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紙の本
<イベリア・シリーズ>の記念すべき出発点
2016/10/08 08:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『さらば、スペインの日々』が文庫化されたのを見て、存在を知った<イベリア・シリーズ>。 逢坂剛のスペインものは懐かしの『カディスの赤い星』以来結構好きなので、さかのぼって一作目から読んでいくことに。
一気読みでした。
関東大震災一年後のある出会いを描くプロローグでは「だ、大丈夫? ちょっとご都合主義じゃない?」というエピソードがあって別の意味でハラハラしますが、その後舞台は一気に1939年9月のベルリンに飛び、否応なく第二次世界大戦終幕近く(とはいえ作中人物たちはそのことは誰も知らないけれど)のヨーロッパ、特にスペインに読者は放り込まれるのであります。
<ダンケルク撤退>に言及されればコニー・ウィリス『ブラックアウト』を思い出すし、あぁ、こうして歴史のそれぞれの国の立場からの見方が繋がっていくのだわ、と今更ながら納得。
一応、メインキャラクターは日本に生まれて育ちながら、両親に連れられてペルー移民となり、現在ペルー国籍の宝石商・北都昭平と、英国情報部所属のヴァジニア・クレイトンなのであろうが(『さらば、スペインの日々』のあらすじに二人の名前があったから)、出てくる人物がそれぞれに魅力的というか、ただの小説の手駒ではない生命力を感じさせる。 やはりそこはスペインという土地柄なのだろうか。
そんな中、スペイン人なのにまるで日本人のような控えめな奥ゆかしさと、いざ覚悟を決めたら一直線の度胸を持つ若き女性ペネロペの存在が清涼剤のよう(とはいえ彼女も歴史のうねりとは無関係ではいられないのが哀しいのだが)。
フランコ政権問題、何故「枢軸国と呼ばれるのか」など、自分のうろ覚え感がかなり補完されそうです(でも情報戦を生き抜こうという人たちばかりなので、彼らの未来予測はたいてい正しい。 なのに決まった未来-歴史通りに物語は進むようなので・・・世界にはどれだけ愚かな人々が多いか、と気分が重苦しくなります)。
とはいえ、またシリーズの幕開け。 今回顔見世程度の登場の方も、今後新キャラも登場するでしょう。 シリーズ一気読みの期待に胸が高鳴るぜ!
しかし二作目『遠ざかる祖国』が見つけられない・・・最終巻が出たのなら、合わせてシリーズ全部重版してほしい!(本書も手に入れるのに少し苦労しました)。
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