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紙の本
寝取らせのダシにされた主人公
2015/09/27 15:59
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投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
竹書房文庫からの通算3作目は隠微な山村を舞台にしたミステリアスな風習をベースに、訳あって都会から呼び出された主人公(27歳)という「余所者」がミステリアスな官能世界をまざまざと見せつけられる作品と言える。物語の主人公とは別に作中世界を牛耳る影の支配者がでんと構えていて、後にして思えば手のひらの上で弄ばれていた印象にもなるために、描かれる官能的な趣向とも合わせて読み手を選ぶ作品かもしれない。
その支配者が何をしているかと言うと、つまりは寝取らせである。しかも、寝取らせておいてから後に寝取ることでさらなる満足を得るタチの悪さがあり、主人公からすれば寝取られが仕組まれていたことになる後味の悪さとなる。そして、そんな支配者の自己満足的状況を受け入れるなら村の(表向きの)長として富を得ることができて、なおかつ支配者のお手付きで心も奪われている(表向きは正統な家柄の)娘を娶ることができるという、「男のプライド」と目の前にぶら下げられた「富と欲」との天秤を突きつけられる格好の主人公である。
ただ、こうした状況が代々続く中にあっても過去には抗った男もいることが多少の救いになっていて、「富と欲」に一度は目が眩みかけた主人公もまた最後は純愛の「お持ち帰り」によって若干ながら一矢報いたような形の結末になっている。汚れた世界を描きながら、それとは別の超えたところにピュアなもう一つの世界を織り交ぜる手法は『籠絡-欲望の裏階段』(双葉文庫)でも見られたスタイルと言えよう。
花嫁候補は31歳の妖艶な長女(出奔した叔父の妻)に27歳のお嬢様風な次女と20歳で勝気な三女の3姉妹であり、それぞれに魅力を放ちながら淫猥な官能美を振り撒くが、実態を知ってしまうと途端に萎えてしまったのが個人的には残念だった。支配者の側に回れば官能場面も描写もしっかりあるので楽しめるかもしれないが、果たしてそのような読み方ができるか?との疑問が残る。詰まるところ、読み手の性癖(好みと相性)に因ると言うしかなかろう。
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