男女10人の視点が交互に入れ替わる男対女といった長嶋有氏の興味深い短篇集です!
2020/06/21 10:33
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『サイドカーに犬』(文学界新人賞)、『猛スピードで母は』(芥川賞)、『夕子ちゃんの近道』(大江健三郎賞)と数々の名作を発表してこられた長嶋有氏の作品です。長嶋氏は作家としてのほか、漫画家、俳人としても活躍されており、同氏の作品は、登場人物が何気ない日常を送る姿をテーマに、実在の固有名詞を作中に散りばめるなど細部にこだわった作風で知られています。同書もその例外にもれず、視点が男女交互に入れ替わり、女主人公5人と男主人公5人の紅白歌合戦のような短編小説集です。ぜひ、一度、読んでみてください。
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後に収録されている表題作「祝福」まで
何を読めばいいのかがつかめない短編集。
タイトルが祝福だから、
祝ったり、祝われたり、祝わなかったりするのかと思っていたけれど。
あちこちの雑誌に書いていたものを集めたものみたい。
そして長嶋さんの他作品の後日談というかスピンオフ的なものも多数。
長嶋作品はある程度読んでいるけれど、
登場人物までは覚えていないので、
イマイチ楽しみ切れなかった。
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「ファットスプレッド」の、私たちは仲がいいよな、と思う気持ちも、それでもときどきひやりと背中を風が通るような気持ちがあることも、ああ知ってる、と思う。知られている、とも。この話が「祝福」っていう本に入っていることと、最後のTシャツのFINEの文字に、なんだか惑わされるような気持ちになりながら、これはまたそのうち読み返すだろうなあと思う。長嶋有の小説は、私の暮らしの手の届くところにいつもある、置いておきたいイメージ。それがきっと好きってことなんだよねー。
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今日なにしたんだろうとか
あぁ今日もとるにたらない一日だったな
って
自分なにしてるんだろ、って落ち込んでた時に
ちょっと立ち読みして、買っちゃった。
わたしが今日一日を生きたことは
一日ぼんやり考えてたことは
ちょっとくすっと笑えたり
意外と大事件だったり
なんだかキラキラした素敵なことだと思わせてくれる
良い本でした。
ありがとう。
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日常の些細な揺れみたいなのをとらえるのが、相変わらず上手だなぁと感心してしまう。
けれども、昔の作品に比べて、少し素朴さみたいなのがなくなってきたっていうか、狙いすぎたような台詞が増えてきたような気がするというか。
そろそろ決め文句みたいなのが来るかな?と思うタイミングで、やっぱりそれがくる。
それがくる頻度が昔より多い気がするのは、気のせい?
嫌じゃないんだけど、狙い過ぎ、というか。。。
あるいは、まったく逆で、昔の自分がそれを感じる力がなかっただけなのかもしれないし。
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どう分類したらよいのか毎度悩む長嶋節、炸裂。
それでも何度も読み直してしまう。
女心の機微、これほどまでに分かられてしまうのはくすぐったい。
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「ジャージの二人」「ぼくは落ち着きがない」のスピンオフが収録されているということで買ってみた。
それも良かったけれどやっぱり他のも良かった。
生活のテンポや波長が私とよく合っているような気がして嬉しくなる。
「海の男」の主人公は私だし「山根と六郎」の六郎も私だ。
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日常の出来事を感情の抑揚がなさ過ぎるだろうと突っ込みたくなるほど淡々と描いた短編集。
実は他の長編と微妙にリンクしているのだと解説を読んで知ったけど、そこまで記憶していなかったので、特に感慨があるわけでもなく…
幾つかの短編は登場人物にまったく共感できないというより、むしろ反感を持ってしまう内容だった。
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どのシーンもよかったな。短編集だけど、シーンって感じ。銀行強盗されてる間に余所事を考えちゃう女の人は津村記久子で想像してた。ちょっとつまらないなと思って同時読みしてた頃だったから。ぴったりだった。
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2003年〜2010年に各誌で発表された短編を集めた一冊。それぞれに共通のテーマや関連はないが、どれをとっても長嶋節という感じ。
穏やかならぬ展開を見せる作品も中にはあるものの、日常の他愛ない場面を切り取って、誰しもが心にちょっとだけ引っかかっている感情を呼び起こすテイストが通底している。
PHS、オザケンの『LIFE』を録音したMD、木村カエラの『sakusaku』、「四角いニカクがまあるくおさめる」やつ、などスマホ前時代の風物がちょっと懐かしい。
さらには、浅香唯の『セシル』や夕方の『特捜最前線』再放送など、作者と同い年の自分からするとノスタルジーも甚だ。
高校時代の不良との甘塩っぱい思い出をクールかつエモーショナルに描く『マラソンをさぼる』と、非日常シチュエーションに似つかわしくない由無し事がつい頭に浮かんでしまう女性主人公のアンビバレントさが面白い『噛みながら』が特に印象に残った。