紙の本
納得感を得られます。
2019/03/09 18:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
具体的というか、リアル感をもって理解できる良書だと思います。希望という言葉の説明、解釈、内容などなど。
本文中には光るワードやセンテンスがあちこちにちりばめられていて、脳裏に焼き付けながら読み進めていました。一つ挙げると、絶望の反対は希望、ではなくユーモアである、です。なかなか興味深かったです。
今の世の中で希望を持つ事は難しいとか大変だと言われがちですが、本書を読めば、希望というものの大切さ(尊さ)、そして希望という概念をもっと深く理解できると思います。
紙の本
「希望」とは何か?そこから始めることで見えてくる現状打破の糸口
2011/01/23 14:34
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る
「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」。本書を紹介する時に多くの人が触れるであろう、村上龍さんの「希望の国のエクソダス」のこのセリフから私も始めたい。このセリフは本書の中でも何度か引用され、本書の著者がまとめた「希望学」という本には、村上龍さんが推薦文を寄せている。
「希望の国のエクソダス」の刊行は2000年。それから10年余を経ても状況は一向に好転しないことは周知の通りだ。ただ私は思うのだけれど、あまりにスッキリと「希望がない」と言われて、私たちは納得してそれを受け入れてしまったのではないだろうか。そして逆にこの言葉に縛られて気持ちを切り替えられないまま10年を過ごしてしまったのではないか、と。
この国にはほんとうに「希望がない」のか?よく分からないのに「希望がない」という滅々とした言葉を心に満たしていると、前に向いて進む力をそがれる。そのことこそが今の閉塞感の源なのではないか?だから「そもそも希望とは何なのか?」こんなことを真正面から考える、著者が続けている「希望学」研究は、今こそ必要とされているものかもしれない。
前置きが長くなったが本書について。「希望とは何か?」「夢、幸福、安心との違いは?」「希望についての人びとの考えは?」といったことを、「希望学」研究で得たアンケートやフィールドワークの結果から解き明かしていく前半は、とても良かった。
一端を紹介すると「希望」とは、「a Wish for something to Come True by Action」だとする。日本語にすると「行動によって何かを実現しようとする気持ち」とでもなろうか。つまり「希望」には、「気持ち」「何か」「実現」「行動」の四つの要素が必要。「希望がない」のは、この四つのどれか1つまたは複数が足りないからで、ならばそれを補えば「希望」は生まれるはず。机上論と一蹴するのは簡単だが、「希望」がないと思っている人が「希望」を求めるための糸口にはなるはずだ。
また調査からは、20代から50代の78.3%が「希望がある」と答えている。そのうちの80.7%、全体の63.2%の人が「その希望が実現できる」と答えている。これを多いと見るのは楽観的かもしれないが、この国では、半分を大きく超える人に「(実現可能な)希望がある」のだ。
後半は、「希望」を持つために、「こうしたらいい、ああしたらいい」と書いてくれている。帯に「壁にぶつかっている人へ希望学がおくるリアルでしなやかなヒント」とあるし、切実に求められているのはこうしたことに違いない。だから、これに応えようとしたのだろう。
しかし、大変失礼だけれど、どこかで聞いたようなことばかりで、研究の成果として得た知見なのかどうかもはっきりとしない。著者が提示してくれる「こうしたらいい」の何十ページよりも、「試練はどうしたら乗り越えられるか?」という問いの答えとして、フィールドワークで得た「三人、分かってくれる人がいたら大丈夫だから。」という釜石の男性の一言の方が重みがあるのは、何とも皮肉なことだ。
いやいや、この言葉を掘り起こしたのも「希望学」の成果だ。それに、研究の第一段階は「対象をよく観察して、その特徴や構造を明らかにすること」。「その対象を操作したり利用したりできること」は別の段階で、日の浅い「希望学」はまだそこまで行っていない。「こうしたらいい」は、今後の発展に期待すべきなのだろう。
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「希望学」の分量にやや躊躇していたところに、そのエッセンスを新書で読めるならと思って手に取った
過去の著書でも感じたが、著者のやや熱苦しいまでの思いが感じられる本である。
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希望は与えられるものでは、なく作るもの
絶望の中にあるユーモア
ゆるやかな信頼関係で繋がる仲間
アンテナを張る必要性
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周知のことを「学」にするのは難しいと思う。案内書として読んだけれど、もっと深く知ろうという興味は湧いてこなかった。
それだけ自分が現在に満足しているということだろうか。
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一歩間違うとあやしい自己啓発本っぽいタイトルですが、もっと客観的で論理的で、でもあったかい。
幸福は安定から生まれる。希望は変化から生まれる。
このフレーズに涙が出そうになった。当分私の希望はこの言葉。
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どの年代の人にもタメになるはず。地域復興・学校関係・社会人など、様々な視点から「希望」を解説しているので誰にとっても身近に感じられると思う。
具体例もたくさんあって、分かりやすいし読みやすい。あとがきには主張が分かりやすくまとめられているので、評論(?)が苦手な人はあらすじから読むのも手だと思います!
