ローマ史の入門書
2014/10/05 10:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本村氏と渡部氏共著の「国家の盛衰」が、たいへん読みやすかったので、本村氏の著作である本書も読んでみました。
1,200年にも亘るローマの歴史を307ページに収めるために、次のような工夫がされていて、「ローマ人の物語」を第1巻の途中で挫折した私でさえも、読破できました。ローマ史の入門書として、特に世界史嫌いの方にお薦めします。
・ ローマ史を、起(建国からカルタゴ滅亡)・承(内乱の1世紀・カエサルの時代)・転(5賢帝によるパクス・ロマーナ)・結(軍人皇帝から滅亡)の4期に分け、コンパクトかつメリハリ解説。
・ 大きな流れの把握を主眼とし、登場人物を極力絞る等、細かなことは捨象。
・ あくまでもローマ史のみに言及。周辺国の歴史には触れない。
ローマ帝国を理解するキーワードは、「S・P・Q・R」「ローマ法」「父祖の遺風」「パトロヌスとクリエンテス」「多神教と一神教」の5つとのこと(第1章)。中でも、「父祖の遺風」は「武士道」にも通じる倫理規範です。覇権国家にはこうした美徳が不可欠なことを勘案すると、現代中国は覇権国家には絶対になりえません。
とにかく、「ローマの歴史のなかには、人類の経験すべてが詰まっている(7ページ)」とあるように、1,200年の歴史の積み重ねに圧倒されました。
アメリカ合衆国の覇権国家としての地位が翳り始め、オバマは「アメリカは世界の警察官でない」と宣言しました。その結果、中国やロシアを筆頭に世界各国のエゴが先鋭化しています。ローマ帝国は、異民族の侵入に耐えられなくなり滅んだとのことです(294ページ)。近い将来、パクス・アメリカーナは終焉し、混沌の時代に突入するのでしょうか。ローマ史に学ぶ姿勢が、今こそ必要とされていると強く思いました。
読みやすいし、面白いですよ
2017/11/08 09:34
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KYU - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史本は、時系列的に、起こったことを、ストーリーにして、面白い読み物にしている本が多いように思いますけど、そうしながらも、市民権とか奴隷制度、キリスト教、テルマエ(公衆浴場)などの文化の各切り口での説明が、自分としては、おっ!という驚きがあった。そして、何よりも、現代人の自分たちの社会や組織との比較を想像しながら読むと、自分には、現代人としての常識が刷り込まれているな、と思え、面白かった。
初学者のためのローマ帝国史
2020/06/30 18:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ローマ帝国といえばスキピオとカエサルとネロくらいしか知らなかったがそんな人間でもよくローマ史がわかる平易な文でよかった
投稿元:
レビューを見る
『テルマエ・ロマエ』にもすこし触れています。これの後に『テルマエ・ロマエ』読むと、ディティールで気がつくこと多し。
投稿元:
レビューを見る
起承転結でローマ史を振り返っている。
それぞれの章でなぜ〜?という問いによってローマ史を解き明かしている。問いの立て方が参考になる。
本書のはじめに、で書いてあるが、なぜローマは人々の心を惹きつけるのか?という問いが浮かんでくる。
その答えとして、ローマには全てがあるからということではないか。全てとは、一大文明の起承転結がはっきりとわかるということ。筆者は起承転結でローマを記述しているが、このやり方はうまいと思う。
遠い昔のまた昔のローマ文明であるが、学ぶことはたくさんある。
気軽に読めた一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
塩野七生「ローマ人の物語」シリーズ読破を挫折した身として、1200年のローマ史を新書本1冊でまとめてくれるのは非常にありがたい。
ローマはオオカミに育てられたロムルスによって、紀元前753年に建国される。東西に分裂し、紀元後476年に西ローマ帝国が滅亡。本書では、その期間をローマ史として取り扱い、起承転結の4期に分けて解説している。
総括すると、ローマ史は変革の歴史だ。1200年続いたというより、続かせたといえる。君主制の時代もあれば、共和政もあるし、皇帝独裁もあるし、その皇帝が金銭で売買された時代もあった。それでもローマは滅ばない。全く異なる政治形態になってもローマは続いたのだ。その理由はスッラやカエサル、アウグストゥスら英雄の活躍もあったが、継続することにこだわったローマ人の執念がローマを支えたのだ。
そして、ローマも滅亡する。しかし、滅亡につながる決定的な事件があったわけではない。金属疲労を起こし、静かにゆるやかに滅んだのだ。それもまたローマの特殊性だ。
投稿元:
レビューを見る
膨大な流れを短くまとめてあった。個人の考えも所々にあったけど、基本的にポジティブなので気持ちよかった。
