電子書籍
冷たい世界
2019/09/06 16:09
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投稿者:カツセウョシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな家族になりたくないな、と思うような人間関係。
じわじわと引き込まれました。
紙の本
大好きな作品
2019/05/08 13:40
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投稿者:akiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
藤野さんの世界観が大好きです。他の作品も好きですが、この作品は藤野さんを初めて知るきっかけになった本です。何度も読み返しています。不思議で不気味で美しい描写が大好きです。
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以前、雑誌で読みました。
読んでみた感じはとても不気味というか、なんか痛そうで怖い、と思いました。
けれど、受賞者インタビューを読むと、『醜いものや怖いものも美しい』ということが書かれているので、彼女にとってはこれは美しいの部類に入るのかもしれないなと思いました。
『爪と目』というタイトルの通り、小説の中では爪をかみ続けるわたしとコンタクトレンズがないとほとんど何も見えていないあなたが淡々と描写されていきます。
突然母親が事故死してしまったわたしとわたしの父の付き合っていて一緒に暮らすことになったあなた。
あなたの見えていない状況をとにかく書いているようにも見えるのですが、見えていなかったのはあなただけではないと思います。
わたしの父もきっといろんなことが見えていなかったんだと思うし、作者は死んでしまったわたしの母も見えていなかったと思っているのかもしれない。
そう思うのは、最後の部分の爪の描写からの連想だけど、しつけの行き届いたいい子であったわたしは本当はもっと違う子だったのかもしれなくて、結末部分になるまでずっとわたしをいい子だと思い続けていた読者も見えていなかった、ということなのかもしれません。
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「爪と目」「しょう子さんが忘れていること」「ちびっこ広場」の三編。どれも、語られないことによる不安が不気味さを匂わせるお話。それをホラーというのならホラーなのかな…個人的には、ホラーといわれて予想するような恐怖はあまりなく、ちょっと拍子抜け。
好きなのは「ちびっこ広場」。どれも女性らしい視点だけど、これは母親目線で特に共感できた。
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う〜む、ちょっと妊娠カレンダーを思い出した。だいぶ違うけど。割と好きな方な作風だとは思うけど、この先どういう作家になっていくのだろう?
爪と目はこの手では珍しく将来に関する記述があるから 続編?が読みたいかも
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「爪と目」は文体が奇妙で面白かった。文体の奇妙さを示すには、小説の一文目を引用するだけで十分であるように思われる。
ーーー『はじめてあなたと関係を持った日、帰り際になって父は「きみとは結婚できない」と言った。』ーーー
初めて読んだ瞬間、どんな人が誰に語っているのかが分からず、何度も読み返してしまった。面白い。
文体同様、話の筋も難解であった。挿入される話の一つ一つは面白く、一気に読んでしまったが、全体のストーリーはあまり意味が分からなかった。
「しょう子さんが忘れていること」も表題作同様難解なストーリーであった。
冒頭からストーリーの結末について「こうであるに違いない」とある種の確信を持って読み始めてしまったが、読み進めるうちに、そうである証拠もそうでない証拠も見つかって、結局よく分からないまま終わってしまった。
「爪と目」「しょう子さんが忘れていること」の二編が難解であったのに比べ、「ちびっこ広場」は分かりやすくとても面白かった。
何か特別なことが起きているわけでもないのに冒頭から謎の緊張感があって、夢中になって読んでしまった。ラストには綺麗に伏線も回収され、前二編の後味の悪さも相俟って、単に面白いと感じただけでなく、気持ち良いとさえ感じた。
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爪も眼は、人の体の一部なのに、まったく違った質感と性質を持っている。硬く、攻撃的な前者に、繊細で傷つきやすい後者、正に対極にあるような感じがする。この二つがうまくそれぞれの特徴を活かしたツールとして働き、今までにはない視点でプローブされた物語だと感じた。短い一文が、迫ってくる良表題作です。
その他、しょう子さんが忘れていること、ちびっこ広場収録。
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単行本で読了済み。
文庫の顔写真にもくらっとくる。
