カール五世 みんなのレビュー

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投稿者：ちこ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

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本書は、「若き日のゲーテとヘルダー」でゲーテ賞を受賞されたことがある比較文学・ドイツ文学者であった江村洋氏の作品です。江村氏は、歴史の専門家ではないにも関わらず、ハプスブルク家に関する一般向け読物の著者として人気を博した方です。同書もその例外にもれず同氏の傑作です。同書は、ハプスブルク家の絶頂期に君臨したカール５世の生涯が描かれています。彼の治世は、ヨーロッパ統合を果たしたカール大帝以来の歴史的ヨーロッパ概念の体現者とも言われています。さらに当時は大航海時代の真っ只中にあったため、「太陽の沈まない国」と称されたようにヨーロッパから新大陸、アジア（フィリピン）に至る世界帝国を築き上げました。カールの理想は、オットー１世以来有名無実化していた神聖ローマ帝国を統一し、最終的には西ヨーロッパの統一とカトリック的世界帝国の構築であったのですが、覇権を争うフランス王国との戦い、宗教改革の嵐、スレイマン1世が率いるオスマン帝国の伸張など相次ぐ戦いに阻まれ、あと一歩のところで目的は果たせませんでした。晩年は長年の痛風と相次ぐ戦争に疲れ果て自ら退位し、修道院に隠棲したといわれています。同書の内容構成は、「第1部 カールの青春」、「第2部 カール５世の帝国」、「第3部 カトリック護持のために」、「第4部 ヨーロッパの覇権をめぐって」、「第5部 ミュールベルクの戦い」、「第6部 失意の皇帝」となっています。

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投稿者：アスタ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

太陽の沈まない国と呼ばれた時代の皇帝でありながら子のフェリペ二世の本に比べるとカール五世について日本語で書かれた本は少ない
そのためハプスブルグ家に関して書き綴ってくれている江村洋氏による貴重な書
伝記でありカール五世の人生について書かれたものなので戦争や宗教改革など携わった部分にも日が当てられているがあまり深く掘り下げていないのが少し残念だった
それでもあまり語られていない歴史について安価で手に入るのはうれしいところ
この本を読めばこの時代についての本をさらに読みたくなるだろう