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直木賞受賞作『何者』のアナザーストーリー6編を収録。『何者』を読んでいれば、光太郎の忘れられない人とは誰なのか、理香と隆良はどうやって出会ったのか、などがわかって一層面白いが、『何者』を読んでいなくても十分楽しめると思う。浅井リョウはほんとに、ちょっと心に闇を抱えている人間の内面を抉り出すのが上手い。
「それでは二人組を作ってください」が、特に心に刺さった。認めたくはないが、理香のこういう心理はわかる気がする。人に心を開くことについて酷く不器用なのだ。
「水曜日の南階段はきれい」は、短編小説として、心が洗われる非常に良い話だと感じた。
「何様」に出てくる、「一瞬の本気」というのが心に響いた。ちょっと前向きになれる話。
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いろんなレベルでの日常
印象は全体でプラマイゼロというところか。
全然別の話の様で、実はうっすらつながっているのか。
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『何者』の続編。最後に収録された表題作が一番ぐっと来た。否応無く何かの役割にはめ込まれていく社会という枠組みの中で、追いつけなくて無理やり何かを演じる過渡期の感覚をすごく丁寧に、でもドライに描いている。ドライに、というのがポイントで、これが情感を前面に押し出して来るやり方だったら多分読めなかったと思う。
本当はあえて物語にすることではないような風景をきちんと中身のある作品に出来るってすごいと思う。
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『何者』に登場する人物のアナザーストーリーに関する話。
おちゃらけ担当の光太郎、意識高い系女子の里香、朝井君の著書『何者』の中で描かれていた人物が“そうなる、ならざる得なかった”背景が書かれていた。光太郎の中にもシリアスな一面もあるし、里香の中にも意識低い系の自分がいて、表面に現れるのはその中の一部分なのだということ。本音と建前の自分を書いていて、あるあると思うところ、それは考えすぎでしょとツッコミを入れるところがあり、面白かったです。最後の章の何様ですが、就活はもっと気楽にできればいいなと思いました。
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生きていくこと、それは、
何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。
光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる。
今秋映画公開予定『何者』アナザーストーリー集。
光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。
理香と隆良はどんなふうに出会って暮らし始めたのか。
瑞月の両親には何があったのか。拓人を落とした面接官の今は。
立場の違うそれぞれの人物が織り成す、`就活'の枠を超えた人生の現実。
直木賞受賞作『何者』から3年。いま、朝井リョウのまなざしの先に見えているものは――。
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『何者』のアナザーストーリーなので、もちろん読んでいれば、あちこちになるほどと思えることが出てきて、何者の登場人物たちのキャラクタがより補完され、深く知ることができる。だが、本作単体でも充分に読み応えがある。人が抱える己の不充分さや未熟さ、それでも何事かを成しながら生きていかなければならないという葛藤の中で、より自らの内面を見つめ、他者の救いを求めるのかもしれない。著者の人間観察の充実ぶりに驚かされる一冊でもある。