@
爪と目、まさにそのものの結末。
何がおそろしいといって、あなたをじーっと観察している語り手が恐ろしい。
そして観察できていない場面すらも補える(それだけあなたを見続けている)ところ。
そしてあなたも、父も、母も、どこかぼんやりと無関心なところがあり、サイコという言葉が浮かぶ(欲望の欠如)。
これは、怖い。
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久しぶりに、何のためでもなく、「ただ活字を読む」という欲のためだけに読み終えました。時間に追われているときに読む、良質な短篇はこの上ない至福ですが。ああ怖かった。
帯の「史上最も怖い」という言葉は的を得ているからこそ、究極のネタバレというべきか、予感を促しすぎる意味で読者からすれば勿体無いような気もします。
事実、悍ましいと感じる要素が沢山詰まっています。具体的な言葉で分析し始めようものなら自分の世界にピキッとひびが入ってしまいそうな感のある、人の奥底にある不気味な禁に触れてしまっている作品です。
語ることの出来る要素で面白みを感じたのは、やはり「目」の役割です。解説にあった、動物の目の発達の過程の説明を含めて、考えさせられるところ、日頃考えることと繋がるところがありました。物事から恣意的に目を逸らせば、人はその物事を無かったことに出来て、ある種の独裁者になれるということ。でも、、、ということ。「目を閉じれば同じ」という言葉が出てくる宇多田ヒカルさんの歌をふと思い出しました。人は疲れてしまうと思考を停止して、目を閉じて、次に開く頃には状況が変わっていることを期待したりするものです。それは必ずしも現実逃避を示唆しているのではなくて、日常における睡眠も同じでしょう。でも、、、がいっぱいあります。自分の住んでいる世界に見たいものと見たくないものがあるということと、目が開いている限り物事を見続けなければならないこと、をどう理解すればよいのでしょう。自分で一生付き合って戦うしかないのでしょうけれど、戦うのに疲れてしまった人は他の存在を精神で殺してしまうのでしょう。私は目が見えることは尊いと思っていて失いたくありません。それでも、一見「できる」という良い機能に思われるものが、「できることをしない」という選択肢を危険を孕んでいるという事実は心に留めておくべきだと思っています。
久しぶりに、心の向くままに目的もなく言葉を綴った気がします。少し気持ちが休まったのでこの辺りで。
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「『純文学ホラー』の確立を記念し」たとされる第149回芥川賞を受賞した表題作をはじめとする3作品が編まれた短編集。ホラーというよりか、恐怖を覚える前後に人間に生ずる狂気みたいなのを描いていて、それがとても怖い。人称の表現力にも目を見張る注目の作家だと思った。
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第149回芥川賞受賞作。
『文学的ホラー』と言われていた。うーん、これがホラーかどうかはよく解らないが、カテゴライズするならばホラー以外に無いかな、とは思う。ただ、個人的には怖さより不気味さを強く感じた(特に登場人物の造形)。
近年の芥川賞の中では『abさんご』に続いてトリッキーな作風だという印象。今、読んでいる『パトロネ』にも同じような雰囲気があるので、恐らくある種のトリッキーさが著者の持ち味なのかな。私は好きなタイプだ……。
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キモっ!
短いセンテンス、会話の少なさ、そして何と言っても人称の使い方でさらに不気味さを増す仕組みは面白かったっス。
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生活系ブロガーの描写がよかった…
p37
失ってもたいした痛手ではないものを残酷に奪われることを想像するのは、なんとなく楽しいものだ。
p75
あなたは、彼女たちの見せるものが、彼女たちの身を守る装備だということにまでは考えが及ばなかった。彼女たちが欲しいのは、傷ひとつない、ぴかぴかの体と心だ。あれらの記録は、彼女たちが懸命に貼り合わせてつくった特注品の体と心だ。
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純文学というものはやはりよくわからない。表題作の爪と目は人称の使い方で特徴的だったけど、それだけだった。痛みを知らないような継母に対して最後に痛みを与えるみたいな終わり方。ホラーと評してあるが、怖さよりもわからなさの方が強かった。これも純文学だからか。その他2編もよくわからなかった。単純に言ってどれも面白くない。
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16/06/02
これはホラーなのだろうか。とりあえず痛い、、痛い痛い、、と顔をしかめて読んだ。
・その文章が、ほの暗い明るさをもってまたたくのがわかった。活字が親しげに微笑み、ひょいと片手をあげて挨拶したみたいだった。(P84 爪と目)