投稿元:
レビューを見る
決められた物語が進行する。物語の人たちは逆らわずに行動する。短編集だからいいけど。手紙を書くだけ、とか、出かけようと思ったけど迷ってるうちに寝る時間、とか、そういう話が好きなんだけど、物語の人たちは、そんなふうにページを無駄に使わなくて感心する。
投稿元:
レビューを見る
+++
生きていくこと、それは、
何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。
光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる。
今秋映画公開予定『何者』アナザーストーリー集。
光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。
理香と隆良はどんなふうに出会って暮らし始めたのか。
瑞月の両親には何があったのか。拓人を落とした面接官の今は。
立場の違うそれぞれの人物が織り成す、`就活'の枠を超えた人生の現実。
直木賞受賞作『何者』から3年。いま、朝井リョウのまなざしの先に見えているものは――。
+++
『何者』のアナザーストーリーなので、もちろん読んでいれば、あちこちになるほどと思えることが出てきて、何者の登場人物たちのキャラクタがより補完され、深く知ることができる。だが、本作単体でも充分に読み応えがある。人が抱える己の不充分さや未熟さ、それでも何事かを成しながら生きていかなければならないという葛藤の中で、より自らの内面を見つめ、他者の救いを求めるのかもしれない。著者の人間観察の充実ぶりに驚かされる一冊でもある。
投稿元:
レビューを見る
私が忘れてしまった繊細な躓きをエッジをきかせて掘り出されたような小説。
個人的に「むしゃくしゃしたからやったと言いたかった」が好きです。
小説家さんに限らず実年齢より上の世代のことはわからんよね。
若い人は若い人にしか見えないことを書いてくれたらそれで十分です。
投稿元:
レビューを見る
何様って、米津玄師が主題歌歌ってた映画だぁ。と、思って読んだのですが、それは何者でした。
何者のスピンオフ作品みたいで、なんというか、自分を騙して自分を作っていたり、自分はこうでないとと思っていたけど、それって本当にそうなの?と、言われているような。
自分のことを自分が一番よく知っているはずなのだけど、その自分に、「何様?」と、言いたくなるような、そんな感じを受けました。
それにしても、逆算の最後はびっくり。私、9月16日生まれなので。
投稿元:
レビューを見る
私はたぶん、朝井リョウという作家がとても好きなんだと思う。
紡ぐ物語が好きというのではなくて、
この人が持ってる人に向き合おうっていう覚悟みたいなものがとても好き。
そしてそれを、自分が必要としているときがあると感じる。
朝井リョウが書く人間は本当にフラットに人間で、かっこいいとかかっこ悪いとかもなくて、まるまるその人で、きっとこの小説に書かれていないその人物もまだまだあるんだろうと思う。
朝井リョウが覚悟として持っているのは、自分は人を勇気づけるために本を書いているってことだと私は思う。
その勇気づけを決してきれいごとにはしたくないっていう意思を感じる。
人の色んな所をみて、そんな中にもただひとつでも、信じられるコレはどうかなと差し出されているような気持ち。
主人公たちと同じようなことで悩んだりは決してしていなくても、
その差し出されたものに、確かに私は勇気づけられて、それで少し前に進む。
投稿元:
レビューを見る
「何者」が映画化されて、何様はその続きだが、本は短篇集~「水曜日の南階段はきれい」高校卒業間近な光太郎は御山大で音楽サークルに入るのが目標で、ゲリラライブを仕掛けるが、担任に止められる。英作文が決め手になると踏んで、同級生で図書室で勉強している夕子に近付くが、時々詩を書くために上がってくる踊り場は彼女が水曜日に掃除しているのを知っていた。彼女は自由に表紙をデザインできる文集の交換を申し出て、それが手元に届いた卒業式の日、金曜のゲリラライブを上から覗くためのカモフラージュで金曜にガラス磨きを始め、それを誤魔化すために階段を水曜日に掃いていたこと、アメリカに留学することが書かれていた。「それでは二人組を作ってください」理香は留学経験もあり姉と部屋をシェアしているが、近々彼と住むために部屋を出て行く予定なので、ルームメートを見つけることが急務だ。同級の朋美はテレビのシェアハウスものに見せられていてお洒落な部屋に憧れているようだから、インテリアで雰囲気を見せれば乗ってくるのではないか。