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「何者」が映画化されて、何様はその続きだが、本は短篇集~「水曜日の南階段はきれい」高校卒業間近な光太郎は御山大で音楽サークルに入るのが目標で、ゲリラライブを仕掛けるが、担任に止められる。英作文が決め手になると踏んで、同級生で図書室で勉強している夕子に近付くが、時々詩を書くために上がってくる踊り場は彼女が水曜日に掃除しているのを知っていた。彼女は自由に表紙をデザインできる文集の交換を申し出て、それが手元に届いた卒業式の日、金曜のゲリラライブを上から覗くためのカモフラージュで金曜にガラス磨きを始め、それを誤魔化すために階段を水曜日に掃いていたこと、アメリカに留学することが書かれていた。「それでは二人組を作ってください」理香は留学経験もあり姉と部屋をシェアしているが、近々彼と住むために部屋を出て行く予定なので、ルームメートを見つけることが急務だ。同級の朋美はテレビのシェアハウスものに見せられていてお洒落な部屋に憧れているようだから、インテリアで雰囲気を見せれば乗ってくるのではないか。インテリアショップに行き店員に組み立てて貰ったり、その店にない小物を一緒に探す内に仲良くなり、朋美がテレビの裏音声の方で文句を言っているのが気に入っているだと知り、その店員にシェアを申し入れる。「逆算」鉄道会社の不動産部門に勤める松本有季は高校時代付き合っていた男に良心がクリスマスの乗りで出来たこどもなんだと言われたのが心に引っ掛かっている。自分も26歳のクリスマスまでには運命的な出会いをして、将来が決まっているのじゃないかと脅迫されるが、クリスマスは目前。同僚の結婚相手の男友達と再現ビデオを作りに行ったディズニーランドで、眩暈を起こして倒れ介抱を受けている時、クリスマスなら9月5日と言われた。君の誕生日から逆算すると2月1日、それは6歳年上のタレントをやっている従姉のデビューの日だった。「きみだけの絶対」高校生の章寛は花奈という彼女と初体験を済ましていて、母と娘の家で二人きりの時間が待ち遠しい。母の弟は表現者で、雑誌にインタビュー記事が載り、母も取材を受け、関係者席を弟に用意した癖に見に行けないと、二人に押しつけた。彼女は何かを感じたらしいが、被災地で元気をなくしている人に見て欲しいという叔父の言葉に、むなしさを感じる。本当に困っている人は、此処に来る余裕もないんだ!「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」就活セミナーや企業の研修のマナー講師をやっている正美は、三つ年下で問題児だった妹の栄子と違い、優等生で通し、地元の国立大・地元の企業に勤め、妹が怒哀を両親に与えるなら、自分は喜楽を与えるのだと思っていたが、通り魔がむしゃくしゃしてやったと語っているとテレビで聞き、自分の講座を元ヤンが掠っていくのにイライラしていた。偶々出会った中年男性は夫が浮気をしているんじゃないかと妄想に取り憑かれて疲れている。偶々、男性の後輩の会社員に携帯を貸して、その履歴を見た妻が家を出奔した。「何者」IT会社に拾われた克宏は驚いたことに人事部に配属になり、チーフの武田の許で初めての面接に臨むが、去年の自分の面接がチーフのデビューだったと先輩の君島に聞かされている場所は喫煙所で、差し出されたタバコに手を出さなかったのは、同棲している彼女の妊娠が判明したからだった~短篇集って言うんだろうか? まあ短篇かな? 長編じゃないから? 賞を獲った作品なら一つで単行本化されるね。意外な展開で面白かったが、微妙に1話目と2話目が繋がりそうなので連作かと思ったら、そうでもなく、彼が女でないことははっきりしているから、便秘に悩むなど・よく女の立場で書いたなぁと関心もしたり
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光太郎の話にすごくほっこりしたしわたしもこういう男の子女の子になれたら…!って思った!あと二人組をつくって〜の話はあるあるすぎて、よく女子の仲良しグループとかを同世代の男の人が理解してるなすごいなあと感心した…あとの話はなんとなくその前に読んだ何者が衝撃的すぎてそんなに印象に残らなかった…!
