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黄夫人の手 みんなのレビュー

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みんなのレビュー6件

みんなの評価4.0

評価内訳

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6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

忘れ去られたアナキズム

2013/11/30 15:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんで突然、大泉黒石って誰なのと思うでしょ。
由良君美の本が平凡社ライブラリやちくま文庫で復刊されて、やや見直しがあるのかという流れで、由良が入れ込んで全集の校訂もした大泉黒石にもスポットが当たったのかと思われる。
黒石はその身の上により少年時代からロシアなど各国を放浪し、大正期にその型破りな自叙伝で人気者となる。老子を主人公にした小説や、市井の人々を描く「人間廃業」などのベストセラーを出すが、文壇から遠ざけられて、やがて筆を折る。
文学界から黙殺され続けて来た黒石を引っ張り出したのは、久生十蘭の次のシリーズとして目を付けたのか。すると好評なら「老子」「人間廃業」「俺の自叙伝」と続けて出るのだろうか。
由良が認めたのは大衆の夢の力を謳歌するアナキストぶりということらしいが、各短篇自体はちょっと奇妙、怪奇な話の系列。その奇妙さを味わう風流人よりは、貧民街で借金することばかり考えている人物の方が多く登場する。彼の愛したゴーリキーの作品のように。
「弥次郎兵衛と喜多八」は陽気な珍道中かと思いきや、底無しの貧乏に落ち込んでいく恨み節。女を殺して京都から逃げる町人の顛末を語る曽呂利新左衛門が、最期に秀吉に告げる不敵な結末は、たしかにアナーキー極まる。西南戦争の官軍側の語る歴史の裏側にある、虐げられた人々が甦ってくる「尼になる尼」にも、その反骨が思われる。
中華街に出没する「黄夫人の手」は、貧しさからくる怨念とはいえ海を渡って伝搬するその力強さにむしろ感動すらしてしまう。そういう庶民のエネルギーの凄まじさは、ロシア革命を間近で体験したという黒石の経歴から蓄積されたのかもしれない。
ロシアの逃亡囚の奇態な末路、貧乏画家が亡妻をモデルに描いた執念、そういった作品は、もっとも伝統的な伝記小説の流れに属するもので、前には岡本綺堂、後には久生十蘭などに繋がる系列だ。その方向が本領ではないだろうが、世間からドロップアウト寸前のような人々が、不可思議な事件に晒される時の、境界線上にいる不安定さは独特かもしれない。
今まで目にすることが無かった黒石作品がまた展開されて欲しい。本書では過去の作品集に由良か書いた解説が再録されていて、これが実に熱くてよい。

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2013/07/24 15:58

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2016/01/26 16:15

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2016/12/05 13:48

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2018/06/09 07:32

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2022/01/06 16:08

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