紙の本
恐怖の根源は人間
2018/08/05 00:24
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投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に読了。一番印象的だったのは『新しい地下墓地』。このタイトルは二重の意味を持つ。気まぐれで女性を弄んだ男に加えられる世にも恐ろしい報復。『サノクス令夫人』もまた報復もので、人間の闇をえぐり出す名編である。
『ブラジル猫』は、ホームズシリーズ『技師の親指』と『バスカヴィル家の犬』を想起させるサスペンス。登場人物の一人エヴァラード・キングは、さしづめ『バスカヴィル家の犬』のステープルトンである。富豪の相続人は甘い誘いにご用心。
『青の洞窟の怪』は、『失われた世界』を彷彿とさせる探検スリラーである。『大空の恐怖』と『革の漏斗』にはあまり感銘を受けなかった。『革の漏斗』は、恐怖ものというより、暗黒の中世史の一端を冷静に見据える話である。
それにしても、読み手を恐怖と不安に引き入れていく作者の筆がすごい。コナン・ドイルの作品をもっと読んでみたい。
電子書籍
ドイル自身が分類した恐怖短編
2022/06/05 09:02
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投稿者:M77 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイル自ら死の前年に短編を分類し出版した内の恐怖編。読みやすくて面白かった。
「大空の恐怖」冒険、幻想、怪奇と、様々な顔を魅せてくれる贅沢な一品。
「革の漏斗」古物の謎を夢で究明する変わった趣向。最後に安心させて終わってしまうのは、現代の怪談に慣れた人間からすると勿体なく感じる。
「新しい地下墓地」面白い題名。暗闇は怖いが、それより「魔太郎がくる!!」のような痛快さがある。
「サノクス令夫人」よくこんなこと思いつくなぁ。ちょっとやり過ぎな気もするが。
「青の洞窟の怪」珍しい種類の怪物。
「ブラジル猫」どれもそうだが映像的な面白さがある。ホラー映画に良さそうな話。
全体に恐怖に見舞われるにはそれなりの理由が用意されており、理不尽さは少ない。ドイルの道徳観が窺える。
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ドイルの短編傑作集3恐怖編。
「大空の恐怖」「革の漏斗」「新しい地下墓地」「サノクス令夫人」「青の洞窟の怪」「ブラジル猫」6編収録。
余談だが、訳者が調べたところ「ブラジル猫」に該当する猫はいなかったらしい。
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『大空の恐怖』
高度2万フィートの上空で続く事件。首をもがれた操縦士。発見されたジョイス・アームストロングの手記。手記に書かれた大空の怪物。海月のような怪物との戦い。
『革の漏斗』
友人リンネル・ダクルの家で見せられた革でできた漏斗。漏斗の中に書かれた謎のイニシャル。その日から夢に現れるようになった美しい女性。ルイ14世の時代に起きた事件との関係。
『新しい地下墳墓』
友人の研究者と共に新しく発見した地下墳墓の調査に向かった男に仕掛けられた罠。
『サノクス令夫人』
生涯ベールを取らないと1千減した令夫人と夜中に呼び出された医師に仕掛けられた罠。
『青の洞窟の怪』
ドクター・ジェイムズ・ハードキャッスルの手記。現地の人間アーミティージの恐れる青の洞窟の怪物。殺される羊。怪物により殺害されたアーミティージ。ハードキャッスルと洞窟の怪物との戦い。
『ブラジル猫』
従兄弟に金を金を借りに来た男。従兄弟が飼うブラジル猫の恐怖。
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ドイルが晩年にまとめたというテーマ別作品集も、これで最終巻。
「ミステリー編」、「海洋奇談編」で、正直パッとしない作品も多々あったのですが、
「恐怖編」で持ち直したか。本来のドイルらしい良作が拝めたので嬉しい。
収録は以下の6作品。
・大空の恐怖 ・革の漏斗
・新しい地下墓地 ・サノクス令夫人
・青の洞窟の怪 ・ブラジル猫
「恐怖」と一言に言っても、どういうタイプのものが登場するかと言えば、
一つは「怪物」のような非現実的なもの。もう一つは「人」の怖さ。
前者は「大空の恐怖」「青の洞窟の怪」で、他の作品が後者に分類しても
いいのではないかと思われます(かなり無理やりですが)。
ドイルの時代なら、「怪物」が出てくる小説は他にいくらでもあっただろうし、
それらの土台がある事を考えれば、「怪物」のストーリーに典型すぎるところがあると思う。
続き→http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-373.html
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短編なので、通勤電車で読むのによい。
ちょっと怖い話なので、一人っきりで読むより、電車の中の方が嬉しい。
長編の文庫を電車で読んでいると、終点までに読み切らないと、どうしても、お昼休みが待ち遠しくなってしまう。
短編は、ちょうど通勤電車で読み切れる長さなので嬉しい。
シャーロックホームズがでなくても、
シャーロックホームズの話とどこが相似か、どこが対称的か、
どこが類似の題材かなどを考えながら読んでいると面白い。
できれば殺人がない物語が嬉しいのですが。
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どこか、なにか、読んだことがある?みたことがある??
って感じたのは、逆で、こちらがモトネタで、ここから生まれた作品を
みてたのかも・・・
「大空の恐怖」 ・・・ 未知なる高度の上空で遭遇するものとは
「革の漏斗」 ・・・ 高貴な人の頭文字が残る古い漏斗 その使い方とは
「サノクス令夫人」 ← やっぱり人間が一番こわい!!怖すぎ!!!
他3篇
ということで、他2冊も楽しみ♪
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帯文(裏表紙):”ドイルの短編の中から恐怖をテーマにした傑作6編を収録”
目次:大空の恐怖、河の漏斗、新しい地下墓地、サノクス令夫人、青の洞窟の怪、ブラジル猫、解説
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短編集なのでサクサク読めました。
人間の探究心や嫉妬、愛憎など、人間の心が引き起こす
恐怖をテーマにしているように感じました。
私は特に『新しい地下墓地』『サノクス令夫人』に
背筋がヒヤっとしました。
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傑作集は三冊ともおもしろかった。最後は恐怖編。「大空の恐怖」。ライト兄弟が有人飛行に成功したのが1903年だから、1910年頃に木製の単葉機で12,000m上空を飛ぶのは空想の産物なのだろう。他、「新しい地下墓地」「ブラジル猫」が良かった。少年向けに発行してもいける。2020.8.3