インテリアショップに行き店員に組み立てて貰ったり、その店にない小物を一緒に探す内に仲良くなり、朋美がテレビの裏音声の方で文句を言っているのが気に入っているだと知り、その店員にシェアを申し入れる。「逆算」鉄道会社の不動産部門に勤める松本有季は高校時代付き合っていた男に良心がクリスマスの乗りで出来たこどもなんだと言われたのが心に引っ掛かっている。自分も26歳のクリスマスまでには運命的な出会いをして、将来が決まっているのじゃないかと脅迫されるが、クリスマスは目前。同僚の結婚相手の男友達と再現ビデオを作りに行ったディズニーランドで、眩暈を起こして倒れ介抱を受けている時、クリスマスなら9月5日と言われた。君の誕生日から逆算すると2月1日、それは6歳年上のタレントをやっている従姉のデビューの日だった。「きみだけの絶対」高校生の章寛は花奈という彼女と初体験を済ましていて、母と娘の家で二人きりの時間が待ち遠しい。母の弟は表現者で、雑誌にインタビュー記事が載り、母も取材を受け、関係者席を弟に用意した癖に見に行けないと、二人に押しつけた。彼女は何かを感じたらしいが、被災地で元気をなくしている人に見て欲しいという叔父の言葉に、むなしさを感じる。本当に困っている人は、此処に来る余裕もないんだ!「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」就活セミナーや企業の研修のマナー講師をやっている正美は、三つ年下で問題児だった妹の栄子と違い、優等生で通し、地元の国立大・地元の企業に勤め、妹が怒哀を両親に与えるなら、自分は喜楽を与えるのだと思っていたが、通り魔がむしゃくしゃしてやったと語っているとテレビで聞き、自分の講座を元ヤンが掠っていくのにイライラしていた。偶々出会った中年男性は夫が浮気をしているんじゃないかと妄想に取り憑かれて疲れている。偶々、男性の後輩の会社員に携帯を貸して、その履歴を見た妻が家を出奔した。「何者」IT会社に拾われた克宏は驚いたことに人事部に配属になり、チーフの武田の許で初めての面接に臨むが、去年の自分の面接がチーフのデビューだったと先輩の君島に聞かされている場所は喫煙所で、差し出されたタバコに手を出さなかったのは、同棲している彼女の妊娠が判明したからだった~短篇集って言うんだろうか? まあ短篇かな? 長編じゃないから? 賞を獲った作品なら一つで単行本化されるね。意外な展開で面白かったが、微妙に1話目と2話目が繋がりそうなので連作かと思ったら、そうでもなく、彼が女でないことははっきりしているから、便秘に悩むなど・よく女の立場で書いたなぁと関心もしたり
投稿元:
レビューを見る
『何者』のアナザーストーリー。短編集・全6編。
●水曜日の南階段はきれい ●それでは二人組を作ってください ●逆算 ●きみだけの絶対 ●むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった ●何様
何者を読んでからだいぶ経ってしまったので、主要メンバー以外のことはもう忘れかけており…。最初の2話以降は特に覚えてなくても差し支えなさそうでした。
朝井さんの描く若者たちはみんな自我が強くて人間の負の感情が多く、読んでいてずーんとします。なにかしらの圧力を感じます。
それでも最後はからっとした爽やかさがあるのだけど、今作はもやっとした部分も結構ありました。
「むしゃくしゃ~」は、まあ主人公の言いたいことはわかるけど・・・親に可愛がられたいってばっかりで親の誕生日すら忘れてて妹に嫉妬して自分しか見えてない、結局自分一番かわいいって人なんだなと。
自分から知ろうともしなかったくせに、そんなの言ってくれなかった、知らない聞いてないとひねくれる。
それで表題のようなこと言われてもあまり同情できません。
終わり方もなんだかすっきりしませんでした。こういう毒はあんまり好きではありません。
「それでは二人組~」は心の中で嗚咽あげてしまいました。こういう毒は好きです(ぇ
理香に幸あれ・・・。
投稿元:
レビューを見る
「何者」のスピンオフ6編。
「何者」の登場人物はすっかり忘れていたが、単独の短編集として読めた。
理香と隆良の出会いからルームシェアまでの話、理香の不器用な性格が良く現れていて面白かった。
(図書館)
投稿元:
レビューを見る
映画化された『何者』のアナザーストーリー。光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。 理香と隆良はどんなふうに出会って暮らし始めたのか。『何者』の登場人物たちの前日譚、後日談です。映画を見てから読んでもおもしろいです!!
