な地球上生命の歴史を一望できるのはなんとも面白い。そして、時間スケールが何億年、何千万年、短くても数万年であり、人間の歴史何千年などはほとんどゴミのようなものであることが改めてよくわかる。
著者は生命の発生は火星に始まり、地球に隕石で運ばれてきたと考えているところで、ちょっと信じられなかった。どうりでアメリカ人は火星に行きたがるわけだと妙に納得した。
人類、地球の将来についても言及しており、太陽が膨張し地球が過熱、最後には飲み込まれることは物理的に避けられないと指摘しており、地球外に出て行くことも言及している。もっとも5億年以上先のことであるが。
また、もう一つ面白かったのは飛べない陸上の鳥類(例えばダチョウ)は頭が大きく比較的知能が高く、哺乳類以外でも進化して知性を持つ可能性を示唆している点である。いろいろな種が知性を持ち得るということであると人類に対する見方がだいぶ違ってくる。
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「スノーボールアース」で有名なカーシュヴィングも著者の一人という,信頼性高い地球生命進化の通史。十度目の大絶滅の渦中にある者として是非読んでおきたい。
…などと言うと人間活動による地球環境の激変に警鐘を鳴らす本なのかという感じだけど,さにあらず。ちっぽけな人間風情にできることなど限られている。人間がいてもいなくても,太陽活動の活発化によって地球の気温は上昇し,二酸化炭素は減少し,酸素も減少していく。それは既に規定路線であり,最終的には生物が利用可能な炭素は枯渇して,膨脹する太陽に焼かれるよりも早い段階で地球上の全ての生物は絶滅を迎える。
そういった流れを理解し,いつの日かそれに対処すべく新天地を求めて行く,そういう人間の可能性にも言及。楽観的過ぎるかも知れないけれど,これも含めて生命の柔軟性なのかもなー。
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本書は、原題が表現する通り、地球における生命の誕生から絶滅を含む進化を、新しく得られた知見と著者の研究成果に基づき解説したものである。いかにして生物種が今あるような状態になったのか、ということを宇宙生物学と地球生物学の進展も踏まえて非常に詳細に描いたものである。生命は自滅的な共倒れや絶滅を繰り返してきたという「メデア仮説」や地球型生命は宇宙でも非常に稀であるとする「レアアース仮説」で知られるピーター・ウォード氏と「スノーボールアース仮説」の提唱者や「生命火星起源説」でも有名なカーシュヴィング氏の共著になっている。『生命はなぜ誕生したのか』というタイトルが付けられたことには違和感がある。そもそも宇宙や生物の「起源」を問う研究において、「なぜ (WHY)」と「いかに (HOW)」は厳密に区別されなくてはならない。原題は”A New History of Life: The Radical New Discoveries About the Origins and Evolution of Life on Earth”なので、翻訳者や出版社が意識をせずにインパクトを狙って付けた可能性がある。残念である。なお、生命の誕生の部分のテーマを扱った著作として、ニック・レーンの『生命、エネルギー、進化』『生命の跳躍』『ミトコンドリアが進化を決めた』があるが、実際に著者は本書を書くにあたってニック・レーンから影響を受けたとわざわざ語っている。また、気候変動については大河内直彦氏の『チェンジング・ブルー』とも重なるところがあるので参考にすると理解が深まるのではないだろうか(ミランコビッチサイクルや氷床コアの調査などに触れられている)。かなり裾野の広いテーマを扱った本である。
本書の軸としては、生命の歴史が最も強い影響を受けたのは環境の激変であり、中でも酸素、二酸化炭素、硫化硫黄の三種類の気体の濃度変化が大きく影響を与えており、現存する生物が今のような顔ぶれになったのは、生物自体の進化よりもこれら気体濃度を含む生態系の進化が最も大きな要因として働いているというものである。
著者はまず生命の起源から話を始める。ここでは、ニック・レーンによる熱水噴出孔で生命が始まったという説に触れて賛同している。一方で、著者らが支持する説の特徴として、生命が火星で生まれて、隕石として地球に到達したというものがある。重力の小さな火星からは容易に物質が地球に到達しえたということと、火星の環境の方がRNAの形成に適していることから著者らはその可能性の方が高いと結論している。これについてはニック・レーンはその説には依拠していないし、結論は出ていない(ニック・レーンは自分が理解する範囲ではこの説には否定的だ)。個人的には、生命の種があったとしても、それが単発的に地球に到達した後に複製によって増えるプロセスが受け入れられない。ただ、熱水孔における生命の進化などについてはある程度の共通の見解ができていそうではある。
