紙の本
訳は岩波より新潮
2002/06/24 10:14
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波は4分冊で新潮は5分冊。ついつい岩波文庫で買ってしまいそうだが、訳は新潮がいい。これは1ページ目を読めばすぐわかる。
19世紀の長編小説がいいのは、ゆったりしてることだ。登場人物が少なくはないが、ひとりひとりに関する記述が濃い。第1章は神父、第2章はジャン・ヴァルジャン、というふうに、ゆっくりじっくり物語を味わえるのがいい。
第1巻は、マドレーヌ市長として振舞ってきたジャン・ヴァルジャンが、良心に従って自らの本性を現すところで終わる。この第1巻だけでも完結できる内容だ。今後、物語がどう展開していくのか楽しみだ。
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社会の闇と正義の欺瞞を問う第一部
2020/03/28 10:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一部ファンチーヌ。博愛の精神を持つミリエル司教の第一章から始まる。元徒刑囚ジャン・ヴァルジャンとミリエル司教の出会い。恋人に捨てられ売春婦にまで身を落とすファンチーヌ。権威を盲信する冷酷無情な警部ジャヴェール。
物語のテーマが本卷第一章に凝縮されている。罪人とは罪を犯した者ではない。社会に闇をつくる者である。貧困からパンを盗んだために徒刑囚となったジャン・ヴァルジャン。荒みきった彼の魂を救ったのは、ミリエル司教の慈愛だった。苛酷な刑罰では人間を救えない。人間の魂を救うのは慈愛である。
一方、恋人に捨てられた女性ファンチーヌ。悪辣なテナルディエ夫婦の本性も知らず娘コゼットを預け、女工として懸命に生きる。だが、道徳家を気取る非情な人間により、未婚の母であることを告発され、解雇されてしまう。テナルディエ夫婦からは暴利的な金の要求が絶えない。進退極まったファンチーヌは、自分の髪を売り、歯を売り、遂には売春婦に堕ちてしまう。ファンチーヌの章では、正義を振りかざす人間の残忍性が浮き彫りにされている。
ミリエル司教の導きにより改心したジャン・ヴァルジャン。一大産業を興して財を成し、市長にまで昇りつめる。慈悲に務め穏やかな日々を送る彼に、ジャヴェールの影が忍び寄る。ジャヴェールの章では、正義と権威を盲信する人間が弱者を窮地に追い込む非情さを露にしている。
波乱の展開が続く物語の第一部。私達は時々この物語を読み返し、「正義」「道徳」「権威」の残忍性と社会悪について猛省するべきだろう。何故なら、人間はとかく独善的に他人を裁きたがる生き物だからである。
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久しぶりにレ、ミゼラブルを読みたくなった。
2019/05/17 05:40
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投稿者:Blue Water - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学生の時に読んだレ、ミゼラブルを読みたくなったので、購入しました。
ジャンバルジャンが、教会から盗んだ金、銀の燭台や食器を、神父がジャンバルジャンに与えた後、ジャンバルジャンがどの様に改心し、最後に何を残したかをもう一度読んで見たかった。
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思い切って読み始めました。
2018/09/27 18:54
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投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミュージカル版の映画にハマったのがきっかけでいつか原作も読まないと、と思ってました。
第1章がなかなか読み進めにくいですがジャン・ヴァルジャンが登場してからは
すいすい読めました。心理描写が素晴らしいですね。心情の変遷が手に取るように。
まだ1巻しか読んでいませんが、古い方の映画版が本当に原作に忠実だったんだな、
と分かりました。文章の雰囲気まで再現出来ていたように感じられます。
1巻は哀れな(でも意外と強い)ファンチーヌの最期まで。
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名作中の名作。ユゴーの代表作の一つ。何人かに訳された中の1つで佐藤朔訳版。訳が古いので文体なども古く、いま読むと読みづらい作品です。ユゴーの作品はストーリーを追うだけではなく、当時の物語の背景などわき道が多く更に読みにくい。しかしユゴーワールドに入り込んだら最後、次を次をとどんどん惹かれ最後まで目が話せなくサイドストーリーなども楽しみになってしまう。フランスに興味が出てくる作品です。 この1冊目は中学生のころ昭和48年版を古書店で買った。読み終るまで当時は若かったのでなかなか難しく、この作品を読んで以降難解な作品を読破するのが達成感となり楽しみに。思い出の1冊である。
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小学校低学年のとき、担任の先生から、この小説のさわりを聞き、『僕は死ぬまで、こんな悲惨な小説は読まないぞ』と心に誓ったのでした。しかし40年の時を経て、やはりこの小説を読む運命にあったのだ。昔の微罪に最後までさいなまれ償おうとする主人公ジャン・バルジャン、重ねてきた悪事を屁とも思わないでさらに悪事を重ねるテナルディエ。そこまで罪を償おうとする人間とは何か?を考えさせられるベストセラー名作!いやあ、この小説、HappyEndでなかったらホント、救われないよ。
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レ・ミゼラブルを通して、一番おもしろかったのは1巻でした。理由は、物語に関係のある話しかないから。他の巻では歴史の話や文化の話がでてくるので読むのに苦痛ですが、読んで物語も読むと感動します。
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ミュージカル(あれは別物)より何よりやはり原作が一番良い。ユゴーはお涙頂戴をかいたつもりは一向にないらしい。
しかし人々が無情に散っていくさまには涙が止まらない
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貴方の為に、私は生きる。
時代考証に何度本を置いてもいい。
長いから何度に分けても構わない。
最後まで、読め。
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[08.2月読了]
私が読んだのは、別の版元の全集のヤツなんですけど、それはもう古いヤツなので、とりあえず。
時代背景がわかっていないと、わかりにくいところがあるので、理解を深めながら読むのに時間がかかりましたが、面白かった!