投稿元:
レビューを見る
光太郎の話にすごくほっこりしたしわたしもこういう男の子女の子になれたら…!って思った!あと二人組をつくって〜の話はあるあるすぎて、よく女子の仲良しグループとかを同世代の男の人が理解してるなすごいなあと感心した…あとの話はなんとなくその前に読んだ何者が衝撃的すぎてそんなに印象に残らなかった…!
投稿元:
レビューを見る
スルスルと読み進めてしまう。おもしろかった。
材料となる一つ一つのシーンは平凡でつまらない日常なのに読み進めたくなる。朝井さんは何気ない日常を「今風」エンターテイメントに変えてしまう。そう感じる。言葉の表現、粒、リズムが何気ないけど実はかなり意図的で絶妙。初めて朝井さん作品を読んだときから、文章のセンスがすごいなと思ったけど、本作品は更にパワーアップしてる感じがした。わざとらしさが少なくなってる=共感できることが多くなってる。
特に一番最後の章「何様」はすごく共感した。「あーそれな!あるある!」て感じで。メッセージ性がすごい。まさに「今風」を見事に表現してた。
投稿元:
レビューを見る
先日(去年)、朝井リョウさんの「何様」を読みました。
「何者」のアナザー・ストーリーの短編集ですね。
青春小説だったり、仕事小説だったり、面接官側から描いた就職活動小説だったりと、「何者」に出てきた登場人物たちの過去を描いたり、また、「何者」に出てきた登場人物たちの周りの人たちを描くことによって、「何者」に出てきた登場人物たちがリンクしてきたりと、そんな短編集でした。
ただ、僕も以前、「何者」は読んだんですが、各キャラクターの設定など、忘れてしまっていて、あらためて調べ直して読んだので、「何者」とリンクしてる部分を、全て把握できてないと思うので、「何者」を読んでから、あまり間を空けずに読むといいかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
タイトルがすべて言い切っているなあ、と思った。他人への悪口のようでいて、ほとんどの大人が自分に対して心のどこかで思っている皮肉。何様なんだ、こんな資格が自分にあるのか、という不安。
人事という仕事は特にそれが他人からも分かりやすいかもしれないけれど、すべての職業がそうだよね。仕事として扱う内容に対して自信満々で詳しい人なんて社会人の一握りじゃないのかな。自分はこの仕事をやる資格があるのか、時に自分が嫌になりながら、不安を覚えながら、それでもまるで自信があるかのように振る舞う。だってそれが仕事だから。怖くったってそれがお金をもらっている大人だから。怯えながら、自信が持てないときなんてしょっちゅうありながら、目の前のお客さんや生徒や取引先に言い切る。自分の中の1パーセントでもある本当を、必死で差し出す。
すごく解る。本当はだって自信がないほうが傷つかないで済むし怖くない。でも必死で立ち向かっていくかっこわるい大人、嫌いじゃないです。社会人になって数年経って、転職もして、必死で足掻いてるのは偉い人も案外変わらないんだなと知って。これからも足掻いていきたいなって、素直に思えたから、わたしはあながち就活も捨てたもんじゃないなと。
投稿元:
レビューを見る
▪️何者を読んだばかりなので図書館で借りました。
キャラクターまだ覚えてるから単純に楽しい。
「逆算」がえ?誰の話?と思ってネットでググったらサワ先輩と知りあーネット便利って改めて思ったり笑
「逆算」「何様」が好きだなー何様はもうまさに。就活大変だったから人事は何を見てたの?って思うしそっち側にはならないなぁ笑
こちらの映像化も楽しみだな(何者の映像化されたのまだ見れてないけど)
投稿元:
レビューを見る
2021年3月26日読了。自分の成長の実感・あるべき姿・周囲からの期待との違和を感じる社会人たちの6つの物語。同著者の「何者」で就活に悩む登場人物たちとリンクした物語であるということに書評を見て気づいた。普通に読むと焦点がぼんやりしていて「何を言いたい小説なんだろう…?」と疑問に思ったがなるほどそういうことか。人間である以上人間関係の悩みは避けられないもので、この小説の登場人物たちも本書のエピソードだけで悩みが消えるわけではないが、本書のような小さな変化点を繰り返しながら時間とともに解決していくか・他者との関わりの中で自分なりの答えを見つけていくかしていくのだろう…。