生命の起源の後、著者らは大量絶滅など地球上で起きた生物種に対する歴史を分析する。先に述べたとおり、地球の環境の中でも二酸化炭素と酸素の濃度が生物の種の分化や絶滅、つまり生物の多様性にも影響していたと結論付ける。たとえば、ペルム紀の大量絶滅は酸素濃度の低下とそれに続く硫化��素濃度の増加によって引き起こされたと著者は見ている。また、酸素濃度によって生物の体の大きさや種の数が規定されることにも触れられている。生物が、酸素と二酸化炭素を利用してエネルギーを得ていることから、これらの濃度によって規定される地球環境が想定以上に生物に影響を与えているのだということがわかる。また、これらの濃度が長い地球の歴史の中で大きく変わっていることも研究により明らかになっている。二酸化炭素濃度は知られているとおり、地球の温度に影響を与えるし、生物相の変化も二酸化炭素を始め重要な気体の濃度に影響を与えるのである。そして、低酸素濃度の環境は絶滅とともに進化や種としての新機軸の発生を促すこととなる。ペルム紀の絶滅ののちに哺乳類と恐竜を生むこととなったのもそのような結果でもある。クジラ、アザラシ、ペンギンなどの海に戻った生物もこの時期に生まれたとされる。ペルム紀の絶滅が効率的な肺を持ったとされる恐竜が生まれる余地を生み、低酸素濃度の期間は小さく種数も少なかった恐竜が、酸素濃度が高まったジュラ紀後期から白亜紀にかけて大型化と種数の増加を見ることになったのである。
一方、恐竜を絶滅させたK-Tイベントの絶滅は、ユカタン半島近辺における小惑星の衝突が原因であったことは、多くの証拠からおそらく正しそうである。チュクシルーブ・クレーター跡だけでなく、地層に含まれるイリジウムの存在や、衝撃石英の存在などから隕石衝突の跡が確かめられている。
本書では、ビッグファイブと呼ばれる五つの大量絶滅 - オルドビス紀、デボン紀、ペルム紀、三畳紀、白亜紀のそれぞれの末に起きた絶滅 - も含めて少なくとも10回の絶滅があったと考えている。それぞれの原因は同じとは限らない。
1. 大酸化事変による大量絶滅 (有毒な酸素濃度増加とスノーボールアース)
2. クライオジェニア紀の絶滅 (二度のスノーボールアース現象)
3. エディアカラ紀後期の絶滅 (動物による微生物の絶滅)
4. カンブリア紀後期の絶滅 (SPICEイベント)
5. オルドビス紀の大量絶滅 (寒冷もしくは海水面変動)
6. デボン紀の大量絶滅 (温室効果)
7. ペルム紀の大量絶滅 (温室効果)
8. 三畳紀の大量絶滅 (温室効果)
9. 白亜紀-古第三紀境界の大量絶滅 (隕石衝突)
10. 更新世末期~完新世にかけての大量絶滅 (気候変動と人間の活動)
特に最後の人間の活動による特に大型動物の絶滅にも注目するべきだという。一方で、現在は種数でいうとかなり多様な種が存在する時期であるともいう。この種の多様性を維持することが今後も生物が地球上で存在していくためには重要であるという。
もう少し長期的視点からは、太陽は今よりもさらに明るくなり、最終的には地球の過熱化が二十億年後か三十億年後には起きて、地球の平均気温は五十度を超えることになる。だがその前、今から五億年後か十億年後には二酸化炭素濃度が下がりすぎて、現生の植物が存在できなくなるという時期が来ると予想されている。
内容としては結構難しいが、興味深い内容を含む本。
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【関連書籍のレビュー】
『ミトコンドリアが進化を決めた』(ニック・レーン)のレビュー
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『生命の跳躍――進化の10大発明』(ニック・レーン)のレビュー
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『生命、エネルギー、進化』(ニック・レーン)のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4622085348
『チェンジング・ブルー――気候変動の謎に迫る』(大河内直彦)のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032803
『生命の星の条件を探る』のレビュー
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『生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像』のレビュー
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『できたての地球――生命誕生の条件』のレビュー
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『一万年の進化爆発』のレビュー
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「生命の歴史」について、最新の研究結果なども盛り込んで、丁寧に解説した大著です。
異論もあると思いますが、著者の主張する「生命火星起源説」は、驚きながらも説得させられます。今まで「原始のスープ」のイメージを持っていましたが、イメージ変わりました。
また全史にわたり、二酸化炭素と酸素の濃度と、数回あった大量絶滅が、進化に多大な影響を与えていることが分かります。
またこの分野、最近でも研究は活発で、歴史の認識が塗り替えられていっているようで、なかなか興味深いです。