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「何者」のスピンオフ短編集。
登場人物たちの前日譚的なものだったり、もっと遠い人たちのエピソードだったりなので、あんまり「何者」の続編って思って読まないほうがいいと思う。
シューカツのはなしが最後にあるので、それっぽい仕上がりではありますが。
相変わらず、人間関係や自己表現においての隠された本音を描いているのに、エンターテイメントとしてもとても面白くて、そのへんが絶妙ですね。
この人なんか苦手とかちょっと嫌だなって思ってた人の見方を変えるととても人間らしくて一生懸命だったり、自分と似た者同士だったり、それも若さゆえではあるのだけど、そういうことにもっと気づけたらきっと楽に生きられるよね。
映画主題歌の「NANIMONO」聴きながら読むとよい感じです。
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最年少直木賞作家、朝井リョウ「何者」のアナザーストーリー。
短編6編
○水曜日の南階段はきれい kotaro
光太郎 高3
○それでは二人組を作ってください rika&takayoshi
理香と隆良の出会いの物語
・逆算 SAWATARI
何でもかんでも、とある!逆算をしてしまう松本有季(初登場)
その有季を救う?沢先輩
・きみだけの絶対 GINJI
烏丸ギンジ。劇作家。26歳。御山大中退。
おじさんが何か差し出すことができているとして、
その相手は土日にきちんと自分の時間を持つことができて
この舞台を観に行くというお金と体の使い方ができる
本当にごく一部の人だけだ。
○むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった Mr.TANABE
田名部瑞月の父親
「昔遊んでた人のほうが、人生分かったような気になるのって」
まじめな生徒会長にひたすらずっと「校則は守りましょう」
って言われてるみたいだってさ。
○何様
松居克弘 社会人4ケ月目 IT企業の人事部所属
誠実さ。
当事者。
本気の一秒。
(ある事をきっかけに)別人にならなければいけないのではないかと。。。。
どのストーリーも深い。そして切ない。
「それでは二人組を作ってください」
大勢の飲み会が苦手な私。
人数が多い飲み会だと必ず何人かのグループに分かれての盛り上がりとなる。
そのグループ別れが苦手な私の感じに似ている。
(学図)
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2016.11.13.何者の周辺の人達を描いたサイドストーリー。若いなあ…と思った。若い人を描いた小説でも大変共感できるものもあり、そうでないものもあり。これは後者だった。この人はなんで女性の内面を描いた作品を書きたいと思うんだろう。この作品のなかで女性が主人公の作品はあまりに陳腐。分からないことは書かない方がいいのではないかと思う。
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『何者』のアナザーストーリーで6編の短編集。『何者』はラストの衝撃が強すぎて細かには覚えていなかったが、それでも楽しむことができた。全編通して『何者』の衝撃がチラつき、心を抉られるような、針でチクチク刺されるような感覚になりながらも、「水曜日の南階段はきれい」や「逆算」のような読後感が優しい作品もあり。光太郎の初恋や出版社に入りたかった謎が解けてスッキリ。タイトルにもなっている「何様」では、ほんの一瞬でも誠実・本気であることの大切さが説かれていたように思う。『何者』再読しようかな。
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読書日数 16日
映画化にもなった「何者」のアナザーストーリー6話が入った短編集。
以前に読んだ「何者」からだいぶ時間が経過している中で読んだため、あまりそういった感じの印象はなかった。
ただ、筆者特有の観点というか「人間の深層心理」をこんな感じで見てるんだということが前作同様、分かった気がした。
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スルスルと読み進めてしまう。おもしろかった。
材料となる一つ一つのシーンは平凡でつまらない日常なのに読み進めたくなる。朝井さんは何気ない日常を「今風」エンターテイメントに変えてしまう。そう感じる。言葉の表現、粒、リズムが何気ないけど実はかなり意図的で絶妙。初めて朝井さん作品を読んだときから、文章のセンスがすごいなと思ったけど、本作品は更にパワーアップしてる感じがした。わざとらしさが少なくなってる=共感できることが多くなってる。
特に一番最後の章「何様」はすごく共感した。「あーそれな!あるある!」て感じで。メッセージ性がすごい。まさに「今風」を見事に表現してた。
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『何者』のエピソード0か。
すでに遠くに来てしまった私に、熱量を保ち続けよ、と奮い立たせてくれる。
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就活を描いた「何者」の続編「何様」を含む短編集。
一番最初の「水曜日の南階段はきれい」は出色だったと思う。卒業間近の高校生を描いた作品で、「瑞々しい」という表現がぴったり。数年前まで高校生だった著者だからこそ描ける独壇場。冬の終わりの校舎を思い出した。
それ以外は、朝井リョウの特徴でもあるヒリヒリと痛い作品が多かった。
直視したくない自分の欠点、ふと気付いてしまう大好きな人とのズレ、傷付け傷付けられる主人公。人との関係はいつも脆くて不確実で思い通りにならない。
「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」という作品で主人公が感じる、「昔やんちゃしてたからこそ人の心を掴むことができ、またそれを誇りに感じている人々」に対する違和感、尾崎豊の歌詞に共感できない私にはよーく分かった。