投稿元:
レビューを見る
国家の収入が不足すれば、徴税システムが見直され、増税されるのが自然な流れです。ところが、重税が課せられるようになると、これもどこの世界でも見られることですが、富裕層があの手この手を使って税を逃れるようになり、貧しい者の負担ばかりが増え、いっこうに税収が上がらない負のスパイラルに陥ります。
(本文より)
...これは、2018年の日本についての文章ではなく、今から1500年以上前のローマ帝国についてなんです。
どっきりですね。
歴史は繰り返すというか…。
#
「はじめて読む人のローマ史1200年」本村凌二さん。
この人の「馬の世界史」が面白かったので、読んでみました。「ローマ帝国の歴史」っていうのを面白おかしくざっくり読みたいな、とは以前から思っていましたので。
マンガ「テルマエロマエ」で俄かに一般化した「ローマの市民文化」ですが、紀元前からっていうのが、日本史を尺度にするともうめくるめく感覚ですね。
タイトル通りざっくり歩みを、面白おかしく平易に語ってくれてありがたく面白かった。
共和制、独裁制、民主制という人類の宿命のような苦悩の循環…とか。
(実は読み終わってからメモするまでに時間が経ちすぎて記憶があいまい…)
#
ただ、実はいちばん知りたかったところについては、愕然とさせられました。
というのは、「なんでローマ帝国は、キリストを弾圧、キリスト教を迫害したのに、300年くらいしてから公認したのか?あまつさえ、帝国が丸ごとキリスト教になってしまったのか?つまり、どうやってキリスト教はヨーロッパを制覇したのか?」ということが、実はこの数年気になって気になってしょうがなかったんです。
ところがそれについては、その筋の権威である?本村さんがはっきりと、
「4世紀頃に、ローマ帝国はキリスト教を認めて、さらには国教にするのだけれども、そのあたりの”なぜ?どういう経緯で?”というのはサッパリわからない。世界史研究上の巨大な謎になっています」と明言してらっしゃる…そんなあ。
20世紀、21世紀にいたるまで、ヨーロッパ=アメリカ的白人の世界っていうのは、アジアや南米アフリカへの影響も含めてキリスト教の影響っていうのが不可欠不可分な訳ですが、そこンところが「どうしてキリスト教が天下を取ったのか」が判らないっていうのは、それはそれで物凄く魅力的なミステリー…。
そこの謎に切り込んだ本があったら、是非読みたいなあと思います。
そしてそれはそれとして、本村さんの語り口はとても読み易い。今後もいろいろ読むことになりそうです。
投稿元:
レビューを見る
・ポンペイウス、クラッスス、カエサルの3人による三頭政治の均衡は、紀元前53年クラッススの死によって崩れる
・紀元前51年カエサル、ルビコン川(遠征軍が群を解散する「国境」に位置づけられていた北イタリアの小さな川)を、軍の編成を解かずに渡る。「賽は投げられた」
投稿元:
レビューを見る
ローマにまつわる7つの「なぜ」を解説しながらローマの歴史を概観している。扱われるのはローマ建国から西ローマ帝国の滅亡までの1200年。文章が非常に読みやすく明快なので、ローマ史の入門書として非常に適した一冊になっていると思う。参考文献が記されていないのが玉に瑕。参考文献欄は内容の根拠を示すだけでなく、初学者が次に読む本の手がかりともなるもの。この点は入門書としては残念。
投稿元:
レビューを見る
この一冊にローマについて、コンパクトにまとめられています。大変読みやすく、わかりやすく解説されてました。
投稿元:
レビューを見る
世界史の知識が皆無だった私が、カエサルや剣闘士やコンスタンティノープルの陥落など部分的に興味を持った中で、歴史あるローマの全体像を知りたいと思い手に取った一冊。
現代使われている英単語の語源などの解説も途中に入っており、あれもこれもローマから来ているのかと思うと一層興味が増した。
これを足掛かりに、各時代のドラマを深掘りしていきたいと思う。
解説が本当にわかりやすい。筆者の私見も当時の時代背景を想像するのに役立った。
投稿元:
レビューを見る
ローマ帝国の起源から終焉までが、分かりやすくまとめられた良書。
やはりローマの歴史からは、学ぶべき事が多いと改めて感じる。
投稿元:
レビューを見る
今度イタリアに旅行に行くことから、イタリアの歴史の予習のために読了。
ローマ帝国の誕生から滅亡までの栄枯盛衰がわかりやすくまとめられている。
特に、「SPQR」「父祖の遺風」「ホノル(名誉)」「パトロヌス(保護者)とクリエンテス(被保護者)」等といった、ローマ人・ローマ史の根底にある思想や感性、人間関係の基礎について、詳しく最初に説明が書いてあるおかげで、その後のローマの歴史が、「あぁ、人々がこういう思考だから、こういう行動取るんだな」とすっと理解できた。
投稿元:
レビューを見る
簡潔でいて、それでいてもっと知りたいと思わせてくれる。
ストーリー性があって、古代ローマの魅力がたくさんあって面白かった。
本村さんの著書は読みやすくて、面白いので
おすすめ。
ローマ史を初めて知る人には
とても良いと思います。