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最新学説及び著者たち自体の仮説を盛り込んだ生物の絶滅の理由を中心とした歴史。
まず生命は深海の熱水噴出孔や火星で生まれたと考えられる。
そのあとは小惑星や隕石の衝突の沈静化、地球の大気構成およびマントルの安定化である。二酸化炭素やメタンを多く含む大気は紫外線による分解やそれらをエネルギーとするシアノバクテリアなどの生命によって酸素が徐々に作られていく。この酸素濃度(およびそれと逆相関する二酸化炭素濃度)が生命の維持発展に大きな役割を持つ。メタン、二酸化炭素などの温暖化ガスがなくなることで地球は冷却され、22−5億年ほど前に最初のスノーボールアースとなった。そこから10億年前までの多細胞生物誕生までは硫黄を出す金と酸素を出す金がせめぎあって、大気構成を変えていった。二度目のスノーボールアースが終わる7億年前になると大量の絶滅の後で多細胞生物が生まれてきて、エディアカラ紀が始まる。その後カンブリア大爆発で現在の生物の門が出揃い。その後ビッグファイブとよばれる5回の大絶滅を乗り越え生物の主役は変遷する。
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A NEW HISTORY OF LIFE:
The Radical New Discoveries about the Origins and Evolution of Life on Earth
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309253404/
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■『生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学』読了 ★4つ(5点満点)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4309253407/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4309253407&linkCode=as2&tag=hitoshiebih0a-22
最近、古生物学、生物進化学、地質学などを読みまくって、たどり着いたのが、この本。まず、この企画を考えた著者2人とと編集者を賞賛したい。
アマゾンの評価も高いのだが、「一般書のレベルを遙かに超えて、大学教科書レベル」という、この超ニッチな本をよく成立させてくれました^^ (多分著者の趣味だろう)。
内容は生物の誕生と進化の40億年史をまとめたものだが、この本の本のすごいところは2つ。
まず、著者が「ピーター・ウォード」「ジョセフ・カーシェビング」という古生物学、生物学の超重鎮の2人。出てくる参考の説が友人の地質学者に直接聞いたとかばかり、なのはこの2人しかできない。
もう1つ最大のチャレンジは、書評で多数の指摘があるように、原題は「NEW HISTORY OF LIFE」。つまり、新しい生命史なのだ。
網羅している内容は、地球誕生から現在、そして、未来予測まである、サイエンス書にありがちな「全史」。
この本のすごいのは、原書の発売が2015年なのだが、「New History」の名の通り、21世紀、つまりここ10年、20年ぐらいの新発見・新説を評価が、まだ固まってないことまで含めてバシバシ使っているところ。
「全史」なのに、全編にわたって新説をここまで入れた本はみたことない。
書評で「この本を読めばあとは10年間は、この分野で新しい本を読まなくてよい」というコメントがあったが、この人がどこまで意識して書いたかかわからないが、これは、勘違いしやすいコメントだ。
一般に「10年」というと長いと感じるが、なんたって「40億年の全史」ですから。
技術は別だが、100年単位で発展してきた、科学の世界で10年でまた、生命の見方が変わるかもしれないというのはすごいことだ。
実際に、進化学、古生物学では、この10年ぐらいに新しい発見がたくさんされているらしく、今後も発見されるだろう。
10年後に、新版を見たい本。
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何度もくじけそうになりながら、時間をたっぷりかけて読了。難しいけれどおもしろいです。生命の誕生から様々な種が生まれては絶滅した要因を最新学説をひきながら説明しており、知識を満たす喜びを得ることができたので満足。
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地球や生命のマクロな話が大好きなので、
たまらなくおもしろい一冊であった。
地球と生命の“全史”が地球科学および宇宙科学の研究者であるピーター・ウォードと
地球生物学者のジョゼフ・カーシュヴィンクの二人によって、
自身らの研究結果や様々な最新知見にもとづいて、圧倒的なスケールで綴られている。
環境の激変、生命史に最も影響を与えた気体分子である酸素、二酸化炭素、硫化水素、
生態系の進化とおもしろくワクワクする話ばかりである。
生命火星起源説なんてジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』ばりの説も紹介されている!