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自己啓発本にはいささか食傷気味であるが、この本は違う。
社会学における希望学を平易に解説している新書だ。
学的根拠があるから、ただある種の著者の主観やプラス思考・ポジティブシンキングを説いたものとは趣が異なる。
最初は逆説的に宗教の視点から入り、仏教の理想は希望を持たずに生きれるのならそれに越したことはないという。キリスト教はその逆で未来の希望を持つことを推奨する宗教だ。
厳しい現実を受け止めることで、変化を期待する希望が生まれる。
希望とは何かということを解すと以下の英文になる。適宜( )内を除いてみると視点が変わるのがいいと思う。
(Scial) Hope is a Wish for Something to Come True by Action (Each Other(s)). something は自分にとって重要な何かでいい。
継続を求める幸福と変化を期待する希望は密接な関係がある。
ウィーク・タイズweak ties という「緩やかな関係」を他者と持てば、お互いの環境を壊さずにヒントや「希望の発見」が得られることがある。まさに今年はそれを最も実感した期間で、メンターとはまた違う助言者のおかげで今日があると感じている。共感してほしいところで共感し合える仲間は意外にも少ないものだ。
人生を物語として考えることも改めて大切だと思った。いろいろな挫折・つらかった経験により希望がなくなっても、そのときに希望を自ら修正できれば、やりがいとなり物語性が生まれると筆者は言う。嫌でつらい期間は一刻も早く終わってほしいのだが・・・。今は努力しなくても結果や評価は同じかそれ以上だったりする。すなわちそれは努力すべき対象に希望が見いだせていない状況といえる。しかしそれは我が人生の物語を紡ぐ上で、須要なことと解釈するしかない。
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希望のヒントはいっぱいもらったが、余計にどうしていいか分からなくなった感もある。がそれでもよくて普通に考えたり、普通に行動すれば何とかなりそうだっていうことを感じさせてくれる本。
希望を取り巻く重要ポイントの一つが、可能性、関係性と並び物語性であることで、人に何か伝わる、伝えるということには物語性が大きな役割を果たすことを改めて認識した。
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期待して読み始めたが、第3章で終了とした。希望学という学問の世界の取り組みの紹介で、学際的学問ということもあり内容的には深みがなく、領域としても意外と広がりが感じられなかった。
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第1章 希望とは何か
第2章 希望はなぜ失われたのか
第3章 希望という物語
第4章 希望を取り戻せ
おわりに―希望をつくる八つのヒント
本書にも繰り返し引用される「希望の国のエクソダス」に、「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが希望だけがない」という印象的な台詞が出てくる。この台詞ほどには同書は印象的ではないのだが、それはとにかくこの台詞に対して強烈な違和感を私は感じつつ、その違和感をどう言語化してよいのかわからなかった。
これで、言える。
あの台詞のどこが間違っているかを。
著者は希望をこう定義する。
Hope is a Wish for Something to Come True by Action.
[希望]とは、「行動によって][現実化する][何か]である。
そう。行動によって現実化する何か。
だとしたら何もせずともそこに転がっている何かは、何であれ希望ではないことになる。
希望は、あったりなかったりするものじゃない。
作ったり作らなかったりするものなんだ。
なぜ日本で希望が成り立ちにくい--あるいはそう感じる--のかも、これでわかる。
他の国では希望せねば手に入らぬものが、すでにそこにあるからだ。
ものによっては「希望された国」で成就したものすら、日本の方が簡単に手に入ったりする。YouTubeもiPhoneも、希望された国よりも「希望のない」日本の方が遥かに快適に使える。まだかの国では希望せねば手に入らないことも多いブロードバンドが、すでにあるからだ。
その一方で、日本は正義の名の元に「とりあえず」「不可解な希望」を潰していることもよく見受けられる。今年を振り返っただけでもlibrahackに青少年育成条例…。この10年(decade)を振り返ればライブドア事件にWinny裁判…。
しかしこれらの事件は、希望の芽が摘まれた事件であると同時に希望の芽が芽生えた事件でもある。行動した者が次の行動に出たからだ。こういう動きは以前ならば考えられなかった。
むしろ希望とは麦のごとく、踏まれることによってより強く育つものかも知れない。中国人に言わせれば、日本人に生まれたのはイージーモード選択の結果だそうだし。
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「希望を持つということ」について平易な文章で書かれた本。読んでみて、正直そうそう!と同調する気持ちと悔しい気持ちの両方を感じちゃったなぁ。
なぜ悔しいか?
それは自分が考えててこれからやりたいなって考えてること、そして自分が大切だと思ている考えや価値観がスラスラ書かれていたから。
もちろん、決してネガティブな意味での悔しさじゃなく、僕自身もっと考えを深めたい(深めなあかんな)と思ったと同時に、まずやってみようの精神で、自分なりに今考えていることを形にしてみようと思わせてくれた気がする。
あとがきに希望をつくる8つのヒントが書かれてあるので興味ある人は、まずその部分だけでも一読を。
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p213からの「おわりに」だけ読んでもよかったような。。あと、よい人間関係を持ってる人は、希望を持ってるのかなと思いました.。*.。.。*.。
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ハンズオン!さいたまのニュースレターで紹介されていたので、手にとった。ただその後震災があり、しばらく手に取るのをためらわれた。
いわゆる自己啓発本ではなく、様々な視点やフィールドワークから希望とは何かをわかりやすく書いた本だった。著者が雇用問題など経済の専門家であるところもあり、面白く読めた。
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希望がないので読んでみた。
希望がない現状に不満なこと自体が、まだましなのかもと思えたのでいかった。