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北京にて読破。
一応、ここ数年の中国関連ニュースを興味を持って追いかけていた身にはなにか新しい内容があったわけではないが、経済、土地関連、国際関係とそれぞれ別の章で数年の動きをまとめてある。ただし字面ではやはりこの中国という国は表現しきれないとも少し感じる。そこにある空気や人々の反応なんかも含めて感じ取ってきたモノが字で表現されただけだと、知らない人にはどう感じられるのだろうか。
P164 15年9月習氏のアメリカ訪問時にて、「自国の主張ばかりを繰り返していた」そして「覇権と繰り返した」がオバマ氏は「行動が伴うかだ」とした。14年11月には、「中国は特色のある大国外交をしなくてはならない」世界経済に対する存在感は増し、それに見合う影響力への欲求が強い。だが習氏の求める米国との「新しい大国関係」とは、米国とともに世界の課題に取り組むではなく、米国にたいして中国の利益と主張を認め、尊重せよというだけに過ぎない。
P177 「絞量無声」官製ドキュメンタリー映画。米国を始め外国が中国政府の転覆を謀り、陰謀を張り巡らせている。中国で暮らすと指導層のみならず、一般の中国人でもその発想は、日本人が想像する以上に陰謀論に基づいている事に気づく。だが過度な陰謀論への警戒は、被害妄想と紙一重である。
P188 南シナ海や尖閣諸島を巡り、強硬姿勢を崩さない。国際法上の論拠をただしても古来より我が国の領土だを繰り返すのみ。その是非はともかく、中国人には奪われたものを取り返して何が悪いという意識が強く浸透している。中国国防大学の劉明福教授が出版した「中国夢」という本がある。ポスト米国時代に中国は世界一の大国となり、世界に中国時代をもたらす事が夢であると説く。植民地支配をしたことがない「原罪なき国家」である中国は、天下に「王道」を広める資格があり、米国と戦火を交えぬためにも強大な軍事力を持つ必要があると説く。
うーむ。困ったものだ。
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中国関連の最近の書は出来るだけ読むようにしているが、だいたい楽観的視点からの本が2割、悲観的視点からの本が8割だろうか。そしてそのどちらもが事実を語っているのだから、今の中国が難しい時期にあることはよくわかる。
著者は新聞記者だけあって豊富な取材による具体的な事例の内容は迫力に満ちている。ただ中国は凄まじく広いからこんな風景ばかりではあるまいとも思った。
2017年1月読了。
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『「中国の夢」「中華民族の偉大な復興」はひと言でいえば、世界の中で大国として台頭し、その地位を確立することにほかならない。
ともすれば、ナショナリズムや愛国主義を背景に世界の覇権を握り、新たな秩序を打ち立てようと野心をたぎらせているように映る。だが、中国からすれば、新たに台頭しているつもりはない。失った地位の「回復」だ。』
中国も担当になったので、お勉強。
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既に報道されているような内容が大半で、新しい知見はあまり得られなかった。ただし、終わりにの章に書かれているように、中国は侮るべきではないし、恐れすぎてもいけない。日本も改革が進まなければ、衰退の道を歩むことになる。
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★2012-16の中国★マクロのニュースはどうしても劣化が早い。二期目の習政権の内容がいまでは分かっているため、冒頭の方の共産党の権力争いにかかわるトピックスは答えを知ったミステリーのようになってしまう。
それよりも構造的な話題や個人の経験の方が面白い。地方政府は土地譲渡で歳入の3割を稼ぐのは知らなかった。土地が公有だったからこそ、政府が金を次々と生み出せるのか。それも公務員には安く売りだされるから、官民で差が広がるとは。重慶で取材をしていると、面識のない地元の党宣伝部から携帯にメールが届いたという。本当にそこまで監視されているのか。
歴史なのかマクロ政治なのかミクロの人々の暮らしなのか、描き方はいろいろあるだろうが、どう組み合わせて表現するかは難しい。