科学的にありえるのだから冗談ではない。
最終章の“地球生命の把握可能な未来”がこころに突き刺さる。
ちなみに本書のオリジナルタイトルは “A NEW HISTORY OF LIFE” である。
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地球生物史を地球の誕生から始めて、ヒトの進化と未来も視野に収めてまとめている。
生物種の固有名詞が多くて読みづらいが、最新の研究成果も多く盛り込まれており、単なるポピュラーサイエンスとは一線を画している。
この手の本にしては、鳥類について少し詳しく触れられているが、植物は重要性を認めつつも紙幅を余り割いていない。昆虫についてはほぼ皆無。
大量絶滅の後に生物種の多様性が生まれてきた歴史の繰り返しに不思議さを感じる。また、地球そのものがいかに大規模な変化を繰り返してきたかにも興味がそそられた。
・生と死の中間状態がある。
・2010年の研究によると20種類の最良のアミノ酸が使われている。
・光合成は最古の生命の誕生より後に始まった。
・生痕化石
・スノーボールアース現象:1度目は光合成によって惹起され、2度目は大陸プレートの動きから(超大陸がバラバラに別れた影響)。
・三葉虫が現れたときに実は、カンブリア紀は半分以上終わっていた。
・生命史で重要なイベント:1.生命の誕生。2.酸素への適応。3.真核細胞の誕生。4.カンブリア爆発
・節足動物がのちに驚くべき多様化を遂げるのは、既存の遺伝子を利用してのことだった。
・地球の真の極移動は、カンブリア爆発や大量絶滅を引き起こした可能性が在る。
・大量絶滅:ビッグファイブで種の50%以上が失われた。
・大量絶滅が起きる度に分類群は著しく失われるものの、その都度、種が形成されるペースが上がるため、絶滅以前のレベルどころか当初の多様性を上回る。
・最後のスノーボールアースが起きた大きな原因の一つは、植物の上陸だった可能性がある。
・体内受精による生殖が実証されたのは魚。体内に胎児を宿した。
・両生類が登場するまでに長い空白期間「ローマーの空白」がある。この詳細は謎。
・節足動物は大きくなれない。一つに、外骨格の強度。二つに、身体の最奥部まで酸素を行きわたらせられる呼吸の存在。
・石炭紀には樹木を分解する細菌が存在していなかった可能性がある。
・初期の四肢動物は、運動と呼吸に同じ筋肉を使っていた。
・ペルム紀後半の大気に入り込んだ硫化水素ガスの量は、現代の2000倍以上。
・低酸素の時期には陸上はいくつもの生物地理区に別れていた。高濃度のときは一体になっていた。
・恒温性か変温性と同様に胎生か卵生かも生物の根本的な特性。
・大気成分の変化、気温の低下、酸性雨、大火災などが絶滅に繋がるメカニズム。
・肌の色は日照量の違いではなく、性選択によってもたらされた。
・ヒトが生まれて以来、そのゲノムは大規模な再編成を経ているだけでなく、進化の速度が3万年前から加速している。
・陸上生物の息の根を止めるのは捕食者でなく、膨れあがる太陽と少なすぎる二酸化炭素だ。
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我々にとって必要不可欠な酸素が実は猛毒(それを必要としない生物にとって)で、酸素と二酸化炭素がバランスを取っていて、その多少によって生命のデザインと、命運が握られているという刺激的な書。単純に面白かった。読み終わった今、誰かに話したくなっている。
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読み始めてすぐに既視感にとらわれる。
「あれ?これってスノーボールアースbyガブリエル・ウォーカーと同じような内容では?」
それもそのはず、本書共著者の一人ジョゼフ・カーシュヴィングさんはスノーボールアース仮説の提唱者だそうだ。
地球45億年の歴史において、生命誕生から絶滅の危機を何度も繰り返し、そこからの復活のたびに種類が爆発的に増えてきたという説について、丁寧に書かれている。
それにしても日本語のタイトル「生物はなぜ誕生しのたか」では本書の内容と全く一致していない。これだとタイトルから期待される、「生物誕生の仕組みやその理由」が書かれているように誤解を受ける。
英語の「A New History of Life」そのままの方が十分本書の内容を表していると思うのだが、日本語版のタイトルは誰がどのように決定するのでしょうかね?
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生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学
2016/9/11 予約 9/14 借りる。2017/1/10 読み始める。1/27 読みたいが忙しいのでほとんど読まずに いったん返却。
内容 : 原タイトル:A new history of life
生命はどこでどのように誕生し、何が進化を推し進めたのかを、
宇宙生物学や地球生物学といった最新の研究結果をもとに解き明かし、
生物の生き残りをかけた巧妙な戦略と苦闘の歴史を描く。
著者 :
ピーター・ウォード Ward,Peter Douglas
ジョゼフ・カーシュヴィンク Kirschvink,Joseph
ワシントン大学生物学、地球科学及び宇宙科学教授。