絶対に完訳版を読むべきでしょう。
ABCの友の周辺の話、そして1832年の暴動の話の辺りは、つい繰り返して読んでしまったり。
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数日かかってやっと1巻が終わった。まだまだ4冊も残ってる。
主人公ではなくて作者が語り続ける小説。
昔の読書、映画鑑賞の体験も関係してか、懐かしい感触だった。
(ジャン・ギャバンがコゼットを取りに来る暗闇の場面と
映画を観終わったあとのぐったりしたような気持ちを
20年以上たった今でもけっこうしっかり覚えてる)
大きな視点だけど神さまはもっと大きなものとして語られていて
熱く人間愛に燃えているけど冷静な記述で
”ヒューマニズム”なんて一言で片づけていてはいかんだなと思わされる。
でも単純に面白いとはいえない、ていうか面白くはない。
といいつつも、児童書には書かれていなかったエピソードがたんまりあるから
やっぱり最後まで読みたい、ような気がする。
昔読んだ『死刑囚最後の日』のほうが面白かった。でもいろいろ忘れてしまったなぁ。
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全てはここから始まった。
ミリエル司教が素敵すぎる。
ジャンバルジャン!ジャンバルジャン!
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「悪習を壊すだけでは、十分ではない。風習を変えるべきです。風車がなくなったのに、風がまだ残っている」
「私の兄弟のジャン・ヴァルジャンよ、あなたはもう悪の見方ではなく、善の見方です。あなたの魂をわたしは買います。暗い考えや、破滅の精神から引離して、あなたの魂を神にささげます」
「この不幸な男より1800年前に、人類のあらゆる聖性と、あらゆる苦悩を、一身に集めていた神秘な人キリストも、オリーブの木々が、荒れ狂う無限の風におののいている間に、星にみちた深い空の中で、影をしたたらせ、闇をあふれさせていた恐るべき杯が差出されたのに、それをいつまでも手で押しのけていたのである」
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激動の人生を歩んだ心やさしき聖人の物語。感想としては引用文が多く、当時の人々が理解できたかどうかが疑問だった。また、人間関係は善と悪がはっきりわかれているところで物足りなさを感じた。天国にとどまって悪魔となるか!地獄に戻って天使になるか!エゴに負けず誠実でいられるかどうかの人間の葛藤が描かれている。
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「本好きと言う割には読んでないなんてちょっと恥ずかしいんじゃない?的本をこの際だからまとめて読んでしまおうキャンペーン」第…いくつだっけ?
ストーリー自体は難しくはない…と思うんだけど。
途中途中で出てくる歴史だったり文化だったりが…おバカさんなんですごめんなさい。
教科書やらウィッキー君やらにこんなにお世話になった本はありません。
フランス人だったら面白く読めたと思うんだけどなあ。
読んでも読んでも先に悲劇や破滅の気配がして、手が止まる止まる。
まあラストは落ち着くところに落ち着いた感が。やれやれ。
章のタイトルやちょっと言い回しが洒落てて、フランスっぽいなあ、と。
原語で読めたらもっと楽しいんだろうけど。
訳すの大変そう。
しかしこの長いお話、どーやって舞台になったんだろう?
いつか観なければ。