紙の本
沖縄を撃つのではなく、沖縄を美化する者を撃つ!虐げられた者への共感を吐露。
2016/02/08 17:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雪風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな過激な沖縄本がかつてあっただろうか。沖縄をこころから愛する芥川賞作家による沖縄紀行である。グルメもあれば、観光地もでてくる。けれど、そんなものはこの本をなるべく無難のものにしようとする筆者の隠れ蓑である。
彼は沖縄は普通の場所で、普通の人が住んでいることを強調する。そして、沖縄人はみんないい人だとか、沖縄には差別がないとか、沖縄をユートピア視するヤマト人を差別主義者だと糾弾する。
彼の主張は最後の「ヤマトをぶち殺せ!」という言葉に集約されている。沖縄人はヤマトによって「いい人」にされている。飼いならされている。民主主義で基地問題は解決しない。ヤマトを憎み、怒りを持続させよ。言葉ではなく情念でヤマトに本音をぶつけろ!
登場するのは、アメラジアン、売春婦、ホームレス…。抑圧され差別されている弱者への強い連携と共感をベースに、ヤマトや沖縄のインテリを糾弾している。
沖縄への見方が一変する、刺激的な本だ。
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タイトルや帯に書いてる程の毒、吐いてへんやん!
移住したがる若者への説教かと思いお言葉を頂こうと思って買ったものの、たいした文句もありません。もっと怒られたかったのに。残念や。
花村流の食&下半身的な沖縄ガイドってとこかな。
別に何も沖縄を撃ってません。
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笠原書店で買ってきました。初めての萬月さんでしたが、冒頭はわざと偽悪的に書き散らしていますが、本来真面目な性格と見えて、だんだん文体が整ってくるのが面白かった。沖繩を撃つというより沖縄に喝!という内容。萬月か沖縄が好きな人は読んでおいても良い。読まなくても良い。
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萬月にしてはだいぶ投げやりな文章。
人間嫌いなところには共感。
経験至上主義だが、薀蓄がすごいんだよな、この人は‥
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[ 内容 ]
作家・花村萬月が、日本人と沖縄人の共犯関係で出来上がった「癒しの島」幻想を徹底的に解体しながら、既存のイメージとはまったく違った沖縄の姿を克明に描き出す。
日本人であることの加害者性を露悪的なまでに引き受けたその眼差しは、南の島を過剰に持ち上げたり、そこに逃避したりする日本人と、純朴な仮面を自ら進んで被ろうとする沖縄人に対しても、等しく冷淡であり、かつ挑発的である。
二〇年以上にわたって沖縄取材を繰り広げてきた小説家による、もっとも苛烈で真摯な沖縄論。
[ 目次 ]
さあ、飛行機に乗ろう
ドリフト、ドリドリ、瀬長島
飯でも喰うか
悲しき人買い
宮良康正
必ず、行きなさい
ゆっくりしましょう
看板の左下には海星が
水死体倶楽部
波之上でアウトドア・ライフ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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こんな過激な沖縄本がかつてあっただろうか。沖縄をこころから愛する芥川賞作家による沖縄紀行である。グルメもあれば、観光地もでてくる。けれど、そんなものはこの本をなるべく無難のものにしようとする筆者の隠れ蓑である。
彼は沖縄は普通の場所で、普通の人が住んでいることを強調する。そして、沖縄人はみんないい人だとか、沖縄には差別がないとか、沖縄をユートピア視するヤマト人を差別主義者だと糾弾する。
彼の主張は最後の「ヤマトをぶち殺せ!」という言葉に集約されている。沖縄人はヤマトによって「いい人」にされている。飼いならされている。民主主義で基地問題は解決しない。ヤマトを憎み、怒りを持続させよ。言葉ではなく情念でヤマトに本音をぶつけろ!
登場するのは、アメラジアン、売春婦、ホームレス…。抑圧され差別されている弱者への強い連携と共感をベースに、ヤマトや沖縄のインテリを糾弾している。
沖縄への見方が一変する、刺激的な本だ。
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この春に沖縄に3週間ほど行った。沖縄はいい所であったのだけど、政治経済においては、かなり批判的な思いを抱いた。
政治経済に対する批判が、基地や戦争に直結するところが沖縄の沖縄たる所以であるのだが、それだけに、「批判的検討」を前面に出す著者のスタイルには、期待した。扉カバーの惹句によれば、
「作家・花村萬月が、日本人と沖縄人の共犯関係で出来あがった「癒しの島」幻想を徹底的に解体しながら、既存のイメージとはまったく違った沖縄の姿を克明に描き出す。」
のだそうだ。すばらしい。
だけど中身は羊頭狗肉だった。
後半になるに従ってヘナヘナになっていった。
ツッコミ甘いよ。
共犯関係そのものじゃん。
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「良心的」とされる大和の人びとが沖縄に見いだそうとする幻想を解体し、著者が体当たりで沖縄の実態に迫っていった記録ともいうべき本です。
「沖縄を撃つ!」と題された本書で、著者は沖縄に暮らす人びとへの批判的な言葉も率直に語ります。しかしそれは、これもまた大和の人びとの一部によく見られる、沖縄の地域エゴイズムに対する紋切り型の批判とははっきり異なっています。沖縄の人びとが目を背けてしまいがちな不都合な真実を、著者がみずからの舌と下半身に刻み付けていった実体験が記されています。
少し過剰に露悪的な振舞いをしているように感じてしまったのも事実ですが、ここまで降りてしまえば人間は皆同じだとでもいうような著者の率直なスタンスには敬意を表したいと思います。むろん、これは沖縄に固有の問題ではないので、著者の人間観に対する共感ということになるのですが。
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評価の難しい作品です。沖縄と沖縄県人をぶった斬っている割にはどこかしに「所詮、やまとぅんちゅの視点だから」という逃げ道を用意し、断定口調でありながらあくまでも個人的体験談の域から出ていないという面映ゆい内容です。だからといって、面白くないわけでもなく、特に「悲しき人買い」での無垢な少女を愛玩動物に例えて抱いた話は個人的体験からしか出てこない哀しい話で胸が痛みました。本書は2007年発行ですので、今から14年前・・沖縄では多くの本屋で「沖縄コーナー」が設置されていますが、本書だけは古本屋でしか見つけられませんでした。
作家・花村萬月が、日本人と沖縄人の共犯関係で出来上がった「癒しの島」幻想を徹底的に解体しながら、既存のイメージとはまったく違った沖縄の姿を克明に描き出す。日本人であることの加害者性を露悪的なまでに引き受けたその眼差しは、南の島を過剰に持ち上げたり、そこに逃避したりする日本人と、純朴な仮面を自ら進んで被ろうとする沖縄人に対しても、等しく冷淡であり、かつ挑発的である。二〇年以上にわたって沖縄取材を繰り広げてきた小説家による、もっとも苛烈で真摯な沖縄論。(本書PR)